わたしの専属魔法使いR-18

みずき

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「シェイド王子‥‥ごめんなさい‥‥私‥‥」

「いいんだ、気にしないでくれ、ここでの生活は父との2人なので女性のその様な姿初めて見たので‥‥」

「お母様は?」

「マリー姫は知らなかったかもしれないが母は小さい頃に亡くなっているんだ‥‥」

「そうだったのですね‥‥私‥‥ごめんなさい‥‥」

「いいんだ、ほとんど母の記憶がなくて悲しいとは思わないのだ、いないのが当たり前‥‥だから」

私はシェイド王子を後ろから優しく抱き締めた

「悲しいと思わないなんてそんな悲しい嘘つかないでください」

「マリー姫?!いけない、まだ婚礼の儀が済んでいないのだ‥‥」

「落ち着いてください、婚礼の儀が終わっていなくても私がシェイド王子を抱き締めたいのです」

「でも‥‥」

「シェイド王子がそんな悲しそうな顔をすると私も悲しくなります」

「悲しそうな顔などしていない‥‥」

「いいんです、何も言わなくても私にはわかっていますから」

「もう少しだけこうしていてくれるか‥‥?」

「はい‥‥私も離れたくありませんから」

「マリー姫は‥‥嫌ではないのか?親が決めた結婚は‥‥」

「嫌ではないと言えば嘘になります‥‥だけど私は一国の姫です、国民の為に親が決めた相手と結婚するのも一国の姫に生まれた私の役目です」

「マリー姫はとても美しい上にとても賢くそして強いですね‥‥」

「美しくなんてありませんよ‥‥私よりも美しい人はたくさんおります、それにシェイド王子こそ嫌ではありませんでしたか?」

「マリー姫の前で言うのは失礼になってしまうけど、本当は嫌だった」

「いいんです、好きな人と一緒になれると私も思っていた時期もありましたから」

「女性を好きになった事は一度もないんだ、でもやはり顔も一度見ただけどんな性格なのかもわからない相手と結婚と言われると少し怖いと思った」

「シェイド王子でも怖いと思う事はあるのですね、少し意外です」

「剣の鍛錬をしても心までは強くはなれないようだ」

「そうですね、それに私たちはまだまだ大人になれていませんから、仕方ないのかもしれませんね」

「マリー姫からは甘くていい匂いがするのだな‥‥女性というのは皆いい匂いがするのか?」

「甘い匂いがしますか?そうですね、私のお母様はいつもいい匂いがしていました、皆いい匂いがするのではないでしょうか?」

「母もこんな素敵な匂いがしていたんだろうな‥‥」

「私の香りでよければいつもで嗅いでください」

ふふっとシェイド王子は笑った

「マリー姫ありがとう、遠慮なく嗅がせてもらう事にするよ」

私はシェイド王子から離れて頷く

「そう言えばシェイド王子何か用事があったのですか?」

「あぁもうすぐ食事の時間なので呼びに来たんだ、忘れていた」

「そうなのですね、わざわざありがとうございます‥‥でも‥‥どうしよう‥‥」

「どうかしたのか?」

「あの…その…」

「言いにくい事か?」

「お恥ずかしい話なのですが……ドレスを脱ぐ事は出来たのですが私……今まで1人で自分でドレスを着た事がなくて……」

シェイド王子は驚いたような顔をしている

「えっ、1度も自分で着替えた事がないのか?」

「はい……」

シェイド王子はしばらく考え込んでから

「わかった、なんとかできる者を探してこよう」

そう言いスッと背を向けて部屋を出て行った、恥ずかしい事だよね‥‥
自分でドレス一つ着られないなんて、シェイド王子も私にガッカリしたかな‥‥

シェイド王子は自分で着替えるのかな?
お父様、お母様は自分で着替えられたのかな?

もー
私ってば何にも知らないんだから嫌になっちゃうよ‥‥

部屋の扉がゆっくりと開いてシェイド王子が入ってくる、その後について若そうな女の人も部屋に入ってくる

「マリー姫、この者がどうにか出来そうと申し出てくれたので連れて来たのだが‥‥」

「そうなんですね、わざわざすみません‥‥」

「私で役に立てるかどうかわかりませんが‥‥」

女の人は頭をさげる、私もつられて頭を下げた

「まぁ、その‥‥着替えるのだから部屋の外で待っているから」

シェイド王子はそそくさと部屋を後にした

「それではお着替えをお手伝いさせていただきます」

私は頷くと脱いだドレスを手に取り、ドレスの着方を教わりながらなんとか着ていく

「はい、これで大丈夫だと思います、姫様」

女の人はニッコリと笑ってくれた

「ありがとう、とても助かりました」

私もニッコリと微笑んでみせる

「姫様は優しいお方だと聞いておりましたが本当に心の優しい方なのですね」

「そんな事はありません、私はみんなと仲良くしたいだけなのです」

「とても美しく素敵な方がこのお城に来ていただいて私も心の底から嬉しいです」

そう言い頭を下げると部屋から出ていく、扉が閉まらないうちにシェイド王子が部屋へと入って来た

「大丈夫か?ちゃんと着られているように見えるが」

「はい、大丈夫です、さっきの女の人に教えてもらいながら自分で着てみました」

「着替えは自分で出来そうか?難しいのであれば専属の者を用意させるが」

「いえ、大丈夫です、なんでも自分で出来るようになりたいから」

「いい心がけだが無理だけはしないで欲しい」

シェイド王子は近付いて来て私の髪を優しく撫でてくれた

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