必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
136 / 541
27♡

27♡





 スマホが朝の目覚めを知らせている。

 スヌーズ機能が何度も繰り返されている中でも、なかなか起きられないでいた。

 布団からにょきっと腕を伸ばし、うるさいアラームを止める。

 支度が遅い俺は早く起きないといけないのに、なんだか足がじわじわっと痛くて、おまけにだるくて、起き上がりたくなかった。

 ……何だろ、この変な感じ……。

 寝たままの状態で両足をゆっくり動かしていると、廊下から足音が聞こえて、ついつい朝から煩わしいのが来たと思ってしまった。


「葉璃ー! いつまで寝てんの! ……って、起きてるじゃん。 何してるの、早く支度しなくちゃ。 今日終業式だから半日で終わりでしょ? がんばろ!」
「いや……分かってるんだけど。 足が痛くて……」


 何でこんなに元気なんだってくらい、春香は今日も朝から口数が多い。


「え!? 足? 痛いの? 歩けない?」
「たぶんそれほどではないと思うんだけど……何か変な感じでさ。 足がだる痛いみたいな感じで、ベッドから下りたくなくて」
「何それ……? お母さんに言ってみよっか? 今日お仕事休みだって言ってたから、病院連れてってもらいなよ」
「うーん……」


 果たして病院に行くほどの事かなと思いはしても、この謎の違和感がある中で通学するイメージが全然湧かない。

 ヘトヘトになった聖南との行為は三日も前の事だし、毎日やってるレッスンの影響っていうのも考えにくい。

 全身筋肉痛で痛いなら分かるけど、ピンポイントで足だけ痛くなるなんて明らかに変だ。


「お母さん呼んでくるね。 ちょっと待ってて」


 俺がいくら陰気でも、そうそう学校を休んだり寝込んだりしないからか、起きられない俺を心配そうに春香が見やって部屋を出て行った。

 少し怖かったけど、ベッドからゆっくり起き出して部屋の中を歩いてみる。

 思ったより歩けてるけど、やっぱり痛い。 じわじわっとしか歩けないし、長時間立ってるのも無理だ。

 仕方なく休む事にした俺は、恭也にだけはその旨をメッセージで送っておく。

 するとすぐさま電話が掛かってきた。


『おはよう、葉璃。 どうしたの? 体調悪い?』
「おはよー。 ううん、体調は悪くないんだけど、なんか足が変に痛くて。 だから病院行ってくる」
『足が、変に痛い……? 何だろうね。 葉璃が休むって、言うくらいだから、心配だな』
「たぶん大丈夫だと思う。 ゆっくりだけど、歩く事は出来るから」
『そう。 病院終わったら、連絡くれる? 俺も、気になる』
「分かった。 じゃあね」


 わざわざ電話までしてきてくれるなんて、恭也はなんて友達思いなんだろう。

 暖簾の奥で心配そうな表情をしている様が目に浮かぶようだった。

 冬休みを目前に学校を休むなんて気が引けたけど、……仕方ない。




… … …


 母さんと整形外科に来てみたものの、初診かつ予約も無かったから物凄く待たされている。

 平日なのにすごく混んでいて、いくつもある長椅子は全部埋まってるんだ。

 ごめーん、今日仕事になったのよ~と元気に謝ってきた母さんは、受付だけ済ませると早々と帰ってしまった。

 おかげで俺は人見知りオーラを全開にして、壁際の角に陣取ってスマホとにらめっこ中。

 待ってる間に、心配してくれてた恭也に病院名と、まだ掛かりそうだというメッセージを送っておいた。

 診察までで二時間近く待ち、レントゲン撮ってその診断を聞くまでで二十分、現在会計待ちで、ここでも十五分ほど待たされている。

 気になる診断結果はなんと、成長痛。

 こんな遅い時期にくるなんて稀だと言われたけど、今の所異常が見受けられないし、成長痛なら痛み止めがよく効くから飲んでみてと言われた。

 もし痛みが強くなったり、痺れを感じたりしたらMRI撮って詳しく調べようって。

 成長痛と聞いて、「あぁ!」と附に落ちたから多分大丈夫だと思う。 小学校高学年頃に、そういえば同じような痛みとだるさを経験してた。

 その時は、すごく短期間だったけど。




感想 3

あなたにおすすめの小説

魔性の男

久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。 最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。 そう、思っていた。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

元アイドルは現役アイドルに愛される

BL
人気アイドルグループのエースだった奏多は事故により脚を怪我し、グループを脱退する。エースの抜けたグループの人気はみるみる下落し、そのまま解散。そのことに責任と罪悪感を感じた奏多は芸能界の表舞台から引退し、正体不明の作曲家Kとして裏で支えることに。 罪悪感からご飯を食べなくなった奏多の肌は痩せこけ、青白くかつての輝きはなくなっていた。 ある日の打ち合わせでかつてのグループメンバーである颯真と再会する。 メガネとマスクをしているがかつてのメンバーのことは騙せない。 『奏多、会いたかった』 『僕、奏多さんのパフォーマンスを見て、人生変わったんです!』 やけに自分に懐いているワンコ系の後輩リオと、かつてのグループのメンバー颯真に受け止めきれない愛を向けられる話。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【完結】かわいい彼氏

  *  ゆるゆ
BL
いっしょに幼稚園に通っていた5歳のころからずっと、だいすきだけど、言えなくて。高校生になったら、またひとつ秘密ができた。それは── ご感想がうれしくて、すぐ承認してしまいネタバレ配慮できないので、ご覧になるときはお気をつけください! 驚きとかが消滅します(笑) 表紙は、Pexelsさまより、suzukii xingfuさまによる写真をお借りしました。ありがとうございます! 文章にはAIを使用しておりません。校正も自力です!(笑)

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。