悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき

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え? 俺もやるんですか?

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 結局、クリスティアナ様の上目遣いでのお願いを断りきれず、俺も召喚魔法をすることになった。
「それでは行きますよ」
 可愛い子来い、可愛い子来い・・・。
 俺の魔力を受けて魔方陣が輝き出した。それはクリスティアナ様のときと全く同じであり、やれやれと一安心していたのだが、光が収まるとそこには一匹の黒い猫がいた。う~ん、魔女の使い魔と言えばやっぱり黒猫だな。
【クックック、よもや再び人間の前に姿を現すことになるとはな。ワシの名は】
「クロ。お前の名前はクロだ。それじゃ特に用もないし、帰っていいよ」
【!?】
「ちょっとシリウス様、その言い方。この子が可哀想ですわ」
 早くもクリスティアナ様がクロを抱き抱えている。その目が、この子も一緒に連れて帰る、と言っていた。
【そ、そうだぞ、我が魔王。ワシはきっと役に立つぞ】
「ブフッ、シリウスが魔王扱いされてる! アハハ、やっぱりそうなの・・・ごめんなさい冗談です」
 うん、フェオには俺の思いが伝わったようだ。それにしてもこの状況、どうするべきか。やらなきゃ良かった。まさに、後悔先に立たず。
【機嫌を直して下され、我が主よ。ワシはかつて、影の王と呼ばれた魔王の側近をしていた時期もあってな。姿を変えるのが得意なのだよ。影武者などはお手のものなので、立派に役目を果たすぞ。さあ!】
 何が、さあ! なのかは分からないが、あまりいい情報はなかったな。唯一、影武者ができる点は良かったが。クリスティアナ様の影武者をやってもらえば、彼女の安全を確保することができる。これは凄いメリットだ。
【ピーちゃん!】
【!? ま、まさか、フェニックス!? 何でここに!?】
 ピーちゃんを見てクロがものすごく焦っている。
 そっかー、ピーちゃん、フェニックスだったのかー。
「フェニックス!?」
「フェニックス!?」
 クリスティアナ様とフェオも驚いている。フェオも驚くほどの事態らしい。
 俺と一緒にいるようになってから、クリスティアナ様にも厄介ことを抱える体質が備わりつつあるのかも知れない。一度、謝っておいた方がいいのかな?
【ピーちゃん!】
 相変わらずピーちゃんはピーちゃんのようだ。進化をもう一段階残しているのかな?
【何を言っておるのだ。お主もしゃべれるであろう?】
【黙れ小僧】
【すいません】
「・・・」
「・・・」
「・・・」
【ピーちゃん!】
 今、凄い声がしたぞ・・・。
 ピーちゃんは怒らせない方が良さそうだ。何でこんなに厄介ことが俺の回りに集まってくるんだ。主人公補正か? 俺、主人公じゃないんだけど。
 夜、久しぶりに昔の記憶を思い出してみた。ゲームでは召喚魔法などで使い魔を呼び出すシーンはなかったような気がする。もう八年以上前の記憶だし、そのゲームに興味もなかったのでほとんど覚えていないが。
 ゲームの内容とは違う方向に進んでいるのだろうか? だとしたら、俺が魔王になることもないのだろうか? そうだとしたら、もっと心を安らかにして過ごせるんだけど。
【我が主よ、もう起きたのか?】
 考え事をしている間に眠ってしまっていたようだ。気がつくと窓からは柔らかい朝の光が射し込み始めている。
「うん、クロが重くてさ。クロだけ床で寝る?」
【そんな!? ワシもみんなと一緒に寝たいですぞ! と言うか、ワシら使い魔は重さはないはずだが】
「うん、重さはないね。ほんの冗談だよ」
 クロの毛並みを手で撫でると、予想以上の触り心地の良さだった。特に嫌がる様子もなかったので、そのままモフらせてもらった。
【主は変わっておるな。ワシを呼ぶものは皆、ワシの力を欲しておった。だが、主は違う。なぜワシを呼んだのだ?】
「ペットが欲しかったからかなぁ」
【ペット!? ペットとしてワシ呼ばれちゃったの? ま、まあいいか。いつも争いことにしか縁がなかったが、このような平穏な日常も良いかもしれんな】
「そう? 気に入ってもらえたなら良かったよ。ところで、ピーちゃんは何でティアナのところにきたの?」
 ベッドのすぐ隣に用意されたピーちゃん専用の止まり木に止まっているインコの姿をしたフェニックスに聞いてみた。何か深いわけがあるのかも知れない。
【我が主の清らかな心と魔力に惹かれたからですよ。これほどの人物はそうそうおりません】
 そっか、クリスティアナ様はピュアだもんね。それに癒やしの魔法をいつも練習してる、とても頑張り屋さんだ。
 いや、待てよ。あのときクリスティアナ様は純粋に、可愛い子来い、可愛い子来いと願っていたはずだ。つまり、あのときの召喚候補は一番可愛い子であったはずだ。そして、可愛い子=フェニックス、という構図でフェニックスが出張ってきたのではなかろうか。ありそうだ。
【ところで、なぜ貴方と我が主が同衾しているのですか?】
「ああ、俺はティアナの婚約者だからね。一緒に寝ても、エッチなイタズラをしても大丈夫だよ」
【なっ! 我が主に不埒なことをするのは許しませんよ】
【それでは子作りするときはどうするのだ? 子孫を残すことは生きる物の使命のようなものだぞ?】
【そ、そのときはほら、こうやって目を瞑っておきますよ】
 羽で目を隠す仕草をするピーちゃん。だが、目元は全く隠れていなかった。見たいかよ。
「いや、帰ってもらえばいいのでは?」
【えっ? 帰るんですか!?】
【まあそうなるだろうな】
 クロの一言にしょんぼりとなるピーちゃん。
「クリスティアナ様? 起きてますよね」
 先ほどから、やけにもぞもぞと動いている布団に向けて声をかけた。顔もしっかりと赤くなっている。
「グ、グーグー」
「あれれ~? 寝てるのかな~」
 寝た振りをしているクリスティアナ様をそっと抱きしめ、頬に軽くおはようの口づけを落とした。
 ますます赤くなるクリスティアナ様。非難の声をあげるピーちゃん。手が早いな、と呆れるクロ。今日も平穏な一日が始まろうとしていた。
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