必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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39☆

39☆ 1・アキラとケイタはセナハルの味方


─ アキラ・ケイタ視点 ─




 遅れてやってきた成田に事の顛末を聞いた二人は、揃って溜め息を吐いた。


「そりゃ向こうが悪い」
「俺もそう思う。  キスした上に、ボイスレコーダーでセナを誘惑?  頭おかしいんじゃない」


 セナがキレてスタジオから帰ったというのは確かに行き過ぎに感じたけれど、まず動くなと念押ししたにも関わらず動いたモデルが悪い。

 ボイスレコーダーの件に関しては二人してギョッとした。 某国の仕返し系ドラマみたいだとケイタは笑ってしまったが、直後、しっかり引いた。

 成田はやれやれと肩を竦めて、ソファで熟睡しているセナを見やる。


「せっかく葉璃君が説得してくれて、何もかも穏便に済む予定だったのに。  余計な事をしてくれたよ、あの麗々って子」
「ハルが説得した?  何を?」
「キスの事でキレて仕事放棄したセナを、仕事だから割り切れって怒ってくれたらしいんだ。  周りに迷惑掛けるなって言われた、と苦笑いしていたよ」
「ハル君が?  あのハル君が?」
「へぇ……ハルがねぇ……」


 とてもじゃないが、ハルはそんな事を言いそうなタイプには見えなかった。

 アキラがハルと初めて会ったのは聖南が入院していた病院でだったが、そこで少し会話をした感じでは率直に、内面がよく分からない子だという印象しか受けず。

 きっとハルの顔がめちゃくちゃタイプなんだろうなと見た目重視で選んだと思い込んでいたけれど、セナは至って真剣にハルとの恋を着々と育んでいた。

 会う度にハルの顔に生気が宿り、聖南も見違えるように活き活きとしている。 それでも二人は何度かすれ違いを経ていたが、今やすっかりバカップル状態だ。

 互いに好き同士で、脳内お花畑かのような甘えた関係なのかと思ったらそうではないようで、しっかりハルがこの扱いの難しそうなセナの手綱を握ってくれているらしい。

 アキラは話を聞きながら衣装の確認をし、ケイタは成田の隣に腰掛けて朝食にと買ってきた菓子パンを頬張った。


「さっきめちゃめちゃ丁寧に誰かと話してたけど、あれはきっと、そのモデルが所属してる事務所の社長だったんだねー」
「え! セナ、もうあそこの社長と話してたのか!?  そうか……」
「この収録終わったら出版社にも行くっぽいよ」
「えぇ!?  ……俺に一言相談してくれてもいいと思わない?  なぁ、アキラ、ケイタ……」


 仮にもデビュー以来代わらずCROWNに就いていて、聖南とはそれよりも前の中学時代から付き合いのある成田は、どんどんと勝手に話が進んでいる事に肩を落とした。

 ケイタは菓子パンを頬張りながら、そんな成田の肩をポン、と叩く。


「セナはさ、自分でやっちゃった事だから自分で片付けようと思ってるんだよ。  大塚社長にも頼らないで、セナの名前だけ出して話してたのもそういう事なんじゃない?」
「お、ケイタのくせによく分かってるじゃん」
「おいアキラ!  ケイタのくせにって何だよ、くせにって!」
「そんな声出すなって。  セナ起きるだろ」


 シーッとアキラに窘められたケイタは、菓子パンを口いっぱいに詰め込んで膨れた。



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