哀歌ーelegy-

sorarion914

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哀歌

インターバル【現在】

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「エージが警察を辞めたのは、そのすぐ後だ」

 佐倉はそう言って、グラスに残ったブランデーを一気に飲み干した。
 サチ姐は黙って煙草をふかし、スーちゃんと綾瀬はじっと俯いていた。
 テツだけは佐倉を見つめたまま、次にくる言葉を待っているように見えた。

「アイツは何も言わず去っていった。しばらくは連絡もつかず、住んでいたアパートも引き払って姿を消した。闇落ちしちまったんじゃないかと心配していたが――ある日、急に連絡を寄越してきた」


『店を始めた。気が向いたら来いよ』


「人の心配をよそに、何を言ってるんだと思ったが、いつの間にかバーのマスターになってて驚いたよ」
 佐倉の言葉に、スーちゃんと綾瀬は笑った。
 テツもクスっと肩を震わせる。

「けど、久々に会ったエージの顔は、憑き物が落ちた様に穏やかだった。ようやく、を見つけた――そんな風に見えたよ」
 サチ姐が黙って空になった佐倉のグラスに、バーボンを注ぐ。
「これはアタシからの奢りよ」
 そう言って、自分のグラスと軽く合わせる。
 佐倉は礼を言ってグラスをかざすと、「あとは君らが知ってる、さん、だ」と言って笑った。
 その台詞に、綾瀬がボソッと呟いた。
「たまに怖ぇけどな……」
 スーちゃんが頷き、テツは苦笑した。

「アイツがどんな理由で退職を受理させたのか気になったが、元マル暴の刑事があの界隈で店を持ったんだ。『自分の背後バックにはヤクザがいる』とでも言ったんだろう。奴は岡嵜組の剱崎に目をかけられていた。組入りしかねない警察官は、さすがの刑事部長も無視できなかったんだろうな」
「でも、エージさんはヤクザじゃないでしょう?」
 スーちゃんがそう言って首を傾げる。
「その辺に関しては恐らく……」
 バーボンのストレートに顔を顰めながら、佐倉は言った。

「剱崎の方が1枚上手だったんだろうな」

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