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1話 21世紀の精神異常者
プロローグ
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冷たい風が吹き、家々の灯りも寝静まる時刻。それは私達北原家が暮らす邸宅も同じだった。私の部屋は二階にあり、照明はリモコンで操作出来る。そのためベッドに横になっていても消灯はできた。
暗い中私は、顔を見上げて窓を見る。……何もないはずの夜、何も変わりないはずの窓。
その窓から、私は目が離せなかった。
――強い風の音と共に、体がぶるりと震えた。
うっすらと街灯の明かりが差す暗闇の中、体を動かさずとも届く位置に置いてあった鞄に腕を突っ込む。
手探りで端末を取り出して、それに繋がるイヤフォンを耳にあてる。端末の音量を上げるため操作しようとしたその時――何かが聴こえた。
それは自然の音かもしれないし家鳴りかもしれない、単なる私の思い込みなのかもしれない。
しかしその何かは次第に、呪詛ともとれる音になる。
そしてその音の中で、私の名前を呼ばれた気がした。
私の見つめる窓は、二階にある。
私が“ストーカー被害”を受けてから一ヶ月半が経った。始まりは高校に入学してからだ。
時間と疲労感が積み上がるだけの、今の停滞した状況はいい加減に、なんとかしなくてはならない。……早く眠りたい。もう眠ってしまいたい。
そう思い私は窓を見つめるのをやめ、夜に隠れるように身を縮めた。
暗い中私は、顔を見上げて窓を見る。……何もないはずの夜、何も変わりないはずの窓。
その窓から、私は目が離せなかった。
――強い風の音と共に、体がぶるりと震えた。
うっすらと街灯の明かりが差す暗闇の中、体を動かさずとも届く位置に置いてあった鞄に腕を突っ込む。
手探りで端末を取り出して、それに繋がるイヤフォンを耳にあてる。端末の音量を上げるため操作しようとしたその時――何かが聴こえた。
それは自然の音かもしれないし家鳴りかもしれない、単なる私の思い込みなのかもしれない。
しかしその何かは次第に、呪詛ともとれる音になる。
そしてその音の中で、私の名前を呼ばれた気がした。
私の見つめる窓は、二階にある。
私が“ストーカー被害”を受けてから一ヶ月半が経った。始まりは高校に入学してからだ。
時間と疲労感が積み上がるだけの、今の停滞した状況はいい加減に、なんとかしなくてはならない。……早く眠りたい。もう眠ってしまいたい。
そう思い私は窓を見つめるのをやめ、夜に隠れるように身を縮めた。
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