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追想
#5
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「こいつは片山周平。渡世名は剱崎隼人っちゅう、洒落た名前を持つ男だ」
矢島がそう言って、写真をテーブルの上に並べていく。
長身痩躯でカジュアルなスーツに身を包んだ剱崎は、歳の頃40代前半。一見するとごく普通の、お洒落なサラリーマンのように見える。
「穏やかな面してるな。ヤクザには見えない」
梶川がそう言うと、佐倉が言った。
「インテリ系とも少し違うな。堅気の雰囲気に近い。けど油断はするな。こいつはしたたかな男だよ」
「こいつは元、丸岡組の若頭だった。でも丸岡が潰れて岡嵜組に拾われた。今は岡嵜の跡目だ」
以前あった桐生丸岡組は、表面上解散ということになっているが、実際は武闘派組織の一闘会に潰された。
エリアにはもう一つ、武闘派の一闘会と肩を並べる大きな組織、関東厳武会という組がある。
「ここにいた岡嵜賢吾っていう幹部が独立して出来たのが今の岡嵜組だ」
「岡嵜は厳武の枝だよ。丸岡の元幹部や構成員の一部も、今は岡嵜にいる。組長の岡嵜は変わりもんでな」
「義理人情を大事にする、割と昔気質のヤクザだな」
仁義に厚いって?と梶川は苦笑すると、佐倉も矢島も苦笑いを浮かべた。
「だが警察には一番協力的だ。ある意味、やり易いけど手ごわい組だよ、岡嵜は」
矢島はそう言いながら、写真を並べ続ける。
「こいつは一闘会の組長、前島。こっちは厳武の組長、佐伯。犬猿の仲だ」
写真をじっと見つめる梶川を、佐倉は興味深げに眺めた。
「俺たち警察とヤクザは、割と持ちつ持たれつってところがある。もちろん、犯罪を黙認するわけにはいかないが、情報を得るための挨拶回りは大事だ。覚えとけ」
佐倉はそう言って3人の組長の写真を手に取ると、それを顔の前に掲げて言った。
「足下見られない程度に仲良くする。あくまでも、主導権はこっちだ」
「……」
「取り込まれるなよ……舐められたら負けだ」
「なるほど……」
梶川はそう言って笑った。
「だからここの連中はみんなガラが悪いんだな」
互いに顔を見合わせると、矢島は頭をかき、佐倉は両腕を組んで仏頂面をした。
「さ。講釈はここまで。ご挨拶に行くぞ」
佐倉はそう言って立ち上がると、梶川と連れ立って繁華街へと繰り出した。
矢島がそう言って、写真をテーブルの上に並べていく。
長身痩躯でカジュアルなスーツに身を包んだ剱崎は、歳の頃40代前半。一見するとごく普通の、お洒落なサラリーマンのように見える。
「穏やかな面してるな。ヤクザには見えない」
梶川がそう言うと、佐倉が言った。
「インテリ系とも少し違うな。堅気の雰囲気に近い。けど油断はするな。こいつはしたたかな男だよ」
「こいつは元、丸岡組の若頭だった。でも丸岡が潰れて岡嵜組に拾われた。今は岡嵜の跡目だ」
以前あった桐生丸岡組は、表面上解散ということになっているが、実際は武闘派組織の一闘会に潰された。
エリアにはもう一つ、武闘派の一闘会と肩を並べる大きな組織、関東厳武会という組がある。
「ここにいた岡嵜賢吾っていう幹部が独立して出来たのが今の岡嵜組だ」
「岡嵜は厳武の枝だよ。丸岡の元幹部や構成員の一部も、今は岡嵜にいる。組長の岡嵜は変わりもんでな」
「義理人情を大事にする、割と昔気質のヤクザだな」
仁義に厚いって?と梶川は苦笑すると、佐倉も矢島も苦笑いを浮かべた。
「だが警察には一番協力的だ。ある意味、やり易いけど手ごわい組だよ、岡嵜は」
矢島はそう言いながら、写真を並べ続ける。
「こいつは一闘会の組長、前島。こっちは厳武の組長、佐伯。犬猿の仲だ」
写真をじっと見つめる梶川を、佐倉は興味深げに眺めた。
「俺たち警察とヤクザは、割と持ちつ持たれつってところがある。もちろん、犯罪を黙認するわけにはいかないが、情報を得るための挨拶回りは大事だ。覚えとけ」
佐倉はそう言って3人の組長の写真を手に取ると、それを顔の前に掲げて言った。
「足下見られない程度に仲良くする。あくまでも、主導権はこっちだ」
「……」
「取り込まれるなよ……舐められたら負けだ」
「なるほど……」
梶川はそう言って笑った。
「だからここの連中はみんなガラが悪いんだな」
互いに顔を見合わせると、矢島は頭をかき、佐倉は両腕を組んで仏頂面をした。
「さ。講釈はここまで。ご挨拶に行くぞ」
佐倉はそう言って立ち上がると、梶川と連れ立って繁華街へと繰り出した。
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