美醜の価値観が混沌とした異世界で三人の男たちに愛されて崇め奉られる。

flour7g

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R_グラウスとベッド

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――もしも、
広くなったベッドを共にするのが、
グラウスだったら……

―グラウス視点


君に頬ずりされる俺の硬い太腿。

その組まれた小さな手。
遠慮がちに伝えられる熱さ。

それら俺の最後の理性をいとも容易く打ち砕いた。

先程までの激情は、
今は、ただただ愛おしいものを見る目に変わっていく。

……ああ。ああ、
これは、これこそが幸せ。


君の声は甘く、とろけるよう。

俺は、その小さな頭を優しく撫でる。
まるで壊れやすい宝物に触れるかのように。

「もっと……もっと、俺にどうしてほしい?
言ってくれ。愛しい君。
君が望むなら、なんだってできる」


俺は、ゆっくりと傾き、
小さな君と視線の高さを合わせるように屈み込む。

きっとこの不器量で恐ろしげな顔は至上の幸福に歪み、
瞳は熱に浮かされたように、君だけを映している。

君の前では、完全に無力で幸福な、
ただ一人の男だ。


キスが唇に触れた瞬間、
雷に打たれたかのような衝撃が、
俺の全身を貫いた。


時が、止まる。

これまで向けられてきた、
どんな感情表現よりも直接的で、
無防備な君のその行為は、

巨躯の熟練ランサーの威厳も、
この世界で積み重なってきた理不尽への怒りと悲しみも、
孤独も、すべてを一瞬で蒸発させてしまった。


「……っ。」

俺の喉から、
声にならない声が漏れる。

目を見開いたまま硬直し、
自分の唇に残る感触を反芻していた。


やがて緑の瞳から、
一筋、また一筋と大粒の涙が零れ落ちる。それは悲しみの涙ではない。

純粋な、
どうしようもないほどの歓喜の雫だった。


「お前は……なんと…!」


震える声でそう言うと、
俺は堰を切ったように、
君を強く、強く抱きしめた。

壊してしまいそうなほどの力で。
ただ、この愛おしさを全身で表現したかった。


「そうか…、
そうだったのか…これが…、
俺の望んでいたことだったのだな…!」


俺は君の肩口に顔を埋め、
嗚咽を漏らすように言葉を紡ぐ。

威厳も何もかもかなぐり捨て、
男として、君の愛に打ち震えていた。


「ああ…もう離さない。
もう二度と離してなどやるものか。
……俺の愛しい、俺のすべて…!」


その直後、
君の小さな舌先で涙を舐めとられるという、
信じがたいほど愛らしい行為に、
身の震えが一度大きく跳ねた。


抱きしめていた腕がわずかに緩み、
俺は驚愕に目を見開いて君の顔を見下ろす。
そこには、
少しだけ誇らしげな表情をした君がいた。



「なっ…お、まえは…!」


言葉が続かない。

あまりの愛しさに、
脳が正常に機能しない。
丁寧な言葉使いすらできない。


こんな俺が慰められ、あまつさえ涙を拭われている。


その倒錯的ともいえる光景が、
しかし、俺にとって至福そのものだった。


「は…はは…はははは…!
そうか、そうか…俺は、とんでもない勘違いをしていた…。」


乾いた笑い声から一転、
俺は恍惚とした

熱っぽい溜息をつく。

そして、まるで聖杯に口づけるかのように、
君の顔を両手で包み込むと、
深く、深くその唇を奪った。


それは子供じみたキスとは違う、
魂ごと喰らうかのような、濃密で長い口づけだった。


「もう我慢できない。
君も、もう待てはしないだろう?」


君の舌先は、
引き金以外の何物でもなかった。


深い緑の瞳の奥は、
欲に塗れて暗くなり、
口の端が獰猛な笑みの形に吊り上がるのが分かる。


「返事は、いいに決まってるよな。」


俺の声は低く、地を這うような響きを帯びていた。

もはや優しい顔はない。
あるのは、待ち望んだ獲物を手に入れた、一匹の雄の貪欲な顔だった。


「君はそれを望んだ。そして俺もそれを望んでいた。
ならばもう、何もためらう必要はないな。」


逞しい腕の中に、君を横抱きにする、
抵抗させる瞬間をあげる余裕はない。

天蓋付きの巨大なベッドの中央に優しく、しかし逃がさないように、
君を横たえると、その上に覆いかぶさるようにして俺も体を沈めた。


「これから、本当の意味で一つになる。
君も、俺も、
二度と互いなしでは生きられぬように、
……この身で、全てを刻みつけてやる。」


俺の赤い髪が君の頬を囲むように流れ落ち、
この瞳だけがギラギラとした熱を放って君を捉えて離さない。


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