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原因究明班
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まずはこのことをエルフの里の長に話すことにした。勝手にミューを連れ出すわけにはいかない。それにもしかしたら、ミューを押しとどめてくれるかも知れない。
「なんと! そのようなことになっていたとは……」
「あくまでも予想です。違っている可能性は十分にあると思います」
「そんなことはないッス。間違いないッス。ダーリンは間違っていないッス!」
やたらと強調して来るな。一体何のアピールなんだ? 長にアピールすることで、次の長にでも選ばれる可能性があるのかな。力強くアピールするミューを見ながら、納得するかのようにうなずく長。
いやまだ可能性の話なんだけど。
「よくぞ世界樹が枯れる原因を突き止めてくれた。それならばこちらでも手の打ちようがある。我々がなんとかしている間に、原因を究明してくるのだ」
「もちろんそのつもりッス!」
「良かった。ようやくミューもやる気になってくれたか。このままぐうたらと独身で暮らすことになるのかと思っていたぞ」
涙を流す長。どうやらミューには縁談が来なかったようである。もしかして、その妙なしゃべり方のせいなのかな? 私は別に気にしないのだが、気になる人には気になるのだろう。
それにしても、見事にミューが里から出るのを止めなかったな。それで良いのか。
エルフの里の長から許可をもらったのならば、もうどうしようもないな。ミューを連れて行くしかない。まあ、頭は良いし、それなりに実力もある。足手まといにはならないか。それにそこまで言うのなら連れて行くことにしよう。
「ミュー、目立つような行動は取らないように」
「それ、レオ様が言います?」
「念のためだ、念のため」
カビルンバがジットリとしたような目で見ている。私が問題を引き寄せやすいタイプなのは分かっている。だからこそ、それ以上の問題を寄せ付けないように、ミューには細心の注意を払ってもらわなければならないのだ。
「エルフの里を出る前に挨拶をしておきたい人物はいないのか? すぐには戻って来られないかも知れないぞ」
「そうッスね、大丈夫ッス。結婚式には両親を呼ぶつもりッスから」
「お、おう」
どうやら私と結婚して、結婚式を挙げるところまでは確定済みのようである。これはこれでそっとしておいた方が良いな。このままミューの両親のところに行ったら、ミューを嫁にもらいに行くようなものである。
ミューは自室に戻ると、持っていたマジックバッグの中に部屋の中の物をほとんど詰め込んでいた。まるで夜逃げでもするかのようである。どうやら本気で私と結婚するつもりのようだな。なんとか目を覚まさせないと。
「それじゃ、まずはどこから行くッスか?」
「エルフの里には勇者の情報はないのだろう? それなら人間の街に行くしかないだろう。さいわいなことに、ちょっとした知り合いがいるからな」
「さすがダーリン! 頼りになるッス」
「それってアレリード伯爵のことですか?」
色々と察してくれたカビルンバ。商業都市ラザーニャなら大きな図書館があるはずだ。もしなかったとしても、あそこにはたくさんの商品が東西南北から集まって来る。その中には当然、書物もあることだろう。
そのようなことをミューに話すとうなずいていた。
「なるほど、商業都市ラザーニャにコネがあるッスね。自分は行ったことがないので楽しみッス。二人だけの旅、楽しみッス」
「いや、カビルンバがいるからね?」
ミューが妙な気を起こさないようにするために、カビルンバの名前を出した。カビルンバも自分はいるぞアピールをしているので、ミューもこれ以上はないがしろにできないはずである。
準備を整えた私たちはすぐに商業都市ラザーニャへと向かった。到着するとすぐに宿を取り、これからの作戦会議に移る。
「ところでレオ様、エレナ嬢とソフィアさんに知らせなくて良いんですか?」
「だ、だれッスか、その人たち! まさか、不倫相手ッスか?」
「違うから。エレナ嬢はともかく、ソフィアは知っているだろう? 古代竜のソフィアだよ」
「え?」
その発言を聞いて、ミューの顔色が悪くなった。どうやらソフィアは苦手みたいだな。特に仲が悪いという印象はなかったけど、そう言えば力の差がありすぎてまともに話しているところを見たことがないな。
「エレナ嬢はちょっとした知り合いさ。以前に呪いに苦しんでいたところを助けたことがあるんだよ」
「……人間の女ッスか?」
「そうだけど……?」
「くっ、人間も油断もスキもあったもんじゃないッスね」
ブツブツと何やらつぶやき始めたミュー。もしかして、人間に呪いをかける簡単なお仕事をしているのはエルフ族じゃないよね? いや、その可能性はないか。エルフは自然と調和する魔法は得意だが、自然と相反する呪いは苦手だったはずだ。
「とにかく、エレナ嬢とはそんな間柄じゃないから。もちろん、ソフィアとも」
「本当にそうでしょうか?」
「え?」
カビルンバがそう告げた。疑うような目でカビルンバとミューがこちらを見ている。
やっぱりカビルンバからしても「違う、そうじゃない」と感じているようである。これはそろそろ私も年貢の納め時なのかも知れない。
でもなぁ、どっちと付き合っても問題になりそうなんだよね。やっぱり結婚なんてしない方が……。
「それならダーリン、私が一号ってことッスね!」
「あーうん、それはそれでどうなんだ?」
期待するような目をしているミューをどうやってなだめるべきか。やはりここは話をうまくそらすしかないだろう。今はそんなことを言っている場合ではない。すべてが片付いてから、改めてその話をしよう。
ヘタレではない。重要度の問題だ。
「そんなことよりも、これからの動きを確認するぞ。状況が悪化する前に世界の魔力減少の原因を特定しないと」
「そうッスね。安心できる環境で子作りしたいッスもんね」
「ミューのそのストレートなところ、どうにかならないのか?」
特に悪いことを言ったとは思っていないミューが首をかしげている。どうしてこんな子に育ってしまったのか。親の顔を一度、見てみたいものである。
顔もスタイルも良いのに、どうも恥じらいに欠ける部分があるんだよね。それゆえにどこまでが本気なのか分からない。
「なんと! そのようなことになっていたとは……」
「あくまでも予想です。違っている可能性は十分にあると思います」
「そんなことはないッス。間違いないッス。ダーリンは間違っていないッス!」
やたらと強調して来るな。一体何のアピールなんだ? 長にアピールすることで、次の長にでも選ばれる可能性があるのかな。力強くアピールするミューを見ながら、納得するかのようにうなずく長。
いやまだ可能性の話なんだけど。
「よくぞ世界樹が枯れる原因を突き止めてくれた。それならばこちらでも手の打ちようがある。我々がなんとかしている間に、原因を究明してくるのだ」
「もちろんそのつもりッス!」
「良かった。ようやくミューもやる気になってくれたか。このままぐうたらと独身で暮らすことになるのかと思っていたぞ」
涙を流す長。どうやらミューには縁談が来なかったようである。もしかして、その妙なしゃべり方のせいなのかな? 私は別に気にしないのだが、気になる人には気になるのだろう。
それにしても、見事にミューが里から出るのを止めなかったな。それで良いのか。
エルフの里の長から許可をもらったのならば、もうどうしようもないな。ミューを連れて行くしかない。まあ、頭は良いし、それなりに実力もある。足手まといにはならないか。それにそこまで言うのなら連れて行くことにしよう。
「ミュー、目立つような行動は取らないように」
「それ、レオ様が言います?」
「念のためだ、念のため」
カビルンバがジットリとしたような目で見ている。私が問題を引き寄せやすいタイプなのは分かっている。だからこそ、それ以上の問題を寄せ付けないように、ミューには細心の注意を払ってもらわなければならないのだ。
「エルフの里を出る前に挨拶をしておきたい人物はいないのか? すぐには戻って来られないかも知れないぞ」
「そうッスね、大丈夫ッス。結婚式には両親を呼ぶつもりッスから」
「お、おう」
どうやら私と結婚して、結婚式を挙げるところまでは確定済みのようである。これはこれでそっとしておいた方が良いな。このままミューの両親のところに行ったら、ミューを嫁にもらいに行くようなものである。
ミューは自室に戻ると、持っていたマジックバッグの中に部屋の中の物をほとんど詰め込んでいた。まるで夜逃げでもするかのようである。どうやら本気で私と結婚するつもりのようだな。なんとか目を覚まさせないと。
「それじゃ、まずはどこから行くッスか?」
「エルフの里には勇者の情報はないのだろう? それなら人間の街に行くしかないだろう。さいわいなことに、ちょっとした知り合いがいるからな」
「さすがダーリン! 頼りになるッス」
「それってアレリード伯爵のことですか?」
色々と察してくれたカビルンバ。商業都市ラザーニャなら大きな図書館があるはずだ。もしなかったとしても、あそこにはたくさんの商品が東西南北から集まって来る。その中には当然、書物もあることだろう。
そのようなことをミューに話すとうなずいていた。
「なるほど、商業都市ラザーニャにコネがあるッスね。自分は行ったことがないので楽しみッス。二人だけの旅、楽しみッス」
「いや、カビルンバがいるからね?」
ミューが妙な気を起こさないようにするために、カビルンバの名前を出した。カビルンバも自分はいるぞアピールをしているので、ミューもこれ以上はないがしろにできないはずである。
準備を整えた私たちはすぐに商業都市ラザーニャへと向かった。到着するとすぐに宿を取り、これからの作戦会議に移る。
「ところでレオ様、エレナ嬢とソフィアさんに知らせなくて良いんですか?」
「だ、だれッスか、その人たち! まさか、不倫相手ッスか?」
「違うから。エレナ嬢はともかく、ソフィアは知っているだろう? 古代竜のソフィアだよ」
「え?」
その発言を聞いて、ミューの顔色が悪くなった。どうやらソフィアは苦手みたいだな。特に仲が悪いという印象はなかったけど、そう言えば力の差がありすぎてまともに話しているところを見たことがないな。
「エレナ嬢はちょっとした知り合いさ。以前に呪いに苦しんでいたところを助けたことがあるんだよ」
「……人間の女ッスか?」
「そうだけど……?」
「くっ、人間も油断もスキもあったもんじゃないッスね」
ブツブツと何やらつぶやき始めたミュー。もしかして、人間に呪いをかける簡単なお仕事をしているのはエルフ族じゃないよね? いや、その可能性はないか。エルフは自然と調和する魔法は得意だが、自然と相反する呪いは苦手だったはずだ。
「とにかく、エレナ嬢とはそんな間柄じゃないから。もちろん、ソフィアとも」
「本当にそうでしょうか?」
「え?」
カビルンバがそう告げた。疑うような目でカビルンバとミューがこちらを見ている。
やっぱりカビルンバからしても「違う、そうじゃない」と感じているようである。これはそろそろ私も年貢の納め時なのかも知れない。
でもなぁ、どっちと付き合っても問題になりそうなんだよね。やっぱり結婚なんてしない方が……。
「それならダーリン、私が一号ってことッスね!」
「あーうん、それはそれでどうなんだ?」
期待するような目をしているミューをどうやってなだめるべきか。やはりここは話をうまくそらすしかないだろう。今はそんなことを言っている場合ではない。すべてが片付いてから、改めてその話をしよう。
ヘタレではない。重要度の問題だ。
「そんなことよりも、これからの動きを確認するぞ。状況が悪化する前に世界の魔力減少の原因を特定しないと」
「そうッスね。安心できる環境で子作りしたいッスもんね」
「ミューのそのストレートなところ、どうにかならないのか?」
特に悪いことを言ったとは思っていないミューが首をかしげている。どうしてこんな子に育ってしまったのか。親の顔を一度、見てみたいものである。
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