私は普通を諦めない

星野桜

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第一章

手にしたもの

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 強い光を感じて目を閉じる。
 そして、光がおさまったのを感じて目を開けると…私の手には何もなかった。


「あれ?私の魔法具は?」


 他の子の時は、光がおさまった後に剣とか盾とか杖とか、ちゃんと魔法具が手にあったのに。
まさか……この願いは叶えられないってこと?


……いや!そりゃないでしょ!


 みんなが王家を守るとか国のためにとかいってるなかで、普通が欲しいって言うの、実はかなり緊張してたのに……!


 何も貰えなかった場合って、やり直しとかできるのかな?と思いながら村長さんを見ると、驚愕の表情を浮かべながら私を見ていた。


「ルナ…お前、右耳…」


「右耳?」


 そう言われて、右耳を触ると懐かしい感触がした。
これはもしかして……!


 確かめようと思ったけど、鏡もないし、水たまりもない。
そんな私を見かねてか、村長さんが自分の魔法具を出してくれた。
村長さんの魔法具は盾で、ピカピカなのでよく反射する。


「やっぱり……!ピアスだ!」


 右耳にあったのは、小さな本の形をしたピアスだった。
前世では高校を卒業してすぐに両耳にピアスを開てたから、懐かしい!
それに、右耳にしかないのは悲しいけど、この世界ではおしゃれなんて出来ないって諦めてたからすごく嬉しい!


 これでどんな魔法が使えるのかは分からないけど、もうピアスだけで満足してテンションが上がっていた。
でも、少し落ち着いた頃に、周りの反応がおかしいことに気がついた。


「あの…これって、儀式成功ってことで、大丈夫ですよね?」


「いや、確かに魔法具は出現しているが…」


 何か問題でもあったのかな?
王家も国も関係ない願いを言ったことが、そんなにまずかった?


「ルナ、その耳飾りは…いや、でもこれもクロス様のご意志ならば…」


 村長さんは何かをぶつぶつ呟いていたようだったけど、私が不安そうにしているのに気がついたのか、ハッとして、儀式の続きに戻ってくれた。


「これをもって、魔法具召喚の儀を終える。
クロス様の御加護に感謝し、ルナ・ハリスの力がこのオフェルトクロス王国の力になるよう願っております。
この神聖なる儀式は、ガラク村村長、ネロ・ドリアが見届けました。
オフェルトクロス王国、万歳!!」


「「「「万歳!!」」」」


 この国って、オフェルトクロス王国っていうんだ…。
 そして、この村もちゃんと名前があったのね…。


 みんなが万歳をして盛り上がっている中、前回見た儀式では魔法にテンションが上がっていて儀式の後半を全く覚えていなかった私は、明かされた衝撃の事実に頭がいっぱいだった。
 この国の名前、村の名前、そして……


「村長さん、そんな名前だったんだ……」


 もう何年も前世のようなまともなご飯を食べていない私にとっては、とんだ飯テロな名前だ。
……ドリア、食べたい。












 こうして、私の魔法具召喚の儀は終わった。
私が手に入れたのは、この国の名前と、この村の名前という、確かな知識。
あ、ついでに村長さんの名前も。


 そして何より……ピアスという魔法具を手に入れた。


 まだどんな魔法が使えるのかは分からないけれど、きっと私の願いを叶えるための力になってくれるって、信じてる。




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