必然ラヴァーズ

須藤慎弥

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39☆

39☆ 15・仮装パーティーはお開きへ・・・

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 そもそも荻蔵がハルを見付けては構いまくっている事が、セナは気に入らない。

 アキラとケイタも、それは不思議だった。

 ハルを手に入れたいと思うなら、恋人であるセナにこんな風にプライベートな事を聞いたりはしないだろう。

 次々と細部までセナの話を聞こうとする荻蔵を、相当に変な奴だと二人は思い始めていた。


「え?  だって可愛いんすもん。  最初事務所の廊下で見た時はマジで女かと思ったし」
「てめぇ、それ葉璃がめちゃくちゃ嫌がってたぞ。  ジロジロ見てきて嫌な人だったって」
「あ~そういえばハルにも言われました。  俺に面と向かって嫌な人って叫んでたし。  まぁ、たとえハルが女だったとしても口説こうとは思わないっすけどね」
「…………?」
「…………?」
「………………」


 椅子の背凭れに背中を付けて、セナは足を組んで荻蔵をジッと見た。

 首を傾げながらチーズを食むケイタと、モスコミュールに浮かぶライムを囓っているアキラも、スマホを取り出す荻蔵を凝視した。

 モヤモヤとしていた三人の疑問を、ついに荻蔵が語り始める。

「俺、歳の離れた妹いるんすよ。  それにハルが何となく似てて」
「……妹に似てるとか葉璃に言わない方がいいぞ、絶対また嫌な人って叫ばれる」
「でしょー?  だから言ってないんすよ」


 スマホをいじっている荻蔵は画面をしきりにスクロールしていて、何かを探している。

 ケイタはついつい吹き出しそうになったが、この場にハルが居たらと思うと軽率に笑えない。


「妹に似てるって……性別から違うじゃん。  ハル君怒りそ~」
「だから言わない方がいいんだろ」
「あ!  あったあった。  はいこれ、俺の妹」


 スマホと格闘していた荻蔵は、いつの間にやら俳優の面を脱ぎ捨てていた。

 スキャンダルの絶えない荻蔵だが、やはり見た目はドラマや映画にと引っ張りだこなだけあって申し分ない。

 普段はクールを気取っている彼が、何やらとても嬉しそうに画面をセナに見せているので気になり、アキラとケイタも席を立ってそれを覗きに行った。


「っっ……!」
「………………!」
「…………おい、これ……」


 それを見た三人は一様に絶句した。

 絶対に、この事はハルには言わないでおこう、と心の中の思いさえ一緒だったに違いない。


「なっ?  似てねぇすか?」


 三人同時に、画面と荻蔵の顔を二往復した。

 そこに写っていたのは、最近やっと歩き出したと思しきツインテールの幼い女の子であった。


「ちょっ、待て、お前には葉璃がこの子に見えてんのっ?」
「ヤバ過ぎ」
「い、いくらなんでもこれは……!  この事はハル君に絶対バレないようにしないと!」
「え??  マジで似てるっしょ?  え??」


 こんなにも幼い、しかも女の子とハルを似てると言って可愛がっていたとは、三人とも信じられない思いだった。

 荻蔵にはこれほど歳の離れた妹がいるのか、という驚きの事実もほったらかしになるほどである。


「え?って、こっちの台詞だわ!」


 セナは荻蔵に吠えながらスマホを返していて、アキラとケイタも怒っていいやら笑っていいやら感情が追い付かなかった。




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