必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
148 / 541
28❥

28❥5




 これまでの人生ずっと一人ぼっちだった聖南にとって、突然現れた唯一の存在。

 好きだ。  愛してる。

 その言葉すら薄っぺらく思えてしまうほど、聖南は葉璃に執着していた。

 これは自分だけの気持ちだから、それを葉璃にぶつけたところで肩透かしに終わるだろうと思っていたのだ。

 とにかく、葉璃が大事で、大切で、心配なんだと伝えられれば良かったのに、まさか葉璃の方から「俺を信じられないんですか」とくるとは思わなかった。

 聖南にとって葉璃は、まだまだ未熟な子どものままな気がしていた。

 高校生という多感な年頃の心の成長がこれほど早いとは思いもせず、ストレートに聖南を安心させてくれた葉璃の言葉に、極小だった器は中くらいほどまで持ち直した。

 聖南の気持ちを落ち着かせようとしたのか、葉璃の方から積極的に聖南の体に触れてくれたところも敗北の大きな要因だ。


「いいですよ。 ヤキモチ焼かれるの、嫌な気はしないですから」
「なっ……、葉璃、ほんと言うようになったよな」


 口から産まれてきただろと周囲に言わしめるほどの聖南さえたじろがせる、葉璃の言の葉。

 わざとではないところが何とも恐ろしい。


「これが多分、ほんとの俺です。  ……嫌いですか?」
「嫌いなわけねぇじゃん。  言っただろ、俺はどんな葉璃でも好きだって」
「…………言いましたっけ?」
「あぁ?  ……忘れてやがんな!?」
「ふふっ……」


 顔を逸らして小さく笑う葉璃を抱え上げ、可愛過ぎて憎らしい恋人に優しくキスを落とすと、そのままベッドルームへ向かった。

 目の前の愛しい者が葉璃であるならば、中身や外見がどう変わろうと聖南の気持ちに変化は起きない。

 葉璃が離れていかないと安心したら尚のこと、嫉妬深さももちろん変わるはずがなかった。


「覚悟しろよ、お仕置きは忘れてねぇからな」
「えぇ!?  さっきのでチャラでしょっ?」
「んなわけあるか。  葉璃の気持ちは十分伝わったし、俺も葉璃を信じてる。  けどダメなもんはダメ」
「そんな~~。  明日パーティーですよ?  あんまり体痛くなったら困ります……」
「それは大丈夫だろ。  今日は葉璃に動いてもらうから」


 聖南は言いながら眼鏡を取り出して掛けると、口元だけでニヤッと笑った。


「……ハッ!  眼鏡聖南さん……!!」
「あ~これじゃお仕置きになんねぇかな?  また葉璃の目が♡だからなー」
「が、がんばります。  ……ぅわっ……」


 眼鏡を掛けると一瞬にして葉璃の頬が色付いて、瞳が濡れた。

 そんなにメロメロになるほどこの眼鏡のどこがいいのか、聖南には未だに謎だった。

 だがお仕置きと称して騎乗位で中イキさせようと目論む聖南の瞳は対して獣のようで、葉璃が着ているパーカーを脱がすと自身はゴロンと横になる。

 まずは存分に、慣れない行為の前兆で恥ずかしがってもらう。

 聖南のものであるという自覚を植え付けるために、葉璃にはすべてを曝け出してもらわねばならない。


「葉璃、腹に乗って」
「……はい……」


 聖南は衣服を着たまま、葉璃は下着を付けたまま聖南に跨るという特異な性癖と思しき格好で、二人は濡れた視線を混じり合わせた。



感想 3

あなたにおすすめの小説

魔性の男

久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。 最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。 そう、思っていた。

【R18】兄弟の時間【BL】

BL
色々あってニートになった僕、斑鳩 鷹は当たり前だけど両親にめっちゃ将来を心配されまさかの離島暮らしを提案されてしまう。 待ってくれよ! アマゾンが当日配送されないとこなんて無理だし、アニメイトがない世界に住めるか!  斯くて僕は両親が改心すればと家出を決意したが行く宛はなく、行きついたさきはそいつの所だった。 「じゃぁ結婚しましょうか」 眼鏡の奥の琥珀の瞳が輝いて、思わず頷きそうになったけど僕はぐっと堪えた。 そんな僕を見て、そいつは優しく笑うと机に置かれた手を取って、また同じ言葉を言った。 「結婚しましょう、兄さん」 R18描写には※が付いてます。

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

隣人、イケメン俳優につき

タタミ
BL
イラストレーターの清永一太はある日、隣部屋の怒鳴り合いに気付く。清永が隣部屋を訪ねると、そこでは人気俳優の杉崎久遠が男に暴行されていて──?

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21) ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。