必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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39☆

39☆ 9・大塚事務所主催、仮装パーティー♡




「…………なんで荻蔵もセットで来たわけ?」


 死神の仮装をした恭也を探し当ててテーブルへ戻る最中、血のりだらけの白衣を着た荻蔵に捕まったケイタは、深く考えもしないで二人を連れ戻った。

 これまでドラマや舞台の現場でも会う事の無かった荻蔵と親しくなったのは、年末のパーティーで寝ているハルを囲んで話をしてからだ。

 女優との浮き名が耐えない荻蔵だったが、話してみれば面白い男で、特に嫌な感じはしなくてアキラと共にくだらない話で盛り上がった。

 だが荻蔵の姿を見るやセナが片目を細めて物凄く嫌そうな顔をしたので、もしかして犬猿の仲なのかと若干焦る。


「おー!!  ハルはうさぎか!!  可愛い~!」
「───っ!  荻蔵さん、こんばんは」


 セナにもアキラにも目もくれず、大きな声でハルの元へ近付いた荻蔵は、セナの前にも関わらずハルのうさ耳を触って「可愛い」を連呼した。


「んなでけぇ声出すな。  葉璃がビックリしてんだろーが。  恭也、お疲れ。  そこ座んな」


 人目も憚らずハルの椅子ごとセナの方へ寄せてピタリとくっつくと、セナは空いている席へ恭也を促した。


「お疲れさまです」


 恭也は律儀にアキラとセナ両方にペコ、ペコ、と頭を下げて、それから、荻蔵に絡まれて鬱陶しそうなハルを見て笑顔を見せた。

 このあまり表情の変わらない恭也をも笑顔にさせるなど、ハルは一体どんな魔法を使っているのだろう。

 アキラと恭也の間に腰掛けたケイタは、うさ耳に触る上機嫌な荻蔵と、嫌そうに口を歪めるセナを交互に見やる。


「荻蔵さん、ニュース見ましたよ。  あの二股はヤバイですって」


 やたらと触れようとしている荻蔵の手を払い除けながらジロリと視線を向けているハルは、セナが持ってきたアイスココアに口を付けた。


「あー見ちゃった?  二股ってほど付き合ってはなかったんだけどなぁ」
「うわ~最低~」
「なに、あん時一緒に居た木村を彼女だっつってたけど、あの人本命じゃなかったのか」


 何やら分からない話をし始めたが、荻蔵の二股報道はケイタも知るところだったので、セナの呆れ顔にアキラと共に事態を見守る。


「本命じゃねぇっすよ。  あの場だと彼女って言うしかないじゃないすか」
「わぁ~もっと最低~」
「あんな分かりやすいとこでメシ食うからだろ。  もうちょっと隠れてやれば。  撮られ過ぎて仕事減っても知らねぇよ?」
「……荻蔵さんのチャラさはダメなチャラさでしたね。  聖南さんのチャラさと違って」
「俺はチャラくねぇって!」
「ふふっ……」
「まーたチャラいって言いやがったな!」
「ふふふふっ……」


 荻蔵の話題だったはずが、一瞬で二人だけの世界に入ってしまうセナとハルにも、周囲はもう慣れたものだった。

 下を向いてクスクス笑っているハルを上向かせて、「こら、笑い過ぎ」と不貞腐れているセナの鼻を摘んだハルは、最高の笑顔で彼の右目を見詰めている。

 恭也もすでに二人の関係を知っているようで、微笑ましそうにそのイチャイチャを見ながらアイスコーヒーを飲んでいた。

 隣で自分の話題をかき消された荻蔵もまた、「こいつら途端に俺らの姿見えなくなるっすよね」とアキラに話し掛けていて、その荻蔵の毒気を抜かれた顔がなんとも可笑しかった。



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