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エピローグ
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あの日起こった出来事は、その場にいた全員の証言によって事件の全容が明らかにされた。
しかし、エマ嬢が使ったアイテムが何なのか、どこで手に入れたのかなど、彼女しか分からない情報ばかりであり、あの魔物に関しては謎に包まれたままだった。
ここはいつもの庭の、いつもの場所。今日この場所にいるのは、俺とモニカ、そしてサラだけだった。
「あのアイテムは一体何だったんだい?」
「あれは「魔王の卵」ですわ。恐らく、使用したものを魔王に変えるのではないでしょうか?」
モニカがチラリとサラを見ると、サラは首を縦に振った。どうやら、それで合っているようだ。
しかし、そんな危険なアイテムがあるとは思わなかった。一体どこで手に入れたことやら。
「ゲームの中でもどうやってそれを入手したのかは説明されていませんでしたわ。一体誰が、何の目的で渡したのでしょうか? もし渡されたのが私だったら……」
想像したのか、モニカがブルッと震えた。
震えるモニカを俺は優しく抱き寄せた。そしてそのまま、膝の上に乗せた。
モニカが拒否を示さなかったので、どうやら今回はサラに許してもらえたようだ。
「レオ様、もし私があのような姿になってしまったら、私を倒してくれますか?」
「それは無理かな。もしモニカがあんな風になってしまったら、俺も同じようにあんな風になるよ。そしたら一緒にこの国を、世界を滅ぼそう」
「もう! 何を言っておりますの! 国を、世界を滅ぼすだなんて、どうかしてますわ!」
モニカがポコポコと叩いてきた。
「それなら、しっかりと俺の手綱を締めておいてよね」
そう言うと、俺はモニカを見た。
いつ見ても美しい澄んだ青い瞳がそこにはあった。
モニカに悪役は似合わない。どちらかと言えば俺の方が悪役に似合っているだろう。
ジッと見つめる俺に、モニカが笑い返してくれた。
「もう、仕方ありませんわね」
モニカは恥ずかしそうに、ちょん、と俺の唇にキスをしてくれた。モニカからキスをしてきたのはこの日が初めてだった。
我慢できなくなった俺は、そのまま吸いつくように、モニカの唇にキスをした。
「寂しくなるな、カイエン。まさか既成事実を作ってから帰国するとは、恐れ入ったよ」
「だから、まだやってねぇって言ってるだろうが!」
カイエンから回し蹴りが飛んできた。
周りにいる護衛達はヒヤヒヤした目で見ていたが、この程度のじゃれ合いは日常茶飯事だ。それだけ、カイエンとは仲良くなった。
おや、隣でサクヤ嬢が真っ赤になってるぞ。
いいのか、カイエン。そんな態度で大丈夫か?
「カイエン様、サクヤのことはお任せ下さい。ですので、祖国にお帰りになったら、一刻も早くサクヤを迎えに来て下さいね」
真っ赤になってフリーズしたサクヤに変わって、義姉のモニカが言った。
今ではすっかり頼れるお姉さんになっている。その隣では、モニカの傍仕えに就任したミーアが澄ました表情で立っている。
ミーア曰く、自分の態度でモニカお姉様が侮られるようなことがあってはならない、とのことである。
モニカが連れてきたミーアの結婚相手に、ミーアが納得する日が本当に来るのか、とても心配だ。
「あ~ら、カイエン様。もう東国にお帰りになるのね。しばらくの間サクヤ様も寂しくなるわね。いっそのこと、一緒に帰ったらいいのに」
「シャーロットさん、そういうわけにはいきませんわよ。私達と王族とでは、慣習が違いすぎますもの。ここは枕を涙で濡らしながら待つしかありませんわ。ねえ、サクヤ様?」
「ふぇっ!?」
オリビアの言葉に目を白黒させるサクヤ。他人事だと思って完全にからかっているな。
オリビアは無事にロランとゴールインし、一方のシャーロットは、王宮騎士団の寮母として働きながら、お相手を探すことになっていた。
そしてすでにシャーロットにはお見合いの申し込みが殺到している。
シャーロット自身は実物の筋肉を見て判断しているようだが、はたしてそれでいいのか? いや、本人がそれでいいと思っているのだからいいのだろう。
アルフレッドもギルバードもブルックリンも、無事に予定通りの婚約者と結ばれることになるようだ。これで俺の周りも安心できる体制になってきた。
後は、俺とモニカの結婚式をいつ挙げるかだけだな。
「カイエン、俺達の結婚式には絶対来てくれよな」
「もちろんだ。レオ、それまでに既成事実を作るんじゃないぞ?」
「え?」
……
「おい、今の「え?」は何だ!? 答えろレオンハルトォ!」
しかし、エマ嬢が使ったアイテムが何なのか、どこで手に入れたのかなど、彼女しか分からない情報ばかりであり、あの魔物に関しては謎に包まれたままだった。
ここはいつもの庭の、いつもの場所。今日この場所にいるのは、俺とモニカ、そしてサラだけだった。
「あのアイテムは一体何だったんだい?」
「あれは「魔王の卵」ですわ。恐らく、使用したものを魔王に変えるのではないでしょうか?」
モニカがチラリとサラを見ると、サラは首を縦に振った。どうやら、それで合っているようだ。
しかし、そんな危険なアイテムがあるとは思わなかった。一体どこで手に入れたことやら。
「ゲームの中でもどうやってそれを入手したのかは説明されていませんでしたわ。一体誰が、何の目的で渡したのでしょうか? もし渡されたのが私だったら……」
想像したのか、モニカがブルッと震えた。
震えるモニカを俺は優しく抱き寄せた。そしてそのまま、膝の上に乗せた。
モニカが拒否を示さなかったので、どうやら今回はサラに許してもらえたようだ。
「レオ様、もし私があのような姿になってしまったら、私を倒してくれますか?」
「それは無理かな。もしモニカがあんな風になってしまったら、俺も同じようにあんな風になるよ。そしたら一緒にこの国を、世界を滅ぼそう」
「もう! 何を言っておりますの! 国を、世界を滅ぼすだなんて、どうかしてますわ!」
モニカがポコポコと叩いてきた。
「それなら、しっかりと俺の手綱を締めておいてよね」
そう言うと、俺はモニカを見た。
いつ見ても美しい澄んだ青い瞳がそこにはあった。
モニカに悪役は似合わない。どちらかと言えば俺の方が悪役に似合っているだろう。
ジッと見つめる俺に、モニカが笑い返してくれた。
「もう、仕方ありませんわね」
モニカは恥ずかしそうに、ちょん、と俺の唇にキスをしてくれた。モニカからキスをしてきたのはこの日が初めてだった。
我慢できなくなった俺は、そのまま吸いつくように、モニカの唇にキスをした。
「寂しくなるな、カイエン。まさか既成事実を作ってから帰国するとは、恐れ入ったよ」
「だから、まだやってねぇって言ってるだろうが!」
カイエンから回し蹴りが飛んできた。
周りにいる護衛達はヒヤヒヤした目で見ていたが、この程度のじゃれ合いは日常茶飯事だ。それだけ、カイエンとは仲良くなった。
おや、隣でサクヤ嬢が真っ赤になってるぞ。
いいのか、カイエン。そんな態度で大丈夫か?
「カイエン様、サクヤのことはお任せ下さい。ですので、祖国にお帰りになったら、一刻も早くサクヤを迎えに来て下さいね」
真っ赤になってフリーズしたサクヤに変わって、義姉のモニカが言った。
今ではすっかり頼れるお姉さんになっている。その隣では、モニカの傍仕えに就任したミーアが澄ました表情で立っている。
ミーア曰く、自分の態度でモニカお姉様が侮られるようなことがあってはならない、とのことである。
モニカが連れてきたミーアの結婚相手に、ミーアが納得する日が本当に来るのか、とても心配だ。
「あ~ら、カイエン様。もう東国にお帰りになるのね。しばらくの間サクヤ様も寂しくなるわね。いっそのこと、一緒に帰ったらいいのに」
「シャーロットさん、そういうわけにはいきませんわよ。私達と王族とでは、慣習が違いすぎますもの。ここは枕を涙で濡らしながら待つしかありませんわ。ねえ、サクヤ様?」
「ふぇっ!?」
オリビアの言葉に目を白黒させるサクヤ。他人事だと思って完全にからかっているな。
オリビアは無事にロランとゴールインし、一方のシャーロットは、王宮騎士団の寮母として働きながら、お相手を探すことになっていた。
そしてすでにシャーロットにはお見合いの申し込みが殺到している。
シャーロット自身は実物の筋肉を見て判断しているようだが、はたしてそれでいいのか? いや、本人がそれでいいと思っているのだからいいのだろう。
アルフレッドもギルバードもブルックリンも、無事に予定通りの婚約者と結ばれることになるようだ。これで俺の周りも安心できる体制になってきた。
後は、俺とモニカの結婚式をいつ挙げるかだけだな。
「カイエン、俺達の結婚式には絶対来てくれよな」
「もちろんだ。レオ、それまでに既成事実を作るんじゃないぞ?」
「え?」
……
「おい、今の「え?」は何だ!? 答えろレオンハルトォ!」
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