ヒレイスト物語

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第三章 変化

尊敬

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俺たちは人気のない川辺に腰を落ち着けた。どう切り出していいかわからず、静寂が流れている。すると、モルテから話かけてきた。


「ビスさん。とりあえず腕、離してもらえますか?」


「え?あ、ああ、済まない。」


慌てて腕を離す。話を切り出す方法を考えるのに必死で忘れていた。


「はははっ。ビスさんってたまに抜けているところありますよね。」


「う、うるせー。」


ギクシャクした空気が流れていたのが嘘かのように、いつもの二人でいる時の空気に一瞬にして変わった。今であれば自然と切り出せると思い口を開くと。先にモルテが言葉を発していた。


「で、話ってなんですか?」


「ああ、その前にお前、俺とハウさんの言い合い聞いてたんだろ?」


モルテは遠くを見つめ答える。


「ええ、聞いてましたよ。最初の方は聞いてないので具体的なことはわかりませんでしたけど。あいつに馬鹿にされているのはわかりました。」


「はあ、それで部屋をあんなにしたのか?」


「・・・むしゃくしゃしてしまって。ベルがいるのも忘れて暴れてしまいました。すみません。」


「そうか。ただ、謝る相手間違ってるぞ。」


モルテも冷静になっているみたいだ。


「そうですね。あとで謝っておきます。・・・あの人の言う通りまだ子どもなのかもしれませんね。僕は。」


それが言えるだけ俺よりも大人だと思ってしまう。


「なあ、聞いてもいいか。なんでそんなにハウを毛嫌いするんだ?」


「長くなりますよ。それでもいいなら。」


「ああ、頼むよ。」


気を許してくれたのか、今まで話さなかったことをポツポツと話してくれた。


「小さい時はこれでも、あの人のこと尊敬してたんですよ。昔のあの人の活躍をお母さんから聞いてましたから。”戦場で大活躍してたのよ。”って。門番の仕事になってからも尊敬の念は消えてませんでした。一番襲われるところで守っているんだって。そう思ってました。でも、僕の考えと周りの考えは違いました。周りからはあの人は逃げ出した弱虫だと言うんです。その時は反論してましたよ。ほら、いつだったか一緒に宿まで帰った時もそうだったんですよ。」


そういえば、モルテが大声を出している時があったなと思い出す。そういうことだったのか。あの時は何のことだがわからなくてただ、ただ気まずかった。




「話に戻りますが、周りが言っていることをお母さんに聞いても、あの人に聞いても、気にするなの一点張りで何も話してくれませんでした。その頃から尊敬の念は揺らぎが始めていたのかもしれません。・・・僕があの人を避けるようになったのは、モーヴェ王国が崩壊した後でした。」
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