必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 愛おしげにぎゅっとしがみついてくる葉璃は、近頃絶頂へ近付くにつれて聖南の体を噛んでくる。

 孔をヒクつかせ、聖南の性器を弄ぶかの如く内側からも絶え間なく攻めてくる可愛い恋人が、子犬か子猫かのように甘噛みしてくるのである。

 葉璃の泣き顔を見る限り必死なのは分かるのだが、煽られまくる聖南は理性をどんどん削られた。

 挙げ句の果てには、───。


「……ん、っんんっ……ふっ……ぁむっ……」
「……なっ……!」


 喘ぎながらカプッと聖南の腕に噛み付いていたはずの葉璃が、いきなり聖南の乳首を舐めてきたのだ。

 聖南の動きが思わず緩やかになるほどの衝撃と快感が、全身を駆け巡る。


「葉璃、やめ……!」
「せなさん……っ、きもち、いい……?」
「…………っっ……」


 見上げてくる凶悪なまでの可愛い瞳と、教えてもいないのに葉璃の方から自発的に乳首をペロペロと舐められてひどく動揺した。

 舐められたのは初めてではない。 ただしこれもあまり好きではなかった。


『フェラもこれも、葉璃なら関係ねぇっつー事か』


 ペロ、ペロ、と短い舌で舐められ、唇を使ってちゅっと吸いついてくる葉璃の中の小悪魔が再度現れた事で、聖南の興奮メーターは振り切ってしまった。

 こんな事、聖南は教えていない。

 恥ずかしがってばかりの葉璃が近頃たまに見せる積極的な行動は、聖南の知り得るものではないためまたも不安に駆られた。

 葉璃の鼻先に噛み付きながら、聖南はその愛しい瞳を睨む。


「どこでそんな事覚えた?」
「……んぁぁっ……! なか、グリグリしな、いで……!」
「俺の知らねぇとこでこんな事誰かに教わってんの? フェラも」
「そ、そんな……そんなこと……っ……! あっ、やめ……っ、せなさんっ……!」
「葉璃は俺しか知らねぇはずだよな?」
「……うん、そ、だよ……っ……うたがう、の……っ?」
「疑いたくねぇけどビビんじゃん。 急にあんな事されたら。 あ、いっこ言っとくけど」


 葉璃の眦から零れ落ちる涙を舐め取って、聖南は腰を使いグググッと奥深くまで挿入する。

 乳首を舐める隙など与えないとばかりに、腿裏を持って美しく微笑むと気障に髪をかき上げた。


「俺以外の奴と寝たら相手殺すからな」
「…………っっ!」
「覚悟して浮気しろよ」
「……しな、い、しないよ、そんな事……!」
「分かってる。 言ってみただけ」


 行為の最中にまるで相応しくない単語が出たせいで、絶え間なく流れていた葉璃の涙はピタリと止まった。

 聖南は器量が狭く、嫉妬深い。

 自身でもきちんと自覚しているけれど、そんな聖南の恋人である葉璃には本人よりもその現実を分かっていてほしかった。

 しかし、言い聞かせたかっただけの聖南が微笑んでいるというのに、可愛い恋人はどうも意図を汲んでくれていない。

 ピンク色のほっぺたがじわじわと膨らんでいく。


「…………俺も一緒の事、するもん」
「フッ……。 葉璃ならそう言うと思った」


 少し前の葉璃なら泣いて終わりだっただろうが、聖南を愛してくれている今の葉璃なら負けずに言い返してくると思った。

 葉璃は誰よりも、聖南の事を理解してくれている。

 非常に面倒くさいレベルで嫉妬深い聖南を認めてくれ、それが「聖南さんでしょ」と膨れっ面で見詰めてくれる。

 とはいえ、可愛くて綺麗で現に食べてしまいたいほど愛おしいこの体を、違う誰かが触れるところを想像するだけでおかしくなりそうだ。

 葉璃も同じ気持ちだと分かったのは大きな収穫で嬉しかったが、無意識に可愛いを垂れ流す葉璃が聖南に耳打ちした台詞で、さらに器量が狭まった気がする。


「聖南さんがヤキモチ焼くの、やっぱり嫌いじゃないです」


 しばらく動きを止めていたせいで、葉璃の敬語が復活していた。

 ちゅ、と頬に受けた軽やかなキスにより、自身の膨張を自覚した聖南の心はまさに狂喜乱舞だった。



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