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第4章
事件その2
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「7時になりました、ニュースをお伝えします。まず最初はたった今入ってきたニュースです。トルコのイスタンブールで日本人ツアー客の若い女性ばかり3人が何者かによって連れ去られたのことです。早速現地と繋いで見ましょう。イスタンブール支局の八木さん」・・「はい八木です」「現在までに分かっていることを伝えて下さい」・・「はい。現地時間今週の火曜日、午後9時半頃、ゼミ旅行でイスタンブールを訪れていた女子大生3人が何者かによって連れ去られたとのことです。目撃した人の話によりますと、黒いワゴン車が女子大生たちのすぐ傍に停車し、中から黒い覆面姿の男と思われる者が4人降りてきて、あっという間に女子大生3人をワゴン車に押し込み、連れ去ったとのことです」「連れ去られら女子大生3人の身元は分かっていますか?」・・「はい。3人とも東京都内にある日本女子学院大学の学生で保母麗香さん、小澤由利亜さん、尾崎利恩さんそれぞれ22歳です。ゼミ旅行で先週の土曜日から担当教授を含め9人でイスタンブールを訪れていて被害にあったようです」「分かりました。犯人グループに関する情報は何か入っていますか?」・・「いえ、先程お伝えした以上のことはまだ分かっていません」「ありがとうございました。続報が入りましたらお願いします」・・「分かりました」「非常に心配です。では、今日のニュースの項目から見ていきましょう・・・」
「官房長官に来てくれるよう伝えて下さい」「すぐに連絡します」・・「失礼します」「どうぞ。かけて」「はい」「早速だけど、イスタンブールで誘拐された女子大生の件は外務省から何か新しいは入っていない?」「いえ、残念ながら」「そう。」「人身売買の可能性の方が高いと見て、現地の大使館が情報収集に当たっていると聞いています」「御家族はもう現地入りされたの?」「はい、3人とも御両親が到着されたそうです」「出来る限りのお世話をするようイスタンブール大使館に伝えてもらって」「承知しました。では、私はこれで」「少し話したいことがある。閣議の件で」「やはりあの件ですか」「うん。誰よりも官房長官には理解して欲しい。君はこの竹本内閣の要であり、学生時代からの友人なのだから」「正直に申し上げても?」「もちろん」「私は国民のための政治を心がけて来たつもりです」「よく分かってる」「テロリストに資金提供することが国民のためになるとは思えません。また、国内で今後起こるであろう身代金目的の誘拐事件に毅然とした対応をとることが難しくなるのではないかという危惧も抱いています」「その点は大丈夫。何せ経験済みだから」「ダッカ事件ですか?」「そう。あの後も我が国の警察は営利目的の誘拐事件を幾つも解決し、今では人質事件が激減している」「それはそうですが」「現憲法下では日本という国はアメリカの核の傘に守ってもらうしか国民の命を守る手段がないんだ」「我が国は先の戦争から70年以上に渡り戦争しないことで平和を守って来ました。なのに総理は自衛隊による救出も口にされました。下手をすれば戦争に発展していたかも知れません」「あれは身代金支払いを閣僚の皆さんに承認してもらうために言った言葉で、本気じゃない。米軍が間に合わないと言っているのに自衛隊に出来るとは思っていない」「それなら良いのですが」「無事に人質も戻ったことだし、水に流してこれからも支えてくれるね」「その前にお願いがあります」「何かな?」「戦争は絶対にしなとお約束下さい」「分かってる、戦争はしない。これでいいかな?」「もう1つ、今後は以前のように総理のお考えを腹蔵なくお聞かせ下さい」「そうだね、分かった。学生時代からの友人なのに2人でいるときまで敬語で喋るのが良くないのかも知れない。これからは竹本、渡邉で行こうじゃないか」「それはいけません。けじめは必要です」「私はね、お互い親友として何でも話し合って、この国を良い方向に導いて行きたいんだ。私達2人で」「お友達内閣と言われますよ」「言わせておけばいい。どうせマスコミはそういうレッテルを貼って、間違った印象を植え付けようとするんだろうが、国民はバカじゃない。経済政策をしっかりやって、景気を上昇させればちゃんと評価してくれる」「それはそうですが」「じゃあ、これからも支えてくれるね」「隠し事はなしでお願いしますね」「妻に言えないことでも君には言うよ」「分かりました」「良かった」「では失礼します」「渡邉」・・「はい」「いや、何でもない。そう呼んでみたかっただけだ」(照れ笑いを浮かべて下がる渡邉官房長官)
(官房長官自宅)「お疲れ様でした、あなた」「ただいま。何か変わったことはなかったかい?」「ええ、特には」「そう、それは何よりだね」「どうなさったの?何だか嬉しそう」「いや、大したことじゃないんだけど」「まあ、怪しい。ニヤニヤしてますよ」「そうかな?実はね」「ええ」「笑わない?」「ええ、笑わないわ」「今日総理がね」「ええ」「私のことを渡邉と」「それから?」「それだけだよ」「ええ~?たったそれだけ~?」「いつ以来かな?」「不自由なんですね、政治家って」「人の目があるからね。何て言われるか分からない」「2人っきりでも名前で呼び合うことはないんですか?」「いつの間にかそういうこともなくなったね」「24時間政治家なんですね」「でも、今日は渡邉と呼んでくれた。それにただそう呼んでみたかったとも。一瞬で学生時代に戻ったような気持ちになったんだ」「それは何よりでしたね。でも、竹本総理も可愛いところがおありなのね」「今夜は一緒に飲もう」「いいですよ」この時の渡邉官房長官は竹本総理との間に起こる悲劇をまだ知る由もなかった。
(数日後)「総理、防衛大臣から緊急のお電話です」「繋いで下さい」・・「もしもし、総理、やられました」「どうしました?何のことです?」「日本人が人質に取られました」「何ですって?」「またあの連中です」「今度は幾ら払えと?」「それが・・アメリカ政府に身代金を要求しています」「えっ?」「金額はたったの100ドル、1万円程です」「まだよく飲み込めませんが」「至急、米国大統領に事実確認と対応を御確認頂けますか?」「間違いの可能性はないんですか?」「残念ながら確かな情報です。ペンタゴンからの情報ですので。間もなくインターネット上に身代金要求の動画がアップロードされるはずです。あと人質ですが、イスタンブールで誘拐された女子大生の可能性があるようです」「分かりました、すぐに確認します。確認次第、臨時閣議を開きますので、防衛大臣から官房長官に連絡してもらえますか?臨時閣議を招集するようにと」「分かりました、では一旦失礼します」(アメリカ大統領に連絡する竹本総理)
(臨時閣議)「皆さん、急に集まって頂き感謝します」「それより総理、先程防衛大臣から伺ったのですが、本当ですか?」「本当です」「総理、申し訳ありませんでした」「どうして官房長官が謝るのですか?」「こんな事態も想定しておくべきでした」「とんでもない。誰のせいでもありません」「そうですよ官房長官。テロリストの考えることなんかまともな人間に想像できるはずがない」「総理」「はい、副総理」「肝心の米政府は何と?」「申し訳ないが、出来ることは何もないと」「そんな~」「ひどすぎる」「日本は国際社会からの非難も顧みず大金を払ってアメリカ人を助けたというのに」「そうだそうだ」・・「皆さん、冷静になって下さい」「しかし官房長官」「いや、官房長官の言う通りです。私もつい浮き足だってしまいました。ここは冷静に我が国民をいかにして救うかを話し合いましょう」「しかし方法が」「いえ、何かあるはずです。ここからは自由に発言してもらって構いません」「身代金を日本が肩代わりするというのは?」「日本が肩代わりしても表向き、払うのは米政府ということになります。金額の多少に関わらずテロリストとは交渉しないという米政府の方針に例外はないとのことでした」「う~ん」「本当に勝手だ、あの国は」「自国のことしか考えていない」「アメリカ人質を救ったのが日本だということをもう忘れたのか!」「日米同盟って一体何なんだ?」「皆さんの気持ちは分かりますが、冷静にと総理もおっしゃっていますので。何か建設的な御意見はありませんか」「交渉は日本政府が行うと表明してはいかがでしょう?」「それは今回は駄目でしょう」「どうしてです?」「身代金はたったの100ドルですよ。しかもアメリカ相手に」「と言いますと?」「連中は初めから身代金が目的ではないということです」「じゃあ一体何が目的なんですか?」「日米の絆を断ち切ることかも知れませんが、私にも分かりません」「どうすればいいんだ」沈黙する閣僚たち・・「まずは方向性を決めてはいかがでしょう?」「と言いますと?」「助けるか否か」「確かに。前回の人質事件の際に総理は中東地域への渡航を自粛するよう念を押されました。それでも行ったのだから、自己責任と言えなくもない」「総理」「どうぞ、防衛大臣」「情報によりますと人質になっている方々はトルコで誘拐された女子大生3人のようです」「中東じゃない?」「イスタンブールで誘拐されたあの3人?」「ええ、ですから自己責任論は主張できません」「何てやつらだ」「どこまで卑怯なんだ」「皆さん・・この竹本内閣において国民を見殺しにするという選択肢はあり得ません。その上で意見をお願いします」「ふう~」「ということは救うということですね?」「しかし、米政府が何もしないと言っているのに我が国に出来ることが?」「考えて下さい」・・「日本政府が前回と同額の身代金を支払うと表明してはいかがでしょう?」「今回の目的が身代金ではないとすると難しいかも知れません」「それに拒否されたり黙殺されたりしたら、いよいよ世界の笑い者になります」「お金がだめとなるともう救出するしか方法がありません」「それはダメです」「しかし官房長官」「自衛隊による救出は法律違反です。それに失敗したらどうするんです?下手をすると戦争になりますよ。皆さんにその覚悟はおありですか?」 「それでは官房長官はどうすべきと?」「身代金を要求されているのが米国である以上、米国政府に委ねるしかありません。身代金を支払ってくれるよう頼み続けるしかないと思っています」「応じてくれるでしょうか?」「無理ですよ」「自国のことしか考えないあの国に期待なんてできませんよ」「そうかも知れませんが、我が国は法治国家です。感情だけで動くことは許されません」「官房長官は国民が殺されてもいいと?」「やめなさい、外務大臣!」「は?」「官房長官が国民が殺されて何とも思わない訳がないでしょう!官房長官は浮き足立たずに冷静に国民を救う方法を考えようと言ってくれているんです。そんなことも分からないのなら君はもう発言しなくていい!」「そんな~」「今夜はもう遅いですし、明朝再開するとして一旦閉会となさいませんか、総理」「うん、そうですね。皆さんしっかり眠って良い方策を持って明朝集まって下さい」(うなずく閣僚たち)「では明朝まで一旦休会とします」・・・「外務大臣」「これは副総理」「総理の逆鱗に触れてしまいましたね」「私はそんなに間違ったことを申し上げたのでしょうか?」「総理はね、官房長官を非難する人間を許せないんですよ」「はあ」「総理と官房長官は学生時代からの友人でね。友人というより親友と言うべきかな」「そんなに」「ええ。あの2人には打算というものが全くない」「敬語で喋っていらっしゃいますよ」「友情が政策を誤らせないようにでしょう」「なるほど」「政治の世界で打算のない関係などあの2人だけでしょう。実に羨ましい」「分かりました、今後は気をつけます」「あまり気にしないように。ではお休み」「お休みなさいませ」
「官房長官に来てくれるよう伝えて下さい」「すぐに連絡します」・・「失礼します」「どうぞ。かけて」「はい」「早速だけど、イスタンブールで誘拐された女子大生の件は外務省から何か新しいは入っていない?」「いえ、残念ながら」「そう。」「人身売買の可能性の方が高いと見て、現地の大使館が情報収集に当たっていると聞いています」「御家族はもう現地入りされたの?」「はい、3人とも御両親が到着されたそうです」「出来る限りのお世話をするようイスタンブール大使館に伝えてもらって」「承知しました。では、私はこれで」「少し話したいことがある。閣議の件で」「やはりあの件ですか」「うん。誰よりも官房長官には理解して欲しい。君はこの竹本内閣の要であり、学生時代からの友人なのだから」「正直に申し上げても?」「もちろん」「私は国民のための政治を心がけて来たつもりです」「よく分かってる」「テロリストに資金提供することが国民のためになるとは思えません。また、国内で今後起こるであろう身代金目的の誘拐事件に毅然とした対応をとることが難しくなるのではないかという危惧も抱いています」「その点は大丈夫。何せ経験済みだから」「ダッカ事件ですか?」「そう。あの後も我が国の警察は営利目的の誘拐事件を幾つも解決し、今では人質事件が激減している」「それはそうですが」「現憲法下では日本という国はアメリカの核の傘に守ってもらうしか国民の命を守る手段がないんだ」「我が国は先の戦争から70年以上に渡り戦争しないことで平和を守って来ました。なのに総理は自衛隊による救出も口にされました。下手をすれば戦争に発展していたかも知れません」「あれは身代金支払いを閣僚の皆さんに承認してもらうために言った言葉で、本気じゃない。米軍が間に合わないと言っているのに自衛隊に出来るとは思っていない」「それなら良いのですが」「無事に人質も戻ったことだし、水に流してこれからも支えてくれるね」「その前にお願いがあります」「何かな?」「戦争は絶対にしなとお約束下さい」「分かってる、戦争はしない。これでいいかな?」「もう1つ、今後は以前のように総理のお考えを腹蔵なくお聞かせ下さい」「そうだね、分かった。学生時代からの友人なのに2人でいるときまで敬語で喋るのが良くないのかも知れない。これからは竹本、渡邉で行こうじゃないか」「それはいけません。けじめは必要です」「私はね、お互い親友として何でも話し合って、この国を良い方向に導いて行きたいんだ。私達2人で」「お友達内閣と言われますよ」「言わせておけばいい。どうせマスコミはそういうレッテルを貼って、間違った印象を植え付けようとするんだろうが、国民はバカじゃない。経済政策をしっかりやって、景気を上昇させればちゃんと評価してくれる」「それはそうですが」「じゃあ、これからも支えてくれるね」「隠し事はなしでお願いしますね」「妻に言えないことでも君には言うよ」「分かりました」「良かった」「では失礼します」「渡邉」・・「はい」「いや、何でもない。そう呼んでみたかっただけだ」(照れ笑いを浮かべて下がる渡邉官房長官)
(官房長官自宅)「お疲れ様でした、あなた」「ただいま。何か変わったことはなかったかい?」「ええ、特には」「そう、それは何よりだね」「どうなさったの?何だか嬉しそう」「いや、大したことじゃないんだけど」「まあ、怪しい。ニヤニヤしてますよ」「そうかな?実はね」「ええ」「笑わない?」「ええ、笑わないわ」「今日総理がね」「ええ」「私のことを渡邉と」「それから?」「それだけだよ」「ええ~?たったそれだけ~?」「いつ以来かな?」「不自由なんですね、政治家って」「人の目があるからね。何て言われるか分からない」「2人っきりでも名前で呼び合うことはないんですか?」「いつの間にかそういうこともなくなったね」「24時間政治家なんですね」「でも、今日は渡邉と呼んでくれた。それにただそう呼んでみたかったとも。一瞬で学生時代に戻ったような気持ちになったんだ」「それは何よりでしたね。でも、竹本総理も可愛いところがおありなのね」「今夜は一緒に飲もう」「いいですよ」この時の渡邉官房長官は竹本総理との間に起こる悲劇をまだ知る由もなかった。
(数日後)「総理、防衛大臣から緊急のお電話です」「繋いで下さい」・・「もしもし、総理、やられました」「どうしました?何のことです?」「日本人が人質に取られました」「何ですって?」「またあの連中です」「今度は幾ら払えと?」「それが・・アメリカ政府に身代金を要求しています」「えっ?」「金額はたったの100ドル、1万円程です」「まだよく飲み込めませんが」「至急、米国大統領に事実確認と対応を御確認頂けますか?」「間違いの可能性はないんですか?」「残念ながら確かな情報です。ペンタゴンからの情報ですので。間もなくインターネット上に身代金要求の動画がアップロードされるはずです。あと人質ですが、イスタンブールで誘拐された女子大生の可能性があるようです」「分かりました、すぐに確認します。確認次第、臨時閣議を開きますので、防衛大臣から官房長官に連絡してもらえますか?臨時閣議を招集するようにと」「分かりました、では一旦失礼します」(アメリカ大統領に連絡する竹本総理)
(臨時閣議)「皆さん、急に集まって頂き感謝します」「それより総理、先程防衛大臣から伺ったのですが、本当ですか?」「本当です」「総理、申し訳ありませんでした」「どうして官房長官が謝るのですか?」「こんな事態も想定しておくべきでした」「とんでもない。誰のせいでもありません」「そうですよ官房長官。テロリストの考えることなんかまともな人間に想像できるはずがない」「総理」「はい、副総理」「肝心の米政府は何と?」「申し訳ないが、出来ることは何もないと」「そんな~」「ひどすぎる」「日本は国際社会からの非難も顧みず大金を払ってアメリカ人を助けたというのに」「そうだそうだ」・・「皆さん、冷静になって下さい」「しかし官房長官」「いや、官房長官の言う通りです。私もつい浮き足だってしまいました。ここは冷静に我が国民をいかにして救うかを話し合いましょう」「しかし方法が」「いえ、何かあるはずです。ここからは自由に発言してもらって構いません」「身代金を日本が肩代わりするというのは?」「日本が肩代わりしても表向き、払うのは米政府ということになります。金額の多少に関わらずテロリストとは交渉しないという米政府の方針に例外はないとのことでした」「う~ん」「本当に勝手だ、あの国は」「自国のことしか考えていない」「アメリカ人質を救ったのが日本だということをもう忘れたのか!」「日米同盟って一体何なんだ?」「皆さんの気持ちは分かりますが、冷静にと総理もおっしゃっていますので。何か建設的な御意見はありませんか」「交渉は日本政府が行うと表明してはいかがでしょう?」「それは今回は駄目でしょう」「どうしてです?」「身代金はたったの100ドルですよ。しかもアメリカ相手に」「と言いますと?」「連中は初めから身代金が目的ではないということです」「じゃあ一体何が目的なんですか?」「日米の絆を断ち切ることかも知れませんが、私にも分かりません」「どうすればいいんだ」沈黙する閣僚たち・・「まずは方向性を決めてはいかがでしょう?」「と言いますと?」「助けるか否か」「確かに。前回の人質事件の際に総理は中東地域への渡航を自粛するよう念を押されました。それでも行ったのだから、自己責任と言えなくもない」「総理」「どうぞ、防衛大臣」「情報によりますと人質になっている方々はトルコで誘拐された女子大生3人のようです」「中東じゃない?」「イスタンブールで誘拐されたあの3人?」「ええ、ですから自己責任論は主張できません」「何てやつらだ」「どこまで卑怯なんだ」「皆さん・・この竹本内閣において国民を見殺しにするという選択肢はあり得ません。その上で意見をお願いします」「ふう~」「ということは救うということですね?」「しかし、米政府が何もしないと言っているのに我が国に出来ることが?」「考えて下さい」・・「日本政府が前回と同額の身代金を支払うと表明してはいかがでしょう?」「今回の目的が身代金ではないとすると難しいかも知れません」「それに拒否されたり黙殺されたりしたら、いよいよ世界の笑い者になります」「お金がだめとなるともう救出するしか方法がありません」「それはダメです」「しかし官房長官」「自衛隊による救出は法律違反です。それに失敗したらどうするんです?下手をすると戦争になりますよ。皆さんにその覚悟はおありですか?」 「それでは官房長官はどうすべきと?」「身代金を要求されているのが米国である以上、米国政府に委ねるしかありません。身代金を支払ってくれるよう頼み続けるしかないと思っています」「応じてくれるでしょうか?」「無理ですよ」「自国のことしか考えないあの国に期待なんてできませんよ」「そうかも知れませんが、我が国は法治国家です。感情だけで動くことは許されません」「官房長官は国民が殺されてもいいと?」「やめなさい、外務大臣!」「は?」「官房長官が国民が殺されて何とも思わない訳がないでしょう!官房長官は浮き足立たずに冷静に国民を救う方法を考えようと言ってくれているんです。そんなことも分からないのなら君はもう発言しなくていい!」「そんな~」「今夜はもう遅いですし、明朝再開するとして一旦閉会となさいませんか、総理」「うん、そうですね。皆さんしっかり眠って良い方策を持って明朝集まって下さい」(うなずく閣僚たち)「では明朝まで一旦休会とします」・・・「外務大臣」「これは副総理」「総理の逆鱗に触れてしまいましたね」「私はそんなに間違ったことを申し上げたのでしょうか?」「総理はね、官房長官を非難する人間を許せないんですよ」「はあ」「総理と官房長官は学生時代からの友人でね。友人というより親友と言うべきかな」「そんなに」「ええ。あの2人には打算というものが全くない」「敬語で喋っていらっしゃいますよ」「友情が政策を誤らせないようにでしょう」「なるほど」「政治の世界で打算のない関係などあの2人だけでしょう。実に羨ましい」「分かりました、今後は気をつけます」「あまり気にしないように。ではお休み」「お休みなさいませ」
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