必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
199 / 541
35♡

35♡7




「知り合ってまだ四ヶ月なんだよな……。  なのに、俺のすげぇ暗くて痛いとこ話しちまって、悪かったと思ってる。 戸惑うのは当然だと思う」
「……何……?」
「あーごめん。 飛んでた?」


 ……飛んでた。

 体中、汗と唾液でベッタベタで、互いの精液に至ってはパリパリに乾燥し始めてる。

 手足の指先を動かすのも嫌だと思うほど疲労困憊だった。

 遠退く意識の中で、そんな俺のベタベタの体にくっついて離れない聖南が謝ってきたけど、もう何がなんだか。

 窓の外はすっかり明るくなってて、時計を見るのが怖い。


「葉璃は離れて行かない?  ずっと一緒に居てくれるよな?」
「………………」
「ちょっ、何でそこで黙んの?  嫌だからな、急に変な事聞かされんの」


 違う、黙りたくて黙ってるんじゃない。

 疲れたんだってば。

 俺は目に見えて焦り始めた聖南の髪を撫でて、視線を合わせて微笑んだ。

 暗くて痛い聖南の過去なんて、俺が今からいくらでも上書きしてあげる。

 聖南が、俺のどうしようもなくつまんなかった毎日を何気ない日々に上書きしてくれたように、俺も同じだけ、何でもないただの過去だったって思えるようにこれからずっと一緒にいてあげる。

 離れていても安心させてあげられるくらい、聖南しか見えてないよって毎日言ってあげる。

 そう思ってて口にも出したいのに、喉がガサガサで声すら出ない今どうやって気持ちを伝えてあげたらいいんだ。


「…………声、でない」
「……マジか。  ずっと可愛く啼いてたもんな。  なら、しょうがねぇ」
「……スマホ、取って」


 なんで、という顔を見せながらもベッドから下りて俺のコートからスマホを持ってきた聖南は、さっきのようにまたピタリとくっついた。

 俺はスマホのメモ画面を開いて、いま思ってた事を長々と書き込んで聖南に見せる。

 読み終わった聖南から、ぎゅぅぅ、と押しつぶされんばかりに抱き締められてちょっと苦しかった。


「……葉璃を好きになって良かった。  葉璃に一目惚れしたの、運命……いや、必然だったんだな」
「…………!」


 ───同じ事を、春香も言ってた。

 俺と聖南がこうなるのは、必然だったんだって。

【必ずそうなること。それよりほかになりようのないこと。】

 俺があの日、いきなり春香の影武者をする事になったのも、同じ番組にCROWNのセナが居た事も、……一目惚れされた事も。

 それはすべてこうなる事への導き……偶然の重なりと運命によって、必然的に俺達は恋人同士になった。

 必然、の意味を調べてそんな事を回想し部屋のベッドで猛烈に照れたのを思い出して、聖南も同じ気持ちだと分かった今、全部が一つに収まった気がした。

 こうなるよりほかに、なりようがない。

 互いが絶対的な存在なんだって事を聖南の口から言ってもらえると、俺の何もかもを聖南に捧げたい、隣を歩んで生きたい、心からそう思った。

 体中がベタベタのギシギシでも、きっとそれは愛の証だって聖南は笑うんだろう。

 聖南が言ってたように、この日は何年経っても忘れられない大切な記憶の一部となりそうだった。





感想 3

あなたにおすすめの小説

元アイドルは現役アイドルに愛される

BL
人気アイドルグループのエースだった奏多は事故により脚を怪我し、グループを脱退する。エースの抜けたグループの人気はみるみる下落し、そのまま解散。そのことに責任と罪悪感を感じた奏多は芸能界の表舞台から引退し、正体不明の作曲家Kとして裏で支えることに。 罪悪感からご飯を食べなくなった奏多の肌は痩せこけ、青白くかつての輝きはなくなっていた。 ある日の打ち合わせでかつてのグループメンバーである颯真と再会する。 メガネとマスクをしているがかつてのメンバーのことは騙せない。 『奏多、会いたかった』 『僕、奏多さんのパフォーマンスを見て、人生変わったんです!』 やけに自分に懐いているワンコ系の後輩リオと、かつてのグループのメンバー颯真に受け止めきれない愛を向けられる話。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

【R18】兄弟の時間【BL】

BL
色々あってニートになった僕、斑鳩 鷹は当たり前だけど両親にめっちゃ将来を心配されまさかの離島暮らしを提案されてしまう。 待ってくれよ! アマゾンが当日配送されないとこなんて無理だし、アニメイトがない世界に住めるか!  斯くて僕は両親が改心すればと家出を決意したが行く宛はなく、行きついたさきはそいつの所だった。 「じゃぁ結婚しましょうか」 眼鏡の奥の琥珀の瞳が輝いて、思わず頷きそうになったけど僕はぐっと堪えた。 そんな僕を見て、そいつは優しく笑うと机に置かれた手を取って、また同じ言葉を言った。 「結婚しましょう、兄さん」 R18描写には※が付いてます。

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

次男は愛される

那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男 佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。 素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡ 無断転載は厳禁です。 【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】 12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。 近況ボードをご覧下さい。