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第二章
初めての授業
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入学式の後の自己紹介を終えると、早速授業が始まった。入学式当日から授業が始まるって、なかなか詰め込んでくるな。大学とかだと、入学式だけで終わってたのに。
「まず初めに、魔法の基礎について。みなさんも知ってると思いますが、魔法は4つの属性に分けられます。」
そうなんだ。属性があるなんて知らなかったけど、前世で魔法の属性っていうと火とか水とかだった。そんな感じなのかな……?
「魔法属性は花、月、星、陽の4つです。皆さんは信託によって、月属性だと判断されましたので、実技の授業でも月属性の魔法を中心に学んでいくことになります。」
このクラス分けって、そういうことだったのか!っていうか、花とか月とかどんな魔法なのか想像できない……でも、ちょっとかわいいかも。
「月属性の皆さんは夜しか魔法が使えません。実技の授業は基本夜からになります。」
え……夜しか魔法が使えない?私、スマ本バンバン昼間に出しまくってたんだけど?
「魔法は、呪文を媒介に各属性の魔法元素を紡いでいくことで発動することができます。
では、まずは基本の魔法から……」
私が頭にはてなを浮かべている間に、先生は黒板に文字を書いていく。……うん、読めない。
学校に通えることが決まってから、シーくんから幼少期に使っていたという読み書きの本をもらって、必死に勉強した。でも、この世界の文字は何というか……どこが切れ目なのか全く分からない。英語は苦手だったけど、筆記体の方がまだ分かる。何度見てもボールペンの試し書きコーナーの試し書きにしか見えない。
「……と、基礎の魔法はこのようになっています。」
文字が読めないから、必死に先生が喋っている内容を書いていく。辺りを見渡すと……誰もノートを取ってない。あ、前の席のピンク髪の子だけはノート書いてる。
「ここまでは、優秀な貴族の皆様なら、ノートを取るまでもない知識ですね。こんなことも分からないような劣等種は、この学園にはいないはずですから……ああ、そこにいましたね。」
先生の言葉に、ピンク髪の子の手が止まった。小さく肩が震えている。……今の嫌味、気にしてるのかな?大丈夫!きっと今の嫌味は私に向けて言ってるんだよ!だって明らかにこっち見て言ってる……って、それだと私が大丈夫じゃない。大丈夫じゃないはずなのに、この扱いに慣れてきてしまっている自分が嫌だ。日本では誰もが持っていたはずの、基本人権はどこにいってしまったのだろう。
「そして、様々な基礎魔法を組み合わせることで実践的な魔法が使えるようになります。どれだけ基礎魔法の知識があるか、それを応用する知識があるか、それを形にする想像力があるか、それが魔法を使う上で重要なことです。」
基礎魔法を組み合わせて応用して想像する……と。今は、とにかくひたすらメモを取る。内容の理解なんて後でいい。とにかくメモをとっておけば、後でなんとかなる。
「同じ魔法でも、威力は使い手によって大きく異なります。魔法元素は、神クロス様の加護に引き寄せられてきます。つまり、神クロス様の加護を強く受けたものほど、強い魔法を発動することができます。」
ガラク村の人でも知ってる知識によると、たしか、王族は神クロスの加護を受けてこの国をつくったらしい。だから、加護を受けてるのは王族だけだと思ってたんだけど……国の人たちみんなが魔法を使えるってことは、全員が加護を受けてるってこと?
「1番強い加護を受けているのは、王族の方々です。その中でも、最も強い加護を受けている方が、信託によって選ばれ王太子殿下となり、国王陛下となるのです。特に、今の王太子殿下は過去の王族の中でも最強と言われています。歴史上最も加護を受けている方、とも言われていますね。」
……そうなんだ。シーくん、そんなにクロス様に好かれてるんだ。クロス様、面食いなのかな。
「王族の方々には遠く及ばないまでも、加護を受けた人々は加護が強いものから爵位を名乗ることを許され、そうして今のオフェルトクロス王国があるのです。」
なるほど……。つまり、強い加護を受けたものほど偉くて、強い魔法が使える、ということか。身分制度について知らなかったことが見えてきて、私は必死にメモをとる。これも、身分関係なく普通の生活を送れる世界にするためにはとても重要な情報だ。
「そして、加護を受けることができなかった劣等種が、平民です。」
その言葉に、思わずメモをとっていた手が止まる。前を見ると、先生がとても冷たい目でこっちを見ていた。
「加護を受けることが出来ず、魔法も使えなかった劣等種を、加護をうけた王族をはじめとした貴族が存在を認めることによって、平民は魔法具召喚の儀を行えるようになり、微弱ながら魔法を使えるようになったのです。つまり平民は、我々貴族が存在を認めなければ、魔法も使えず、生きていくことすらできない。我々の慈悲によって生かされている存在なのだということを、忘れてはいけません。」
……初めて知るこの世界の知識は、衝撃的で、飲み込むのに時間がかかった。
でも、これで貴族が平民を劣等種と呼ぶ理由が分かった。
この歴史が事実かどうかは置いておいて、この考え方をみんな信じているから、こんなにも強制力のある身分制度が存在しているんだ。
この世界では、クロス様が何よりも尊ばれる。そして、その加護によって発動できる魔法も尊ばれる、というわけか。
なるほど。分かったけど納得いかない。そもそも、加護がどうとかクロス様本人が言ってたの?それなら信じるけど、伝承って歴史とともに脚色されていくからなぁ……
とりあえず分かったのは、こんな基礎知識があった中でも私の話を聞いてくれて、私を好きだと言ってきたシーくんは、間違いなく変わっているということだ。
「まず初めに、魔法の基礎について。みなさんも知ってると思いますが、魔法は4つの属性に分けられます。」
そうなんだ。属性があるなんて知らなかったけど、前世で魔法の属性っていうと火とか水とかだった。そんな感じなのかな……?
「魔法属性は花、月、星、陽の4つです。皆さんは信託によって、月属性だと判断されましたので、実技の授業でも月属性の魔法を中心に学んでいくことになります。」
このクラス分けって、そういうことだったのか!っていうか、花とか月とかどんな魔法なのか想像できない……でも、ちょっとかわいいかも。
「月属性の皆さんは夜しか魔法が使えません。実技の授業は基本夜からになります。」
え……夜しか魔法が使えない?私、スマ本バンバン昼間に出しまくってたんだけど?
「魔法は、呪文を媒介に各属性の魔法元素を紡いでいくことで発動することができます。
では、まずは基本の魔法から……」
私が頭にはてなを浮かべている間に、先生は黒板に文字を書いていく。……うん、読めない。
学校に通えることが決まってから、シーくんから幼少期に使っていたという読み書きの本をもらって、必死に勉強した。でも、この世界の文字は何というか……どこが切れ目なのか全く分からない。英語は苦手だったけど、筆記体の方がまだ分かる。何度見てもボールペンの試し書きコーナーの試し書きにしか見えない。
「……と、基礎の魔法はこのようになっています。」
文字が読めないから、必死に先生が喋っている内容を書いていく。辺りを見渡すと……誰もノートを取ってない。あ、前の席のピンク髪の子だけはノート書いてる。
「ここまでは、優秀な貴族の皆様なら、ノートを取るまでもない知識ですね。こんなことも分からないような劣等種は、この学園にはいないはずですから……ああ、そこにいましたね。」
先生の言葉に、ピンク髪の子の手が止まった。小さく肩が震えている。……今の嫌味、気にしてるのかな?大丈夫!きっと今の嫌味は私に向けて言ってるんだよ!だって明らかにこっち見て言ってる……って、それだと私が大丈夫じゃない。大丈夫じゃないはずなのに、この扱いに慣れてきてしまっている自分が嫌だ。日本では誰もが持っていたはずの、基本人権はどこにいってしまったのだろう。
「そして、様々な基礎魔法を組み合わせることで実践的な魔法が使えるようになります。どれだけ基礎魔法の知識があるか、それを応用する知識があるか、それを形にする想像力があるか、それが魔法を使う上で重要なことです。」
基礎魔法を組み合わせて応用して想像する……と。今は、とにかくひたすらメモを取る。内容の理解なんて後でいい。とにかくメモをとっておけば、後でなんとかなる。
「同じ魔法でも、威力は使い手によって大きく異なります。魔法元素は、神クロス様の加護に引き寄せられてきます。つまり、神クロス様の加護を強く受けたものほど、強い魔法を発動することができます。」
ガラク村の人でも知ってる知識によると、たしか、王族は神クロスの加護を受けてこの国をつくったらしい。だから、加護を受けてるのは王族だけだと思ってたんだけど……国の人たちみんなが魔法を使えるってことは、全員が加護を受けてるってこと?
「1番強い加護を受けているのは、王族の方々です。その中でも、最も強い加護を受けている方が、信託によって選ばれ王太子殿下となり、国王陛下となるのです。特に、今の王太子殿下は過去の王族の中でも最強と言われています。歴史上最も加護を受けている方、とも言われていますね。」
……そうなんだ。シーくん、そんなにクロス様に好かれてるんだ。クロス様、面食いなのかな。
「王族の方々には遠く及ばないまでも、加護を受けた人々は加護が強いものから爵位を名乗ることを許され、そうして今のオフェルトクロス王国があるのです。」
なるほど……。つまり、強い加護を受けたものほど偉くて、強い魔法が使える、ということか。身分制度について知らなかったことが見えてきて、私は必死にメモをとる。これも、身分関係なく普通の生活を送れる世界にするためにはとても重要な情報だ。
「そして、加護を受けることができなかった劣等種が、平民です。」
その言葉に、思わずメモをとっていた手が止まる。前を見ると、先生がとても冷たい目でこっちを見ていた。
「加護を受けることが出来ず、魔法も使えなかった劣等種を、加護をうけた王族をはじめとした貴族が存在を認めることによって、平民は魔法具召喚の儀を行えるようになり、微弱ながら魔法を使えるようになったのです。つまり平民は、我々貴族が存在を認めなければ、魔法も使えず、生きていくことすらできない。我々の慈悲によって生かされている存在なのだということを、忘れてはいけません。」
……初めて知るこの世界の知識は、衝撃的で、飲み込むのに時間がかかった。
でも、これで貴族が平民を劣等種と呼ぶ理由が分かった。
この歴史が事実かどうかは置いておいて、この考え方をみんな信じているから、こんなにも強制力のある身分制度が存在しているんだ。
この世界では、クロス様が何よりも尊ばれる。そして、その加護によって発動できる魔法も尊ばれる、というわけか。
なるほど。分かったけど納得いかない。そもそも、加護がどうとかクロス様本人が言ってたの?それなら信じるけど、伝承って歴史とともに脚色されていくからなぁ……
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