必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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─葉璃─



 スマホのアプリで、いつものようにCROWNの冠ラジオを聴いている。

 ここで聴いてろ、って言われたから。

 ほんとは一人になったらすぐに帰ってしまおうとしてたけど、聖南に先手を打たれたからちゃんと残ってる。

 ……あんなの見て、動揺しないはずないもん。

 聖南の表情、モデルさんの表情、腰に回った腕、二人の格好、そして…………。

 読者に、この二人は恋人同士に違いないって思わせてしまうくらい、素人目には熱々な写真の撮り方だった。

 聖南が上半身裸だったなんて聞いてないし、相手のモデルさんもあんなセクシーなの着てたなんて知らなかった。

 そのキスが発端でモデルさんにブチ切れて一騒動を招いた聖南だったけど、まさか雑誌にそのまま載ってしまってるなんて、思いもよらなかった。

 手にしたままのHottiはもう見る気になんてなれなくて、ポイっと乱暴に会議テーブルに放っている。

 お似合い過ぎだった二人の姿なんか、二度と見たくない。

 あの記事が目に飛び込んできた瞬間、激しくヤキモチを焼いたし、何より聖南の隣に居る女性というものに何ら違和感を持たなかった現実に怖くなった。

 俺と聖南が並んだところで、お似合いだって言ってくれる人なんか一人も居ない。

 恋人同士だなんて、きっと疑われもしない。

 下手すると、兄弟?って言われてしまいそうだ。

 この女顔が憎くてたまらなくなった。

 どうせ女顔なら……聖南と愛し合えるって分かっていたなら、女として生まれたかった。

 みんなに祝福される、聖南が望む「家族」を作ってやれる女性というものに。

 聖南に俺なんか相応しくないって気持ちと同時に、男である自分が、この先もずっとずっと聖南の隣に居て迷惑をかけないかなって思った。

 あんなにかっこよくて才能に溢れた人を独り占めする自信が、木っ端微塵に砕け散ってしまった。

 俺の何が聖南を狂わせているんだろう。

 どうしてあんなに愛してくれてるんだろう。

 俺なんかに、あなたは勿体無いよ……。

 少しでもHottiから離れたいって本能的に思っちゃってたのか、さっき座ってた固いパイプ椅子じゃなくて、革張りのソファの方に移動した。

 久しぶりにネガティブさを発揮してしまった俺は、テーブルに放ったHottiを、ソファに深く座ったまま睨み付けた。

 イヤホンから聴こえてくる聖南達の笑い声が、今はすごく遠くに感じていた。




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