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例えようのない葉璃の甘い香りを嗅ぐと無性に下半身が疼き、その場で押し倒したい衝動に駆られた。
キスだけでも!と葉璃に顔を寄せると全員に止められて、あげくアキラとケイタに問答無用でシャワールームへと押し込まれて仕方なくシャワーを浴びているが、抱きたいと叫んだのはかなり本気であった。
髪を洗っている今も自身は元気いっぱいに反り勃っていて、ムラムラが治まらない。
『でもなぁ……葉璃ちゃん来てるからなぁ……♡』
一度抜いてしまおうかと考えたが、せっかく葉璃が来てくれているのだから大好きな体とあの瞳に宥めてほしい。
ライブ後の俺と愛し合う覚悟して来い、と言っておいたから、葉璃ももちろんそのつもりで来ているだろう。
『そうだといいなー……。 あー……打ち上げサボりてぇ……』
「どうにか逃げらんねぇかなぁ」
スタッフとの反省会や親睦を深める意味合いの打ち上げも、葉璃の存在があるならばちょっとだけ、……ほんのちょっとだけ、出席するのが面倒だ。
こんな事は絶対に誰にも言えないけれど、自身の中で消化する分には少々愚痴っても構わないはず。
髪も体も洗い終わってしまい、早くシャワールームから出て葉璃の元へ飛んで行きたいのだが、なかなか息子が落ち着かないので壁に手を付いてひたすらシャワーを浴び続けた。
少しでも油断するとベッドの上の葉璃を想像してしまっていけないので、明日のライブや明後日のアリーナ公演についてを真面目に考える事で必死に欲と戦った。
「ずいぶん長かったな」
聖南がシャワールームを出ると、入り口で待っていたアキラに飲み物を渡された。
「お、サンキュ」
「お前まさか抜いて……」
「ねぇよ、後でたっぷり相手してもらうから。 なかなか鎮まんなかっただけ」
「…………あ、そ。 とりあえずテンション落ち着いたみたいだな。 スタッフ撤収し始めてっから、俺らも出るぞ」
了解、と短く返事をすると、アキラから受け取ったミネラルウォーターを一気飲みした。
そういえばライブ終わりに何も飲んでいなかった。
「葉璃と恭也は?」
「もう成田さんと先行ったんじゃねぇかな? 控え室居なかったから」
「はぁ!? なんで俺置いて……!」
「セナがあのテンションのままだったら大変だからだろ! 暴走しやがって!」
先刻は取り乱して大変申し訳ありませんでしたと内心では詫びているものの、それよりも愛する葉璃が目の前に居れば否が応でも興奮はMAXになるのだから仕方がない。
「しょうがねぇじゃん……意志より先に体動いちまったんだから。 ……ま、ライブ直後にあんなかわいーのが居たら迷わず抱き締めちまうのも無理ないだろ」
「俺らの前だからってちょっとは自重しろよ! ダンサー達もマジですぐ傍まで来てたんだからな! バレても知らねぇぞっ」
もしかしてアキラは聖南を叱るために待っていたのだろうか。
いつにも増して感情を剥き出しにしているので、逆に聖南が冷静になってきた。
「……なぁアキラ、今日は長男肌に磨き掛かってるな?」
「セナがそうさせてんだろうが!」
「俺が? いやぁ、まいったな」
「褒めてねぇ!!」
「なになに? 何か揉めてる?」
あれ、褒めてねぇの?と聖南が火に油を注ぐ前に、私服に着替えたケイタがのんびりと現れた。
聖南が持っている物と同じミネラルウォーターを脇に挟んで、気に入っているのか最近常に身につけているトップの無いクロムハーツのチェーンネックレスの留具を触っている。
「セナが危機感持たねぇから腹立ってな」
「危機感? あぁ、さっきの?」
「んな心配要らねぇって。 どっかから情報漏れたとしても俺とうさぎちゃんはもう動じねぇ」
「お前はいいだろうけど、うさぎちゃんが傷付いたらどうすんだって言ってんの。 今後は追われる立場になんだぞ、うさぎちゃんも」
まだスタッフが数名行き交っているので、葉璃の愛称「うさぎちゃん」を三人は使用した。
そしてかなり密密な話なので、壁際で三人が肩を寄せ合って会話をしている様は少しばかり滑稽だ。
「セナが用心してても火のないところには何とやら~ってのがあるからね。 もしうさぎちゃんが泣いたら俺もアキラも恭也もガチで許さないよ」
「え、俺とうさぎちゃんの問題だろ? そりゃそこまで俺らの事思ってくれて嬉しいけど、お前らどうしたんだよ。 ちょっと気持ち入り過ぎてねぇ?」
「セナもうさぎちゃんも大事だからだ。 俺らは多分死ぬまで一緒にいんだろ。 たとえCROWNが万が一解散になったとしても、だ。 ……家族みたいなもんなの」
「俺も同じだよ。 特にアキラはセナの事昔から心配してたからね。 愛された事がないから人なんか愛せねーって言ってたんだよ、セナ。 色々あって人生投げやりになってたのも分かるけど、セナの中身知ってる俺達は歯痒かったんだ。 だからうさぎちゃんと愛し合ってるセナはもっと自分の置かれた立場を考えなさいって」
「アキラは分かるけどケイタまで……生意気な」
「本気で言ってんだけど! セナはもう一人じゃないんだよ。 この先もうさぎちゃんと人生歩んでいくんでしょ?」
「セナからうさぎちゃんを奪う事も、うさぎちゃんからセナを奪う事も誰も出来ねぇんだよ。 お前らの愛は必然なんだから。 出会いから付き合うまでの経緯なんて、漫画とか映画みてぇじゃん。 な、ケイタ」
「うん。 最後はハッピーエンドのやつ。 JKがキャーッて言いそうなやつ。 あ、ちなみに映画やるなら俺主演でいいよ」
「なんかそれ前も言ってたな。 セナはお前が演るとして、相手はどうすんだよ」
「そりゃうさぎちゃんにやってもらうよ!」
「………………」
普通ならここで「なんで俺のうさぎちゃんを!」と激しく憤るはずの聖南が、難しい顔で腕を組んで二人から視線を外していた。
考えていたのだ、ずっと。
聖南が物心ついてから大人になるまで様々体感した侘びしい期間も、CROWNとしてデビューし成功していく過程も、すべて葉璃と出会うためだったのではないか───。
年明けに葉璃と濃厚なセックスの後、聖南自身が何気なく言った「必然」という言葉が心にスッと収まった。
すれ違った時もあったが、色々な事を経た今なら附に落ちる。
葉璃と出会い、そして、愛してると言うために聖南は産まれ落ちたのだ。 そして葉璃も、聖南と出会うために産まれた───。
聖南の心の奥底で眠っていた新たな愛情が、湧き上がった。
それは止めどなく溢れ出てきていて、葉璃を思うと胸がいっぱいになって苦しいほどであった。
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