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鏡
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鏡を見ていると、なんだか不思議な感覚に陥ることがある。まるで薄いガラス一枚隔てた向こうに、もう1つの世界が広がっているような…
「光は鏡の表面で反射をしている。しかし私達の脳はその光を直進しているように錯覚してしまうから、鏡には奥行きがあるように見える。」
なんてことは中学生の理科でとうに習っている。だから鏡の向こうにもう1つの世界がある、なんてことは馬鹿馬鹿しい考えなのだろう。わかっている。
しかし、髪の毛をとかしているときに同じように髪の毛をとかしている私。それは本当に私なのだろうか。私が見つめれば見つめ返してきて、私が笑えば、同じように笑う。…それは、私なのだろうか。本当に、「鏡」というものにうつる「自分自身」なのだろうか。
…いや、こんなことを考えるのはやめよう。これは光の反射を利用した、ただの薄い板だ。この向こうにもう1つの世界なんてあるわけがない。
ふう、と軽く息を吐き、もう一度鏡を見た。
瞬間、背筋がぞくりとした。
…待て。なんだこの違和感。鏡に映る私は確かに、私と同じように無表情で髪に櫛を当てている。しかし…これは私じゃない。なぜかはわからないけど、これは、私ではない。急にそんな変な感覚に襲われ、私は気付けば口を開いていた。
「…あなたは、誰?」
櫛が手から滑り落ちる。
私は、笑っていない…のに。
終わり
「光は鏡の表面で反射をしている。しかし私達の脳はその光を直進しているように錯覚してしまうから、鏡には奥行きがあるように見える。」
なんてことは中学生の理科でとうに習っている。だから鏡の向こうにもう1つの世界がある、なんてことは馬鹿馬鹿しい考えなのだろう。わかっている。
しかし、髪の毛をとかしているときに同じように髪の毛をとかしている私。それは本当に私なのだろうか。私が見つめれば見つめ返してきて、私が笑えば、同じように笑う。…それは、私なのだろうか。本当に、「鏡」というものにうつる「自分自身」なのだろうか。
…いや、こんなことを考えるのはやめよう。これは光の反射を利用した、ただの薄い板だ。この向こうにもう1つの世界なんてあるわけがない。
ふう、と軽く息を吐き、もう一度鏡を見た。
瞬間、背筋がぞくりとした。
…待て。なんだこの違和感。鏡に映る私は確かに、私と同じように無表情で髪に櫛を当てている。しかし…これは私じゃない。なぜかはわからないけど、これは、私ではない。急にそんな変な感覚に襲われ、私は気付けば口を開いていた。
「…あなたは、誰?」
櫛が手から滑り落ちる。
私は、笑っていない…のに。
終わり
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