冤罪で殺された悪役令嬢は精霊となって自分の姪を守護します 〜今更謝罪されても手遅れですわ〜

犬社護

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最終章 事件の真相

45話 真犯人への尋問 ※真犯人視点

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私って、尋問されているのよね?
しかも、私の目の前に、帝異精霊ルーテがいるし、前世の名前をルーテシア・フォンテンスと名乗ったわ。

「その話は、本当なの? あなたはルーテシアなの?」
「ええ、理由は不明ですけど、前世の記憶を持ったまま転生したようですわ」

この話し方、仕草、雰囲気、間違いないルーテシアだわ‼︎
あんなことを仕出かしておいてなんだけど、ずっと謝罪したいと思っていたわ。

「ルーテシア、お願いあるのだけど言ってもいいかしら?」

私の言葉に対し、グレースがまた突っかかってきた。
いつも、こうなのよね。

「あなた、この状況をわかっているの!? 彼女を殺しておいて、よくそんな言葉がいえるわね‼︎」

「グレース、落ち着いて。ベルナ、いいわよ」

私のペースに合わせてくれている。
ルーテシアだわ…神様、彼女のもう一度引き合わせてくれてありがとう。

「真相に関しては、この場で話すけど、そこの口煩い女が叫ばないようにして欲しいの。今までが、ず~っとそうだったわ。私が何か意見を言う度に、皆が怒って、私の意見は無かったことにするのよ」

ルーテシアは私を見て、とても驚いてくれた。
学園在籍時、彼女は私の欠点を見抜いて以降、ず~っと私を見守ってくれたもの。

「わかったわ」
グレースはすぐにでも叫ぼうしていたけど、ルーテシアが彼女を制し、言う通りにするよう説得した。


「ええ、そうよ。そして、あなたを含めた全員が私の意見をきちんと聞き入れ、対応してくれなかったせいで、《フォンテンス家を潰す》という選択肢を取るしかなかったのよ」

思い出しただけでも、腹が立つわ。
物語の上で、この国は何度も崩壊する危険性があった。

【一つ目の崩壊危機が、十八年前】

その危機が訪れないよう、何年も前から皆に説明したけど、その意見を受け入れてくれたのは、ルーテシアと前国王陛下のラデッシュ様だけだった。

「それは、私も知っていますわ。《隣国で原因不明の奇病が発生し、それがこちらにまで影響を及ぼし、大災害を齎す》とあなたは言っていたわね。私はお父様たちにきちんと話し、危機感を持ってくれたわよ?」

「真剣に聞き入れてくれたのは、私もわかっているわ。でも、私が注意したにも関わらず、あなたたちは肝心な事を見落とした」

そう、あの見落としがなければ、ハッピーエンドに近づく別のルートが生まれるはずだった。

「肝心なこと?」
「一つ《家族を隣国に行かせるな》、二つ《隣国から届けられた食べ物類を絶対に口にするな》」

この約束を守ってくれなかったから、私の予定が大きく狂ったのよ。
ルーテシアが次の言葉を口に出そうとしたところで、グレースが私に反論してきた。

「待ちなさい。前世やゲームのことは抜きにして反論させてもらうけど、私はそんな話を知らないわよ? そもそも、そんな忠告をしたのなら、あなたがフォンテンス家の隣国行きを阻止すればいいじゃない」

この女は、どの口で言うのかしら?
あなたがそれを阻止したんでしょうが!!

「あるお茶会で忠告したにも関わらず、あなたたちはそれを批難したわよね? 『自分に注目を集めたいからといって、そんな不謹慎なことを言うな』と言ったわよね? しかも、あなたがそれを私のお父様に告げ口したせいで、私は二週間の軟禁状態になったのよ。二週間後、フォンテンス家に急いで連絡すると、ロイド様たちは隣国へ行っていて、隣国から送られてきた食物類を、ルーテシアや使用人たちが口にしていたわ」

それを知った時点で、もう悲劇は止められないと思ったわ。だから、私はこれ以上の被害の拡大を抑えるため、ラディッシュ様と協力
して、色々と奔走したのよ。

この際だから、グーレスにもショックを受けてもらいましょう。

「グレース、あなたはきちんと調査したの? フォンテンス家崩壊後、私はそこの使用人たちをある屋敷に呼び寄せて、そこで数週間働いてもらったのだけど、全員が奇病を発症して死んだのよ。フォンテンス家のことを本当に心配していたのなら、少し調査するだけで、私の存在に気づくわよ?」

「使用人? そこまで目を光らせていないわよ。隣国の病気に関しては知っていたけど、この国にまで影響を与えるなんて知らなかったわ…あのゲームに記述すらされていなかったもの」

グレースはゲーム攻略者のくせにどうして知らないのよ。
みんなが、私の忠告を無視して起きた現実を受け止めるといいわ。

「奇病…私だけでなく、お兄様たちもその病気に侵されていたと言うこと? あの時の使用人たちも、病気で死んだ?」

ルーテシア、ごめんね。
今更謝罪してすむ問題じゃないけど、あの時はああするしかなったの。

「このゲームには、公式ファンブックが販売されていて、その設定欄に記載されていたわ。ルーテシアやその一家がこのまま生存していたら、《未知なる魔物が国内のあらゆる生物に感染して、多大な被害を齎していただろう》ってね。だから、自分が嫌われようとも、私は必死に訴えたのに、皆が私のことを気味悪がって、ことごとく避けていたわね。転生者であるアイリス、グレースの二人にまで嫌われた時は、正直ショックを受けたわ」

二人は、私を《空気の読めない頭の悪い令嬢》と勝手に決めつけ、周囲からも煙たがられてしまった。だから、私は転生者であることを打ち明けなかったのよ。

フォンテンス家が崩壊してから一ヶ月後、私は婚約者のオルファンと協力して、なんとか病気に対する特効薬を作り出すことに成功した。レシピに関しても無料で全世界に公開したことで、隣国の災害を収束させることに成功し、その功績が評価され、私ちは隣国で勲章をもらえるまでになり、同盟国としてより密接な関係を築き上げることに成功した。

それ以降、私はアイリスから謝罪されて少しだけ仲良くなれたけど、これまで受けてきた仕打ちやルーテシアの件もあって、転生者であることを言っていないわ。グレースに至っては、いまだに謝罪の言葉すらもらっていない。

あの事件で、この二人は当てにならないことが分かったからこそ、今後も自分一人で動くしかないと思ったのよ。アイリスにだけは、アレンの教育方法とかで時折アドバイスしたけど、グレースに関しては殆ど交流を持てていないわ。

彼女は王族になったことで、内密に調査して全てを知っていると思っていたのに残念だわ。あの時の頭のままで、バカを継続させていたのね。

「公式ファンブック? あのゲームに、そこまでハマっていなかったから読んでないわよ」

何よ、それ?

ショックを受けているのか、私の目を一切見ることなく俯きながら言ったけど、各キャラの細かな設定すら知らなかったの? そんな曖昧な知識しか持っていないのに、忠告する私を批難したのね。

「ベルナ、私のお父様とお母様の死は魔物遭遇による転落死となっているけど、詳細は違うのね?」

ルーテシアだけは物事をきちんと受け止め、私を見てくれているわ。

「それは、調査した部隊が勝手にそう思い込んで報告書に記載しただけよ。実際は、馭者の男が病気で発作を起こし、馬がそれに混乱して、転落死となったの。軟禁から解放されてすぐに、私はオースコット男爵に連絡をとり、そうならないよう忠告したけど手遅れだったわ」

二週間も軟禁されていたのが、大きな痛手となった。
あれさえなければ、皆が幸せに辿れるハッピーエンドになれたのに。

「ラディッシュ様は、私の忠告を真剣に受け入れたことで、ずっと内密に隣国で起きている奇病について調査してくれていたわ。ルーテシアが死ぬ十日前になって、病原菌ほどに小さい魔物が生物の体内に寄生して、奇病を発生させることがわかったの。あの魔物は傷口や口腔内から侵入するから、国民たちに隣国から輸入された食物を食べないよう強く訴えて、奇病で亡くなった方々の遺体をすぐにでも火葬するよう、全ての領に通達したわ」

私は、病気の侵入を防げなかったことに悔いたわ。

でも、オルハンが私を慰めてくれて、そこから病気の広がりを少しでも抑えるよう動いたのよ。

「ロイド様に関しては、まだ魔物に侵されて日も浅かったこともあり、食事療法と回復魔術でなんとか魔物を撃退できたけど、昏睡状態のままだった。でも、その時のロイド様の治療のおかげで、特効薬を作ることに成功したわ」

二人とも、かなりショックを受けているわね。
グレースに関しては、正直どうでもいいわ。

元はと言えば、あなたが告げ口さえしなければ、軟禁されずに済んだ。
あなたが、フォンテンス一家を崩壊へ導いたようなものだわ!!

「ベルナ、もしかして私を冤罪で牢獄に入れた理由って、その病気を周囲に拡散させないよう隔離するためなの?」

やっぱり、ルーテシアは凄いわ。
私の意図をすぐに汲み取ってくれる。

「ええ、そうよ。収監されて以降、定期的に血液検査を行っていたでしょ?」
「まさか、その時に検査していたの?」

更にショックを受ける話になるけど、ルーテシアなら乗り越えてくれるはず。

「その通り。それ以外にも、様々な検査を実施したけど、あの魔物の浸潤速度が異様に速くて、当時の回復魔術でも抑えきれなかった。既に……手遅れだったのよ。収監されていた約四週間、あなたの体調は日を追うごとに低下していったはずよ?」

あの魔物は憑いた相手の魔力や血や肉の味によって、侵食速度が大きく異なる。奴は、ルーテシアを絶好の獲物と認識して、すぐに全身に住み着き、食らい付いていった。

言い訳になるけど、私は周囲の邪魔もあって、結局彼女を助けられなかった。

「確かに体調が日に日に悪くなっていたけど、環境の変化でそうなったと思っていたわ」

回復魔術で浸潤速度を抑えていたから、そう思ったんだね。

「このまま移送すれば、被害が大きくなってしまう。だから、あなたを毒殺するしかなかったのよ。それに牢獄に入れた理由は、病気以外にもう一つあるの。怒らないで聞いてね」

ルーテシアは、静かに頷いてくれたわ。
この話を聞いたことで、彼女は激怒するかもしれない。
ルーテシアに殺されるのなら、私も本望だわ。

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