必然ラヴァーズ

須藤慎弥

文字の大きさ
235 / 541
39☆

39☆ 15・仮装パーティーはお開きへ・・・




 そもそも荻蔵がハルを見付けては構いまくっている事が、セナは気に入らない。

 アキラとケイタも、それは不思議だった。

 ハルを手に入れたいと思うなら、恋人であるセナにこんな風にプライベートな事を聞いたりはしないだろう。

 次々と細部までセナの話を聞こうとする荻蔵を、相当に変な奴だと二人は思い始めていた。


「え?  だって可愛いんすもん。  最初事務所の廊下で見た時はマジで女かと思ったし」
「てめぇ、それ葉璃がめちゃくちゃ嫌がってたぞ。  ジロジロ見てきて嫌な人だったって」
「あ~そういえばハルにも言われました。  俺に面と向かって嫌な人って叫んでたし。  まぁ、たとえハルが女だったとしても口説こうとは思わないっすけどね」
「…………?」
「…………?」
「………………」


 椅子の背凭れに背中を付けて、セナは足を組んで荻蔵をジッと見た。

 首を傾げながらチーズを食むケイタと、モスコミュールに浮かぶライムを囓っているアキラも、スマホを取り出す荻蔵を凝視した。

 モヤモヤとしていた三人の疑問を、ついに荻蔵が語り始める。

「俺、歳の離れた妹いるんすよ。  それにハルが何となく似てて」
「……妹に似てるとか葉璃に言わない方がいいぞ、絶対また嫌な人って叫ばれる」
「でしょー?  だから言ってないんすよ」


 スマホをいじっている荻蔵は画面をしきりにスクロールしていて、何かを探している。

 ケイタはついつい吹き出しそうになったが、この場にハルが居たらと思うと軽率に笑えない。


「妹に似てるって……性別から違うじゃん。  ハル君怒りそ~」
「だから言わない方がいいんだろ」
「あ!  あったあった。  はいこれ、俺の妹」


 スマホと格闘していた荻蔵は、いつの間にやら俳優の面を脱ぎ捨てていた。

 スキャンダルの絶えない荻蔵だが、やはり見た目はドラマや映画にと引っ張りだこなだけあって申し分ない。

 普段はクールを気取っている彼が、何やらとても嬉しそうに画面をセナに見せているので気になり、アキラとケイタも席を立ってそれを覗きに行った。


「っっ……!」
「………………!」
「…………おい、これ……」


 それを見た三人は一様に絶句した。

 絶対に、この事はハルには言わないでおこう、と心の中の思いさえ一緒だったに違いない。


「なっ?  似てねぇすか?」


 三人同時に、画面と荻蔵の顔を二往復した。

 そこに写っていたのは、最近やっと歩き出したと思しきツインテールの幼い女の子であった。


「ちょっ、待て、お前には葉璃がこの子に見えてんのっ?」
「ヤバ過ぎ」
「い、いくらなんでもこれは……!  この事はハル君に絶対バレないようにしないと!」
「え??  マジで似てるっしょ?  え??」


 こんなにも幼い、しかも女の子とハルを似てると言って可愛がっていたとは、三人とも信じられない思いだった。

 荻蔵にはこれほど歳の離れた妹がいるのか、という驚きの事実もほったらかしになるほどである。


「え?って、こっちの台詞だわ!」


 セナは荻蔵に吠えながらスマホを返していて、アキラとケイタも怒っていいやら笑っていいやら感情が追い付かなかった。




感想 3

あなたにおすすめの小説

元アイドルは現役アイドルに愛される

BL
人気アイドルグループのエースだった奏多は事故により脚を怪我し、グループを脱退する。エースの抜けたグループの人気はみるみる下落し、そのまま解散。そのことに責任と罪悪感を感じた奏多は芸能界の表舞台から引退し、正体不明の作曲家Kとして裏で支えることに。 罪悪感からご飯を食べなくなった奏多の肌は痩せこけ、青白くかつての輝きはなくなっていた。 ある日の打ち合わせでかつてのグループメンバーである颯真と再会する。 メガネとマスクをしているがかつてのメンバーのことは騙せない。 『奏多、会いたかった』 『僕、奏多さんのパフォーマンスを見て、人生変わったんです!』 やけに自分に懐いているワンコ系の後輩リオと、かつてのグループのメンバー颯真に受け止めきれない愛を向けられる話。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

隣の席のイケメンに懐かれた

しょうがやき
BL
隣の席のイケメンに懐かれた平凡男子の話

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※表紙をAI君に描いてもらいました。(2026.2.21) ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです

一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお) 同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。 時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。 僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。 本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。 だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。 なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。 「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」 ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。 僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。 その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。 悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。 え?葛城くんが目の前に!? どうしよう、人生最大のピンチだ!! ✤✤ 「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。 全年齢向けの作品となっています。 一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。 ✤✤