必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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 スマホが朝の目覚めを知らせている。

 スヌーズ機能が何度も繰り返されている中でも、なかなか起きられないでいた。

 布団からにょきっと腕を伸ばし、うるさいアラームを止める。

 支度が遅い俺は早く起きないといけないのに、なんだか足がじわじわっと痛くて、おまけにだるくて、起き上がりたくなかった。

 ……何だろ、この変な感じ……。

 寝たままの状態で両足をゆっくり動かしていると、廊下から足音が聞こえて、ついつい朝から煩わしいのが来たと思ってしまった。


「葉璃ー! いつまで寝てんの! ……って、起きてるじゃん。 何してるの、早く支度しなくちゃ。 今日終業式だから半日で終わりでしょ? がんばろ!」
「いや……分かってるんだけど。 足が痛くて……」


 何でこんなに元気なんだってくらい、春香は今日も朝から口数が多い。


「え!? 足? 痛いの? 歩けない?」
「たぶんそれほどではないと思うんだけど……何か変な感じでさ。 足がだる痛いみたいな感じで、ベッドから下りたくなくて」
「何それ……? お母さんに言ってみよっか? 今日お仕事休みだって言ってたから、病院連れてってもらいなよ」
「うーん……」


 果たして病院に行くほどの事かなと思いはしても、この謎の違和感がある中で通学するイメージが全然湧かない。

 ヘトヘトになった聖南との行為は三日も前の事だし、毎日やってるレッスンの影響っていうのも考えにくい。

 全身筋肉痛で痛いなら分かるけど、ピンポイントで足だけ痛くなるなんて明らかに変だ。


「お母さん呼んでくるね。 ちょっと待ってて」


 俺がいくら陰気でも、そうそう学校を休んだり寝込んだりしないからか、起きられない俺を心配そうに春香が見やって部屋を出て行った。

 少し怖かったけど、ベッドからゆっくり起き出して部屋の中を歩いてみる。

 思ったより歩けてるけど、やっぱり痛い。 じわじわっとしか歩けないし、長時間立ってるのも無理だ。

 仕方なく休む事にした俺は、恭也にだけはその旨をメッセージで送っておく。

 するとすぐさま電話が掛かってきた。


『おはよう、葉璃。 どうしたの? 体調悪い?』
「おはよー。 ううん、体調は悪くないんだけど、なんか足が変に痛くて。 だから病院行ってくる」
『足が、変に痛い……? 何だろうね。 葉璃が休むって、言うくらいだから、心配だな』
「たぶん大丈夫だと思う。 ゆっくりだけど、歩く事は出来るから」
『そう。 病院終わったら、連絡くれる? 俺も、気になる』
「分かった。 じゃあね」


 わざわざ電話までしてきてくれるなんて、恭也はなんて友達思いなんだろう。

 暖簾の奥で心配そうな表情をしている様が目に浮かぶようだった。

 冬休みを目前に学校を休むなんて気が引けたけど、……仕方ない。




… … …


 母さんと整形外科に来てみたものの、初診かつ予約も無かったから物凄く待たされている。

 平日なのにすごく混んでいて、いくつもある長椅子は全部埋まってるんだ。

 ごめーん、今日仕事になったのよ~と元気に謝ってきた母さんは、受付だけ済ませると早々と帰ってしまった。

 おかげで俺は人見知りオーラを全開にして、壁際の角に陣取ってスマホとにらめっこ中。

 待ってる間に、心配してくれてた恭也に病院名と、まだ掛かりそうだというメッセージを送っておいた。

 診察までで二時間近く待ち、レントゲン撮ってその診断を聞くまでで二十分、現在会計待ちで、ここでも十五分ほど待たされている。

 気になる診断結果はなんと、成長痛。

 こんな遅い時期にくるなんて稀だと言われたけど、今の所異常が見受けられないし、成長痛なら痛み止めがよく効くから飲んでみてと言われた。

 もし痛みが強くなったり、痺れを感じたりしたらMRI撮って詳しく調べようって。

 成長痛と聞いて、「あぁ!」と附に落ちたから多分大丈夫だと思う。 小学校高学年頃に、そういえば同じような痛みとだるさを経験してた。

 その時は、すごく短期間だったけど。




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