必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
277 / 541
44❥

44❥2




 躊躇ないその行動は愛されていると実感出来て嬉しいし、ひたすら可愛くもあるのだが、いきなりの積極性には少々気持ちが追い付かない。


「……っ……葉璃、どしたの? も、もういいっつってんのに……!」
「聖南さん……どんな時もかっこいいですね……」
「はぁっ?」
「俺の恋人なんだなぁって思うと、すっごい優越感です。 嫌な奴だなって分かってるんですけど、俺いまとってもいい気分なんです」
「………………」


 なるほど、と聖南はようやく葉璃の心が読めた。

 葉璃は聖南のラジオでの恋人宣言が相当に嬉しかったようだ。

 公の場で言ってしまった事で、取り返しのつかない事態になっているのと同時に、葉璃へも自ずとそういう事になっている。

 雑誌を見て明らかに壁を作ろうとし始めていた葉璃を、何とか安心させてやりたい、と思っての発言があれだったわけだが、聖南の思惑の一割は違うところにもあった。

 それはわざわざ葉璃に話さなくてもいいだろうと、聖南は未だ積極的にペロペロし続ける葉璃の顎を取って上向かせる。


「……なぁ葉璃。 お前は、この俺がしつこく追い掛け回してやっと手に入れた大切な人だ。 運命ってのを信じちまうくらい、俺にとって葉璃はかけがえのない者なんだよ。 俺は葉璃が居なくなったら生きていけねぇ。 分かるか? 愛してるって意味」
「……あの、……まだ俺には分からないです。 ……でも俺も聖南さんのこと大好きです。 聖南さんが居なくなったら、多分俺も、生きていけない……」
「今はそれでいい。 葉璃も同じ気持ちなら、もう何があっても狼狽えるな。 お互いが信じてればそれでいいだろ? マジで俺はもう、葉璃しか見えねぇから」
「…………はい。 ……聖南さん大好きです」


 上向かされてようやく舐めるのをやめた葉璃が、おずおずと聖南を抱き締めた。 それに応えるように、聖南も葉璃をこれでもかというほど強く抱き締め返した。

 こんな職業故、誤解を生んでしまう事柄はこの先も必ずあるはずだ。

 デビュー後の葉璃もまた、同じ条件下に晒される。

 ヤキモチを焼いたり不安を感じたりするのが、葉璃だけではなく聖南もだと思うと今からジリジリしそうだが、気持ちが通っているならば少しの嫉妬で済むはずだ。

 葉璃とは深い場所で繋がっていたい。 出来れば葉璃がデビューする前に。

 麗々の事は死ぬほどムカつくが、そう思っていた聖南にとってはいいきっかけとなった。

 現にこうして、葉璃は卑屈さを滲ませつつではあるが喜びを爆発させてくれている。

 珍しく聖南は動揺を顕にしてしまったが、理由が分かると尚更、葉璃の事が愛しくてたまらない。


『俺の事大好きーってのはめちゃめちゃ伝わったよ、葉璃』


 聖南が苦手だと思っていた行為は、それそのものが嫌だったわけではなく、好きだと思えない相手にされていたから微妙だっただけらしい。

 ひと舐めと同時の葉璃の上目遣いには痺れた。

 繋がって啼かせるのもいいが、あれもまた凄まじく良かったから、今度はシックスナインでやってみようと聖南は葉璃を抱き締めながら微笑んだ。

 いけない事をさせてしまっているという背徳感は拭いきれないが。




感想 3

あなたにおすすめの小説

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

魔性の男

久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。 最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。 そう、思っていた。

元アイドルは現役アイドルに愛される

BL
人気アイドルグループのエースだった奏多は事故により脚を怪我し、グループを脱退する。エースの抜けたグループの人気はみるみる下落し、そのまま解散。そのことに責任と罪悪感を感じた奏多は芸能界の表舞台から引退し、正体不明の作曲家Kとして裏で支えることに。 罪悪感からご飯を食べなくなった奏多の肌は痩せこけ、青白くかつての輝きはなくなっていた。 ある日の打ち合わせでかつてのグループメンバーである颯真と再会する。 メガネとマスクをしているがかつてのメンバーのことは騙せない。 『奏多、会いたかった』 『僕、奏多さんのパフォーマンスを見て、人生変わったんです!』 やけに自分に懐いているワンコ系の後輩リオと、かつてのグループのメンバー颯真に受け止めきれない愛を向けられる話。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【R18】兄弟の時間【BL】

BL
色々あってニートになった僕、斑鳩 鷹は当たり前だけど両親にめっちゃ将来を心配されまさかの離島暮らしを提案されてしまう。 待ってくれよ! アマゾンが当日配送されないとこなんて無理だし、アニメイトがない世界に住めるか!  斯くて僕は両親が改心すればと家出を決意したが行く宛はなく、行きついたさきはそいつの所だった。 「じゃぁ結婚しましょうか」 眼鏡の奥の琥珀の瞳が輝いて、思わず頷きそうになったけど僕はぐっと堪えた。 そんな僕を見て、そいつは優しく笑うと机に置かれた手を取って、また同じ言葉を言った。 「結婚しましょう、兄さん」 R18描写には※が付いてます。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。