必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 いつまでもサラダを咀嚼している俺の肩を抱き寄せた聖南が、その手でうさ耳に触れながらフッと気障に笑いかけてくる。


「それ早くごっくんしなさい。  葉璃がセンチ入るこたねぇだろ。  料理覚えたいなら俺が教えてやる。  一緒に暮らし始めたら、どっちかがメシ作って待ってるってのもいいよな」
「そうですね……!  俺がんばって覚えますから!」


 聖南が俺と一緒に暮らしたいって言ってたの、実は俺はまだ早いんじゃないかって思ってた。

 出会ってからも、付き合ってからもそんなに経ってないのに、なんでそんなに事を急ごうとするんだろうって。

 でもそれは、ひとりぼっちだった聖南が俺を恋人として愛してくれた瞬間から「四六時中一緒にいたい」と思ってくれたって事で。

 離れるのが寂しい、ツラいという気持ちを少しも隠さない聖南の愛情表現の意味が、今さらになって分かった。

 聖南の本音は分からないけど、要するに、早く家族になりたいって言ってくれてるようにも思えてならない。


「おい、いい加減センチから戻って来い。  んな顔させるつもりなかったんだけど……」


 大量の料理を見詰めたまま動かない俺を、眼帯姿の聖南が覗き込んできたからハッとして、フォークに鴨のたたきを乗せた。


「すみません……。  聖南さん、俺のデビューとか色々落ち着いたら、一緒に暮らしましょうね。  俺は聖南さんからたくさん学ばないといけないから、めんどくさいって思われる事もあるかもしれないけど……」
「ん。  だから一緒に住むんじゃん。  葉璃だけじゃない。 俺も葉璃から教えてもらわなきゃならない事ある」
「俺は何も教える事ないですよ……?」
「んや、……ある。  俺はそれが一番欲しいし、知りたい」


 もぐ、とたたきを食べていると、聖南がジッと俺を見ている事に気付いてドキッとした。

 眼帯姿であんまり意味深に見詰めてくるから、鴨肉が喉を通らない。


「な、何ですか、それ……?」
「まぁそれは後々分かる。  今はこれ食うぞ。  夜通しやるためにはしっかり食っとかないとな」


 ───俺が聖南に教えてあげられる事って、何なんだろう。

 とても思慮深い謎を解き明かそうとしたのに、隣でスパークリングワインを飲む海賊がギョッとする事を言うから、なかなか食が進まない。

 またお酒を飲んでる聖南は、きっとさっきのエッチも回数に入れてない。


「夜通しは無理ですって!」
「やってみなきゃ分かんねーだろ。  休憩挟むから」
「休憩くれた事ないじゃないですか!」
「えぇ?  やってるだろ、俺動かない時が休憩」
「それ休憩って言わないですよ……」


 当然のように言い放つ海賊様を唖然と見詰める。

 聖南が入ったままだったら、そんなの休憩じゃない。

 いつも感じ過ぎて死にそうって思いを味わわせてくれるから、度々意識を手放してしまうけど、聖南はそれも許してくれないんだ。

 堕ちた瞬間に叩き起こされる。

 聖南と家族になりたい……そう思うのは俺だって決して嘘じゃないけど、一緒に暮らしたら夜の生活が怖いって慄いてしまうのは当たり前の事だと思う。



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