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邪悪な魔術師の成れの果て
しおりを挟むサシャ☆
終わった…。長い闘いがやっと…。
今から何十年か前に、この世に生を受けた一人の魔術師がいた。
彼は、膨大な魔力を持ち、この魔法の国を支配しようとし、邪悪な心を持ってしまった。
多くの魔法使いが彼を恐れ慄き、ひれ伏す者や、抗う者ら全てが、薙ぎ払われた。
長い長い年月が過ぎ、多くの犠牲をだし、やっと、邪悪な魔術師を倒した。
そう、やっとだ。
やっと、闘いが終わり、邪悪な魔術師は消滅したハズだったが??
うん、僕の足元で泣きまくっている赤ちゃんって?
もしかして、魔力を失った彼?
それとも、誰かの忘れ物?でなくて、忘れ人?
いやいや。
おかあさ~ん、赤ちゃん忘れてますよ~!
あなたの赤ちゃん、ここで迷子になってますよ~~!!!って、赤ちゃんは、歩けないってばっ!って、オイ!
ど、どうしよう…。
今は、真冬だし、このままにしていたら、死んじゃうかも?
迷子でなく、捨て子?
いやいや、こんな戦地の真っ只中で?
遠く離れたとこでは、邪悪な魔術師に勝利した人々の歓喜の声が聞こえてくる。
そっと、抱き上げてみる……。
泣き止み、涙を溜めた瞳で僕を見つめる。
ヤバイ、あの魔術師と同じ金色の瞳……。
マジですかっ?
このままだと、この子は殺されてしまう…。
周りに気づかれないようにローブでくるみ、気づけば、連れて帰ってしまった。
それからの僕は、赤子になった邪悪な魔術師をルークと名付け、魔法の国を離れ、旅に出た。
微細ながら、赤ちゃんからは、魔力を感じてはいたのだが、普通の人より早い成長のため、周りに気づかれないうちに、その地を離れる。
そして、ルークの魔力も感じなくなり、成長スピードも落ち着いた頃、たどり着いた人間の国の片隅で、親子としてスローライフを送ってきたが…。
「見てみて~!サシャ~~!こんなに大きい芋がとれたよ~~!」
振り向く僕の背を、少し超え、可愛らしい容姿は、誰もが振り返るほどの美青年に変わってきた。
平凡で特徴がなく、(ちょっと!そこのキミ!今、凡庸って言った?凡庸違うよっ!平凡なんだよっ!普通って意味さっ。)
周囲の人間達にはルークは、死別した妻の連れ子だと説明してきた。
だってさ、眩しいくらいのイケメンと僕では、どこをとっても実の親子は無理でしょ~~?
大丈夫、毎朝、鏡みてるから、自分をよく知ってるさっ!
それでさ、僕は親として今まで愛情を持って育ててきたはずなのだが…?ん?
どうしてこうなったんだっ?
誰か説明してくれっ!?
「えっと~、ルーク? 僕は、なぜに君に押し倒されてるのかな?」
「サシャ…。魔力を失い、赤子のような姿に変わってしまった俺を…、見つかれば、お前まで裏切り者として、処罰されるとわかってるのに…」
ええっ!もしかして、もしかして、邪悪な魔術師としての記憶ってございましたか?
(って、ここ敬語丁寧語ね!命、大事だからね~、特に僕の命ね)
ルークによって、上半身を剥かれ…、ルークって、器用だな~~なんて、ホゲっとしてるあいだに気づけば脱がされていた…。
え~~、僕ってドン臭いのかな?
もしかして?
そして、ルークの右手に、はだけた胸を揉まれまくっている…
今、ここね!
「ルーク…私の胸を揉んでも、何も出ないのだが?」
鼻先で、フッと笑う姿は、幼き頃から見知っているルークではなく、遠くに眺めた、あの、邪悪な魔術師のものとも少し違っていた。
•••••••
ルーク★
俺は、生まれ落ちたときから、膨大な魔力を持ち、産声をあげた瞬間に、その魔力の強さによって、母の呼吸を止めてしまった。
恐れた父により、殺されかけ、その父を返り討ちにした。
そして、成長とともに、多くの敵を倒していった。
罪悪感はないのかって?
魔力が強いのは、俺が悪いのか?
ただ、魔力が強いというだけで、殺しにくる奴らに問題があるのだろう?
気づけば、多くの魔術師に囲まれ、俺は倒された。
やっと、死でもって、この魔力から解放されると思い、気づけば…。
そう、俺は、魔力がほとんどないうえに、赤子の姿となっていた。
そして、そんな俺を抱きあげた奴がいて…そう、それがサシャとの出会いだった。
サシャは、凡庸な茶色の髪に、瞳の色をしていて、
俺を抱きあげたはいいが、やたらと周りをキョトキョト見回し、その場から脱兎の如く逃げた。
俺は、魔力が戻り次第に、サシャを葬るつもりでいたんだが…。
魔力が戻りつつあるたびに、体は成長をし…といっても、元の姿に戻っていっただけだが。
サシャは、そんな俺を連れては、あちらこちらと渡り歩いた。
サシャの魔力はほとんどなく、あちらこちらと転々としながら、俺を育てるために必死に働いていて、唯一美しかった手は、荒れ放題だった。
薬草を集めては、手荒れを治すクリームを作り、サシャが疲れて眠りについた頃に、そっとマッサージをしていた。
そんなある日、いつものように、サシャの手のマッサージをしていたのだが、下半身に違和感が…。
自分では、やはり…とは思っていた。
なににも執着も興味もなかったが、サシャの笑顔をずっと見続けたいと、サシャに触れたいと思う半面、サシャを押さえ込み、誰にも見せずに仕舞込みたいとも思っていて、この気持ちを持て余していたが…。
どうするべきか、そんなことはわかっている。
やるべきことは、ひとつ。
「えっと~、ルーク? 僕は、なぜに君に押し倒されてるのかな?」
キョトンとした顔で、俺に押し倒されたサシャ。
そんなサシャを見るのは俺だけだよな?
そうでなかったら、全てをなぎ払ってやるさ。
「サシャ…。魔力を失い、赤子のような姿に変わってしまった俺を…、見つかれば、お前まで裏切り者として、処罰されるとわかってるのに…」
そうさ、そんな俺だが、これからもずっと、愛してくれるよな?
驚きすぎたせいか、それとも、俺が邪悪な魔術師とやっと理解したせいかはわからないが、
たいして抵抗もせずにいたサシャを、アッサリと剥いて頂いたさ。
邪悪な魔術師は、未来永劫現れず、膨大な魔力でもって、人々の生活を潤した魔術師と、その魔術師を支えた伴侶の言い伝えが残った。
サシャ☆
いやいや、待ってまって!膨大な魔力で、僕を孕ますって!?
ムリムリ、無理だってば!
だ、誰か説明してくれっ!!
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サシャが悪い魔術師だと知っていながらも愛を注いで育てるその慈愛の深さと、押し倒されてもキョトンとしている鈍感さが素敵で可愛かったです☺️サシャの愛に絆されてしまった魔術師も将来立場が逆転してスパダリになりそうだなと思いました笑
また言い伝えとして2人の話がいい魔術師と伴侶となっていて、最後までニコニコして読ませていただきました!ありがとうございます☺️
モルト様
私の拙い作品に、また、感想を頂きまして、感無量ですっ^_^
ありがたや〜。
本当に、本当に、うれしくて!!
サシャみたいな天然系なキャラって、書いていて楽しかったんです。
しかし、私、エチシーン苦手で、なかなか進まなくて途中で挫折って、よくあるので、なんとか仕上げた勢いでUPしたという…。
いつもいつも、朝チュンになってしまうのですが、こうして感想をいただけて、読んでくださってくれる方が…って、励みになります(・∀・)
モルト様のおかげで、モチベーションが上がりまして、今、ずっと書きかけで置いていたのを仕上げようと、進めています♡
ありがとうございましたm(_ _)m