必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 最近はその影を見せなかったが、やはりあのスキャンダルの時のようにマスコミが聖南のマンション前で張っていて、車で出たところを取り囲まれた。

 窓を下げ、危ないから避けて、と言いながらジワジワ進み、追い掛けられない所までくるとアクセルを踏んだ。


「そーいえばスマホの電源落としてたわ」


 葉璃との行為とその後の睡眠を邪魔されないように、落としていた電源を入れるや否やすぐさま大量の着信通知がきた。

 その通知の最中にも電話は鳴り止まず、仕方なくイヤホンを付けて順々に応対していく。 相手は事務所のスタッフや先輩、親しくしている芸能界の友人らからで、いくらか穏やかに会話できた。

 昨日は仕事先や別会社の重役連中が相手だったので、聖南も早めに電話を切り上げる事が難しく、葉璃を少しの間放置せざるを得なかった。

 今日の相手には今から仕事だからと早々と断り、スマホの電源を落としてからプライベートのスマホと財布だけ持って局へ入ると、待ち構えていたスタッフに恭しく楽屋を案内されて苦笑した。

 どうも今日の生放送で根掘り葉掘り聞いてきそうな気配だ。

 今日は昼の生放送番組にCROWNとしての出演だから、アキラとケイタももうじきやって来るだろう。

 聖南は早くも楽屋に用意されていた衣装に着替え、飲み物と弁当が乗った会議テーブルに浅く腰掛けた。 パイプ椅子は低くて座りにくいため、テーブルの高さがちょうど良かった。

 支度を済ませた聖南は、おもむろにスマホを持ち出してコンシェルジュへと電話を掛ける。


「あ、もしもし、日向聖南ですけど。 弁当の手配……和食と洋食の二つ、お願いします。 ……そーっすね、一時くらいで。 部屋から連絡あると思うんで、その時持って行ってもらえれば」


 弁当二つはペロリと食べるだろうと踏んで、多めに頼んでみた。

 電話の最中にケイタが楽屋へ入って来たが、右手で挨拶を交わし合うに留める。


「はい、……じゃよろしくお願いします。 ……おっす、ケイタ」
「おはよーセナ。 あれから大丈夫だった?」


 聖南がすでに衣装に着替えているのを見たケイタも、来て早々着替え始めた。

 宣伝も兼ねての出演なので、新曲用の衣装だ。

 今回は深緑のカジュアルスーツに、スーツと同じ色のネクタイ、白のカッターシャツは三人とも同じだが、ベストがそれぞれのメンバーカラーである。

 深緑のスーツに合うように、聖南は黒、アキラの赤とケイタの紫はかなり色味を落としてあって、シックな装いだ。


「電話はすげぇけど、葉璃との仲は超大丈夫」
「そっか。 今日質問攻めされるだろうね~」
「だろ? 俺に恋人が居ようが居まいが世間は興味ねえと思うんだけどな」
「それはどうかなー……」


 昨日と変わらず何の危機感も感じていない聖南に、ケイタは苦笑するしかなかった。




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