必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 葉璃の性格上そういう結論に達するのは分からなくもないが、聖南が目の当たりにした埋もれた才能を、このまま見過ごすには勿体無いような気もした。


「勿体ねぇ~」
「……え?」
「俺言ったじゃん。葉璃の歌声は聞いてねぇからそこは何とも言えねぇけど、ダンスに関してはピカイチのセンスあるって。上手いってレベルじゃなかったけどなー」
「……えぇっ……」


 一目惚れしたあの瞬間から葉璃に見惚れていたのは事実だが、それと同時にパフォーマンスにも強烈に目を奪われていた。

 葉璃にだけスポットライトが当たっているかのように光輝いていたのは、聖南がその目で確かに見ている。

 嘘だーとでも言いたそうな葉璃の反応に、本当にこの子は自分の事には無頓着なんだなと改めて察した。


「葉璃って今その事務所に入ってんの?」
「いえ、入ってないですよ。春香の弟っていうので知られてるだけです。スクールにはもう四年くらい?いるので……」


 ── ほんとにそれだけなのか。結構前から目付けられてそうだけど。春香のデビューが決まった日から……とか。


 葉璃が女性であれば姉妹仲良く春香と同じグループに所属させられていたかもしれないが、男性だったために同グループは諦めざるを得なく、出した結論が新たなソロデビューかアイドルユニットだったと。

 そうとしか考えられない結論に、聖南は笑った。


「まぁ葉璃がやりたくないなら仕方ねぇよな。でももしやる気になったら、うちの事務所に来い」
「えぇっ?  行かないですよ。微塵も考えられないんで」
「……こりゃ佐々木も苦労するわ。今度葉璃の歌声聞かせてもらおーっと」
「い、嫌です! 超が付く音痴だって思っててください!」
「音痴は治るんだよーん」


 何を言っても返されてしまう聖南の口撃に、葉璃もタジタジだった。

 チラっと葉璃を窺うと、ぷぅっと頬を膨らませて怒っていて、またその可愛いやつかと聖南は目を見開く。

 自然と、肩を抱き寄せた手に力が入る。

 無言で数秒見詰め合うと葉璃からOKの雰囲気を感じ取り、聖南はゆっくりと顔を近付けていった。

 目尻が少し上がったまん丸な瞳に自身が映っている事に笑みを溢しながら、まるで無抵抗な唇を奪う。

 重なったそこから葉璃の体温を直で感じて、もっと深く中へ入りたいと性急に舌を捩じ込んだ。

 もう三度目になるキスに葉璃も少しだけ積極的になってくれていて、存分に口腔内を蹂躙した。


「んっ……ふ……んぅ……」


 葉璃の舌を強めに吸うと、切なげに眉をしかめて聖南の首にしがみついてくる。

 左腕だけで葉璃の体を支えていたが、おずおずと聖南を抱き寄せてくれたおかげで、腕が動かしやすくなってニヤリとした。

 この傷跡のせいで繋がる事はまだ無理だが、葉璃を気持ち良くさせることは出来る。

 すでに葉璃が下半身をもぞもぞとさせ始めているのに気付いた聖南は、躊躇なくジーンズの上からそこに触れてみた。


「んんっ……!!」


 まさか触れられるとは思っていなかったのか、逃げ腰になった葉璃から胸を強く押されたものの、その反応は読んでいたので抱いている腕に力を込めて逃さなかった。

 葉璃の唇を舐め回しながら、興奮のままにファスナーを下ろしていく。


「……んっ……せ、……せなさんっ……んんっ」


 キスを終わらせてくれない聖南が無言で自身に触れようとしてくるので、葉璃は必死で抵抗を試みている。

 だが聖南は一回り以上背が高く、その上、体にはしなやかな筋肉を蓄えていてその抵抗はあまりにも非力だった。


「んんーっ! ……んっ、ぁん……やっ……んーっっ」


 聖南が葉璃の可愛らしく勃つ性器をギュッと握り、上下に数回動かしてやると、キスで昂ぶった葉璃の顔が苦悶に歪んだ。

 その後すぐに射精の時は訪れる。


「……っ! はぁっ、……はぁ……っ」


 それと同時に唇も解放してやると、葉璃は可哀想なほどに肩で息をしている。

 男の体が初めての聖南も、やや呆けていた。

 若干なりとも抵抗を感じるかと思ったが微塵もそんな事はなく、むしろこのまま続きをしたいくらいだった。

 涙目の葉璃を見ると、さらに興奮してくる。

 聖南の手で射精し、胸に体を預けてくる葉璃を最高に愛おしく感じながら、聖南も腰をモゾっとさせた。

 今までの代償だからと受け入れた傷跡が、今だけは恨んでしまいそうになるほど、聖南の前も弾けそうにいきり立っていて痛かった。



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