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アルファたるもの、勇敢で冷静で、何事にも動じない強い精神を持たなくてはならない。
アルファたるもの、オメガやベータを守る力、組織の中枢を担う知力を有していなければならない。
アルファたるもの、全ての人の上に立ち、率いる存在でなくてはならない。
我がレアンドロ家に伝わる家訓だ。レアンドロ家は公爵位で、生まれる子供たちは高い確率でアルファだった。レアンドロ家に生まれたアルファはもれなく優秀であり、代々の王家を支え、また大きな影響力を持つほど権威を得てきた。そのため、このような家訓が我が家では常に提唱されている。
この世には男女の性別の他、アルファ、オメガ、ベータというバース性も存在している。
大多数の人間はベータだが、稀に何事にも優秀で体躯、知力、美貌にも優れたアルファ、美しく繊細で庇護欲を唆るオメガの性も存在する。オメガは特殊な体質を持ち、アルファと番になることで男性でも妊娠が可能だ。また、ベータには感じ取れないフェロモン、というものでアルファとオメガは惹かれ合い、オメガの発情期に合わせてアルファがオメガの項を噛むことで、番が成立する。
平民に最も多いのはベータであるが、貴族の中では取り分けアルファの方が多い。元より男性が多い世の中で、アルファばかりの貴族社会ではアルファ同士の結婚が盛んに行われていた。もちろん、子供を産むのは女性かオメガでなくてはならない。しかしアルファの男性というのは非常に優れた人間が多かったため、アルファ同士婚姻を結べばお互いの家の資金、権力、知見を使って様々な領地経営、開拓が行える故に、両家ともに繁栄すると言われていた。
結果として、貴族のアルファの男同士の結婚は珍しくは無かった。しかしアルファの男はプライドが高く、元来オメガなどの性に惹かれるものだ。よって公認的に、アルファ同士の結婚では不倫や夜遊びが当たり前のものとされており、家にそれぞれオメガの愛人を囲っている者も居るようだ。
子孫に関しては愛人に産ませる事がほとんどだが、アルファ同士でも教会に赴き聖力の力を買い、数日感擬似的な発情期をどちらかが迎えることで、子供を授かることも出来る。過去にいた偉大な聖人が成し遂げた聖魔法だそうだ。しかし、近年ではその使用例は少ない。この国では魔法を使える人間がごく僅かな事だけでなく、そもそも貴族のアルファはプライドが高く、自分が負けることを良しとしない。自分が孕む事を耐えられるような人間は少なく、多くは愛人のオメガに次代のアルファを産んでもらう、というのが慣習となっている。
そんな大国、ファディリアの公爵家、レアンドロ。国内でも有数の名家であり権威のある家の長男が、私……ステファノ・マウリ・レアンドロであった。
レアンドロ家特有の輝く黄金の髪に、やや褐色の肌。もちろんアルファであり、体躯も良い。幼い頃から勉学、剣術、馬術、狩猟など様々な教育を受けた。アルファたるものこうあるべしという父の教えに沿うべく、日々鍛錬を続けた私は、気が付けば国内でも有力な子息として名を馳せる事となる。
しかし、世の中の私を取り巻く環境と、私の心とは常に裏腹だった。いつだって、私が私らしく居られた時なんて……一度も無かったのだ。
「先日から始まったモリアーノ地区の水路建設の方はどうだ?住民たちの反発はまだ続くか」
「いや、モリアーノ当主が上手く話をつけたのか、今では反発はほぼない。モリアーノは君の腹心だから、どうやら君のラルゴ家の良い噂を広めて、この工事に好意的になるよう仕向けたようだ」
「そうか。当主にはまた世話になるな」
世話になる、等と思ってもいないだろう。私の夫である、フィデロ・ラルゴとはそういう男だ。
大きな窓から庭園の見渡せるこの部屋は、屋敷の中でも非常に良い位置にある。朝の光をさんさんと浴びて輝く草木が見渡せ、朝日が柔らかに食卓を照らす。
白い清潔なナプキンに、食欲旺盛なフィデロが侍従に用意させた豪華な朝食が目前に並び、忙しなくテーブルの横では給仕係がアツアツの燻製肉、卵料理を用意する。貴族とはいえ朝は固いパンと軽いワインで済ませる者も多いと聞くが、フィデロの拘りでこのような朝食風景になっている。
胸焼けがしそうな料理たちを尻目に、私は自分にだけ用意させたサラダと固いパンを口に運んだ。
同じテーブルの数歩先位の位置に座る夫は、こちらを見もせず新聞に視線を落としている。そこには取り留めのない会話や、お互いを労う掛け合いはない。唯一顔を合わせる朝に事業計画や、事業の進捗状況、懸念点についてついて報告し合う。
それが私たち夫夫(ふうふ)の朝の日常だった。
そこに愛など、欠けらも無い。
フィデロ・ラルゴと結婚したのは、私が二十二歳、今から四年前の事だった。
元から私は優秀なレアンドロ家のアルファの子息として、フィデリア王家の第二王子と婚約を結んでいた。第二王子のアンドレアス殿下もアルファであるが、私を正夫として娶り、別のオメガの姫を第二夫人として迎え入れる手筈だった。元から高位であるレアンドロ家は王家と婚姻を結ぶ事も歴史上多く、しかし実際の子孫としては別のオメガの家系が担う場合が多かった。要はレアンドロ家は優秀で血統も良いため、王家に取り込みたいという政治的思惑が大きいと思われる。
元からレアンドロ家を継ぐか、王家か王家に連なる家のアルファと結婚をさせられるのだろう……と物心がついた時から覚悟していた私なので、アンドレアス殿下との婚約も全く予想していなかった訳では無い。
しかも、アンドレアス殿下の事は非常に好感を持っていた。学生時代、分け隔てなく優しいアンドレアス殿下は皆から慕われ、私にも会う度に気さくに笑いかけて下さる方だった。初めて婚約が結ばれた時にも、笑顔で殿下は仰った。
「ステファノのような優秀な男が、婚約者とは果報者だな。共に国家を良き道へと導いてくれ」
「はい、殿下」
この時、私は思ったのだ。たとえ自分の意思での結婚でなかったとしても、この方と共に生きて国を良い方向に発展する力添えをしよう、と。レアンドロ公爵家も、このフィデリア王国も私が責任をもって、盛り立てよう。そう思えてしまうくらい、アンドレアス殿下は人を魅了する方だった。
しかし数年間婚約者としての厳しい教育を受けながら過ごしていたある日のこと。突然私の元に届いたのは、一方的なアンドレアス殿下との婚約破棄の通知と……代わりにフィデリア王家の先代の王妃陛下の家柄である、ラルゴ家の子息との婚約の知らせだった。
要は、アンドレアス殿下が出会ってしまったのだ。運命の番に。
アルファとオメガが番になる、というのは定説だが、その中でも伝説、おとぎ話のように語られるものがある。それが運命の番だ。
アルファとオメガがひと目出会うだけで直ぐに惹かれ合い、この人でなければ駄目だと言うほど愛し合う。そのような運命の番の二人は、昔は良くある話だった様だ。しかし昨今ではこの国ではオメガも数が減り貴重なものとなっているため、出会う母数がそもそも少ない。出会ってみなければ分からないのだから、運命に会いようもない。結果として今では殆ど聞かない話だった。
そのようにしておとぎ話的に語り継がれていた運命の番の二人は、残酷にもアンドレアス殿下と留学で来ていた隣国のカサール帝国のオメガの姫君であったのだ。噂で聞いたところによると、二人はひと目見ただけで惹かれ合い、姫君が突如発情期を迎え……その日のうちに結ばれたとの事だ。最後にアンドレアス殿下は、私に会いにも来なかった。番となった姫君に夢中なのだ。
そうして余った私は、当然のようにフィデロ・ラルゴと婚約する事となった。
ラルゴ家は家格としてはレアンドロ家とほぼ同等で、しかも先代の王妃陛下は現当主のフィデロの姉君である。また過去に何度も王家と婚姻を結んだラルゴ家は、フィデリア王国の基礎を築いた名君フィデロ二世のフィデロ、の名を継ぐ事すら許されている。ラルゴ家の中でも非常に優れたアルファの子息が生まれた際には、必ずフィデロ、と名付けられる事は有名な話だ。
家格も身分も申し分ない婚姻に、またしても私の意思は無かった。貴族の結婚に意志などいらない。全ては利害の一致と権力がものを言う。
順調に事が運び、二十二歳の時に私はフィデロと結婚した。結婚したその日に漸く顔を合わせた私に、フィデロは言った。
「俺にはオメガや女の愛人が何人かいるが、流石にレアンドロ家の子息を娶ったからには君を立てよう。とりあえず家には呼ばないようにする」
「……承知した」
「まあ、君も適当に遊ぶといい、自由にしろ。だがラルゴ家とレアンドロ家が婚姻を結んだのだ、益々両家は繁栄の時を迎えるだろうな。楽しみだ」
よろしく、と言ってフィデロは私に手を差し出し、私たちは握手を交わした。それは愛の誓いとは程遠く、会社間の事業提携の取り決めの様だった、と今となっては思う。
「……」
「ステファノ様、お疲れでしょうか?お茶でもいれて参りましょうか」
「……そうだな。もうすぐ夕食の時間だし、自室の方に胃に負担のかからない食事とともに、茶の方も用意してくれ」
畏まりました、と部屋付きの侍従が下がっていった。
はあ、とため息をつく。
気が付けば、もう夕方近くになっていた。外では西陽が差していたため、窓から庭園の方を覗き込む。庭師がせっせと手入れをしている以外、特に変わった風景はない。ラルゴ家はさすがの家柄な上に、先代の王妃陛下のご趣味で美しい薔薇の庭園が中央に設置されている。
本当に美しい。きっとこんな庭園を、夫や我が子と眺められたら……どんなに楽しかっただろうか。
庭園を散策して、葉っぱまみれになった子供を叱ったりもする。乳母が笑う中、家族は食堂に集まって夕食を摂るのだ。今日あった出来事などを聞きながら、笑いの絶えない食卓……。そんなものは全て空想でしかなく、そして一国の名家のアルファが妄想するような内容でも無かった。
ステファノ・マウリ・レアンドロ。レアンドロ家長男にして現当主、兼名家ラルゴ家に嫁いだアルファ。
そんな仰々しい肩書きでありながら、私はそれが常に不相応である、と思いながら生きてきたのだった。
幼い頃の話である。五歳だった私は毛虫が怖かった。レアンドロ家の庭でうねうねと動く様を見て泣いた私に、教育係は即座に平手打ちをした。
「レアンドロ家の当主ともなるであろう方が、虫如きで泣くなど甚だしい」
「だって……」
「それでもレアンドロ家を背負うアルファですか?貴方はこの家や国家を背負う方ですよ。こんなものと踏みつけるくらいの気概が無くてはなりません」
踏み付けるなんて、有り得なかった。虫は怖いし、そもそも生きている。それを殺すなんて事も出来そうにない。
そう、私はアルファらしからぬアルファだったのだ。好きな物は動物と植物。勉強はまだしも、剣術や狩猟は怖くていつも逃げ出したかった。生まれついた頃から教育を受けた私は、泣く度に教育係に凄まれ、父に叱られた。父は典型的なアルファ気質の人だった上、優秀なアルファを多く排出してきたレアンドロ家の家訓が身に染みているような人だ。そんな父からすれば、私は軟弱者で出来損ないの長男だった。
弟たちが生まれた後、父は私に当主を継がせることを渋った程だ。しかし世間体を気にして、長男である私をどうにか当主として教育する道を選んだ。
私はいつしか、自分というものを見失っていた。
常に完璧なアルファを求められ、私はそれに応えた。父や周囲の期待に応えるうちに、気付けば表立って泣く事は無くなった。また、元はアルファである事に間違いは無いため、勉学も剣術なども申し分ないほど吸収した私は、幼い頃のひ弱な印象からはかけ離れる程、体躯もよく立派な威厳のあるアルファに成長した……少なくとも、表面上は。
自分を偽る生活の中で、思春期の頃にどうしようもなく辛くなった私は、逃げ場を求めた。それが平民の中で流行る恋愛小説だった。
恋愛結婚をした二人に訪れる危機、二人を妨害する存在、家柄の違い、バース性の違いからすれ違い、結ばれる二人。子供を授かって幸せに暮らすその様は、私の心の癒しとなった。平民と貴族との恋愛や悲恋を描いた作品も多く見られ、身分差のある恋物語に涙した。
それらは主に平民の若い層向けの本ではあると知りながら、私はのめり込んだ。それを読んでいる時は、現実の辛さが忘れられる。物語に没頭して感情移入し、涙し、そして幸福に浸れる。翌日目を覚ませば、また貴族のアルファとして求められる自分を演じる。そうして生きる中、私は常に心が疲れている事に自分で気がついたのだ。
本当は、恋愛結婚がしたい。本当は、動物や植物を愛でて、ささやかな領地で家族と暮らしたい。
本当は……アルファとして、オメガを抱いたりもしたいと思わない。アルファと結婚をして、愛のない生活を送りたくもない。
むしろ、私は自分を癒してくれる愛が欲しかった。父や周囲から与えられなかったそれに包まれたい。オメガを導いて愛してやる事よりも、私が愛されたかった。
しかしそんな本音は、終ぞどこにも語る事は無かった。周囲の期待通りに王家と婚姻を結び、それが破棄されれば良家の子息と結婚したのだった。
そんな生活も、もう四年になる。
夫の居ない一人の食卓で、給仕に白ワインを注いでもらいながら、向かいの席に目を向けた。部屋にいるのは自分と、給仕係や執事の何名かのみだ。フィデロは私の家柄を気にして、朝食だけは共に摂る。しかしそれ以外の時間は別々に過ごし、執務をこなしている。また夕食に至っては彼は外出し、愛人と会っているようだ。そのまま朝まで帰らないこともあるが、愛人を家に連れ込まないだけまだマシなのだろう。
少し胃が痛む。ワインはそこそこにした方がいいかと思い、給仕を呼んだ。
「ワインはもういい。先程用意させた茶の方を頼む」
「承知致しました」
実家の領地で栽培するハーブ茶は、唯一この結婚で得られた新たな癒しだ。過去実家にいた頃は、ハーブ茶すら飲むべからずとして私の前に置かれることは無かった。ハーブ茶は主に女性に好まれるものであるから、アルファが飲むべきでは無いらしい。実家では許されなかったそれだが、流石に貿易品に混ぜて運ばせてしまえば、その先で私が飲むとは誰も思ってもいないようだ。
淹れたてのハーブ茶を飲み、一息ついた。月夜が美しい窓辺を眺めながら、どうしても物悲しい気持ちになる。
こんな生活が四年も続いたとしても、弱音すら吐くことは許されない。むしろ恵まれた結婚であるのだとすら、周囲からは思われている。
最初は私も、フィデロと仲良くなろうと努力はした。しかしフィデロは絵に描いたような男らしいアルファで、むしろ冷酷な一面すらあった。過去婚約していた優しいアンドレアス第二王子殿下とは違い、利己的な男だ。しかしアルファとして間違っている訳ではなく、その優秀さと違わぬ男らしさに、どんなオメガも彼に惚れるらしい。彼は常に数人の愛人を抱え、取っかえ引っ変えしては遊んでいるようだ。
そんな私と正反対の彼と、仲良く家族ごっこができるはずも無かった。
フィデロは私にも遊べと言ったが、私にはどうしてもその気になれない。
無論、夫がいる立場で他の人間と遊ぶ、という行為も自分にとっては許し難い。しかしそれ以上に、私を私として愛してくれる人間がいるとは思えなかった。
今でもこうして感傷に浸るし、自室でひっそりと泣くくらいには泣き虫である。夜な夜な恋愛小説を読むし、動物が好きで本当は狩りもしたくない。ひ弱で美しいオメガを愛するよりも、優しいアルファに愛されたいとすら思う。
きっと、私はアルファ失格なのだ。
取り繕うことはできる。能力もあるし、見た目もアルファ然としている。過去何度か赴いた社交界でのパーティーでも、私にアルファの婚約者がいると知りながら、様々なオメガや女性が頬を染めて近付いてきた。
しかし、私には無理なのだ。そういった人達は可愛いが、愛することは出来ない。そして本当の私をさらけ出し、愛してもらうこともできない。
いつかこの生活から抜け出し、愛する人と幸せな家庭を築けたら。そう思うものの、多分私の身分ではそれは到底叶いようもない。
ため息をつきたくなったが、ため息をつけば給仕係たちが何か粗相をしたのかと怯えてしまう。そんなことをさせたい訳でも無いので、私は夕食もそこそこに自室に戻ることにした。
自室につき、漸く一息つける。ここが私の砦であるが、ここは元々ラルゴ家の屋敷の一角……フィデロの自室からは遠く離れた部屋であった。しかも私好みでもない内装の部屋で、完全には寛げない。
私の居場所は、どこにあるのだろうか。実家にも、この家にも、必要とされていると思うのに。どうしても私というものが無かった。ただ肩書きと優秀なアルファが欲しいだけで、誰も私の本質を知ろうともしないし、 私もさらけ出さない。
しかしきっと、こんな事にくよくよと悩むこと自体……アルファらしくないと言われるのだろう。
少し息苦しく感じる中、私は胸元のタイを弛める。こうして一日が終わっていくのだ。きっと明日も、明後日も。それどころか、何十年も。
アルファたるもの、オメガやベータを守る力、組織の中枢を担う知力を有していなければならない。
アルファたるもの、全ての人の上に立ち、率いる存在でなくてはならない。
我がレアンドロ家に伝わる家訓だ。レアンドロ家は公爵位で、生まれる子供たちは高い確率でアルファだった。レアンドロ家に生まれたアルファはもれなく優秀であり、代々の王家を支え、また大きな影響力を持つほど権威を得てきた。そのため、このような家訓が我が家では常に提唱されている。
この世には男女の性別の他、アルファ、オメガ、ベータというバース性も存在している。
大多数の人間はベータだが、稀に何事にも優秀で体躯、知力、美貌にも優れたアルファ、美しく繊細で庇護欲を唆るオメガの性も存在する。オメガは特殊な体質を持ち、アルファと番になることで男性でも妊娠が可能だ。また、ベータには感じ取れないフェロモン、というものでアルファとオメガは惹かれ合い、オメガの発情期に合わせてアルファがオメガの項を噛むことで、番が成立する。
平民に最も多いのはベータであるが、貴族の中では取り分けアルファの方が多い。元より男性が多い世の中で、アルファばかりの貴族社会ではアルファ同士の結婚が盛んに行われていた。もちろん、子供を産むのは女性かオメガでなくてはならない。しかしアルファの男性というのは非常に優れた人間が多かったため、アルファ同士婚姻を結べばお互いの家の資金、権力、知見を使って様々な領地経営、開拓が行える故に、両家ともに繁栄すると言われていた。
結果として、貴族のアルファの男同士の結婚は珍しくは無かった。しかしアルファの男はプライドが高く、元来オメガなどの性に惹かれるものだ。よって公認的に、アルファ同士の結婚では不倫や夜遊びが当たり前のものとされており、家にそれぞれオメガの愛人を囲っている者も居るようだ。
子孫に関しては愛人に産ませる事がほとんどだが、アルファ同士でも教会に赴き聖力の力を買い、数日感擬似的な発情期をどちらかが迎えることで、子供を授かることも出来る。過去にいた偉大な聖人が成し遂げた聖魔法だそうだ。しかし、近年ではその使用例は少ない。この国では魔法を使える人間がごく僅かな事だけでなく、そもそも貴族のアルファはプライドが高く、自分が負けることを良しとしない。自分が孕む事を耐えられるような人間は少なく、多くは愛人のオメガに次代のアルファを産んでもらう、というのが慣習となっている。
そんな大国、ファディリアの公爵家、レアンドロ。国内でも有数の名家であり権威のある家の長男が、私……ステファノ・マウリ・レアンドロであった。
レアンドロ家特有の輝く黄金の髪に、やや褐色の肌。もちろんアルファであり、体躯も良い。幼い頃から勉学、剣術、馬術、狩猟など様々な教育を受けた。アルファたるものこうあるべしという父の教えに沿うべく、日々鍛錬を続けた私は、気が付けば国内でも有力な子息として名を馳せる事となる。
しかし、世の中の私を取り巻く環境と、私の心とは常に裏腹だった。いつだって、私が私らしく居られた時なんて……一度も無かったのだ。
「先日から始まったモリアーノ地区の水路建設の方はどうだ?住民たちの反発はまだ続くか」
「いや、モリアーノ当主が上手く話をつけたのか、今では反発はほぼない。モリアーノは君の腹心だから、どうやら君のラルゴ家の良い噂を広めて、この工事に好意的になるよう仕向けたようだ」
「そうか。当主にはまた世話になるな」
世話になる、等と思ってもいないだろう。私の夫である、フィデロ・ラルゴとはそういう男だ。
大きな窓から庭園の見渡せるこの部屋は、屋敷の中でも非常に良い位置にある。朝の光をさんさんと浴びて輝く草木が見渡せ、朝日が柔らかに食卓を照らす。
白い清潔なナプキンに、食欲旺盛なフィデロが侍従に用意させた豪華な朝食が目前に並び、忙しなくテーブルの横では給仕係がアツアツの燻製肉、卵料理を用意する。貴族とはいえ朝は固いパンと軽いワインで済ませる者も多いと聞くが、フィデロの拘りでこのような朝食風景になっている。
胸焼けがしそうな料理たちを尻目に、私は自分にだけ用意させたサラダと固いパンを口に運んだ。
同じテーブルの数歩先位の位置に座る夫は、こちらを見もせず新聞に視線を落としている。そこには取り留めのない会話や、お互いを労う掛け合いはない。唯一顔を合わせる朝に事業計画や、事業の進捗状況、懸念点についてついて報告し合う。
それが私たち夫夫(ふうふ)の朝の日常だった。
そこに愛など、欠けらも無い。
フィデロ・ラルゴと結婚したのは、私が二十二歳、今から四年前の事だった。
元から私は優秀なレアンドロ家のアルファの子息として、フィデリア王家の第二王子と婚約を結んでいた。第二王子のアンドレアス殿下もアルファであるが、私を正夫として娶り、別のオメガの姫を第二夫人として迎え入れる手筈だった。元から高位であるレアンドロ家は王家と婚姻を結ぶ事も歴史上多く、しかし実際の子孫としては別のオメガの家系が担う場合が多かった。要はレアンドロ家は優秀で血統も良いため、王家に取り込みたいという政治的思惑が大きいと思われる。
元からレアンドロ家を継ぐか、王家か王家に連なる家のアルファと結婚をさせられるのだろう……と物心がついた時から覚悟していた私なので、アンドレアス殿下との婚約も全く予想していなかった訳では無い。
しかも、アンドレアス殿下の事は非常に好感を持っていた。学生時代、分け隔てなく優しいアンドレアス殿下は皆から慕われ、私にも会う度に気さくに笑いかけて下さる方だった。初めて婚約が結ばれた時にも、笑顔で殿下は仰った。
「ステファノのような優秀な男が、婚約者とは果報者だな。共に国家を良き道へと導いてくれ」
「はい、殿下」
この時、私は思ったのだ。たとえ自分の意思での結婚でなかったとしても、この方と共に生きて国を良い方向に発展する力添えをしよう、と。レアンドロ公爵家も、このフィデリア王国も私が責任をもって、盛り立てよう。そう思えてしまうくらい、アンドレアス殿下は人を魅了する方だった。
しかし数年間婚約者としての厳しい教育を受けながら過ごしていたある日のこと。突然私の元に届いたのは、一方的なアンドレアス殿下との婚約破棄の通知と……代わりにフィデリア王家の先代の王妃陛下の家柄である、ラルゴ家の子息との婚約の知らせだった。
要は、アンドレアス殿下が出会ってしまったのだ。運命の番に。
アルファとオメガが番になる、というのは定説だが、その中でも伝説、おとぎ話のように語られるものがある。それが運命の番だ。
アルファとオメガがひと目出会うだけで直ぐに惹かれ合い、この人でなければ駄目だと言うほど愛し合う。そのような運命の番の二人は、昔は良くある話だった様だ。しかし昨今ではこの国ではオメガも数が減り貴重なものとなっているため、出会う母数がそもそも少ない。出会ってみなければ分からないのだから、運命に会いようもない。結果として今では殆ど聞かない話だった。
そのようにしておとぎ話的に語り継がれていた運命の番の二人は、残酷にもアンドレアス殿下と留学で来ていた隣国のカサール帝国のオメガの姫君であったのだ。噂で聞いたところによると、二人はひと目見ただけで惹かれ合い、姫君が突如発情期を迎え……その日のうちに結ばれたとの事だ。最後にアンドレアス殿下は、私に会いにも来なかった。番となった姫君に夢中なのだ。
そうして余った私は、当然のようにフィデロ・ラルゴと婚約する事となった。
ラルゴ家は家格としてはレアンドロ家とほぼ同等で、しかも先代の王妃陛下は現当主のフィデロの姉君である。また過去に何度も王家と婚姻を結んだラルゴ家は、フィデリア王国の基礎を築いた名君フィデロ二世のフィデロ、の名を継ぐ事すら許されている。ラルゴ家の中でも非常に優れたアルファの子息が生まれた際には、必ずフィデロ、と名付けられる事は有名な話だ。
家格も身分も申し分ない婚姻に、またしても私の意思は無かった。貴族の結婚に意志などいらない。全ては利害の一致と権力がものを言う。
順調に事が運び、二十二歳の時に私はフィデロと結婚した。結婚したその日に漸く顔を合わせた私に、フィデロは言った。
「俺にはオメガや女の愛人が何人かいるが、流石にレアンドロ家の子息を娶ったからには君を立てよう。とりあえず家には呼ばないようにする」
「……承知した」
「まあ、君も適当に遊ぶといい、自由にしろ。だがラルゴ家とレアンドロ家が婚姻を結んだのだ、益々両家は繁栄の時を迎えるだろうな。楽しみだ」
よろしく、と言ってフィデロは私に手を差し出し、私たちは握手を交わした。それは愛の誓いとは程遠く、会社間の事業提携の取り決めの様だった、と今となっては思う。
「……」
「ステファノ様、お疲れでしょうか?お茶でもいれて参りましょうか」
「……そうだな。もうすぐ夕食の時間だし、自室の方に胃に負担のかからない食事とともに、茶の方も用意してくれ」
畏まりました、と部屋付きの侍従が下がっていった。
はあ、とため息をつく。
気が付けば、もう夕方近くになっていた。外では西陽が差していたため、窓から庭園の方を覗き込む。庭師がせっせと手入れをしている以外、特に変わった風景はない。ラルゴ家はさすがの家柄な上に、先代の王妃陛下のご趣味で美しい薔薇の庭園が中央に設置されている。
本当に美しい。きっとこんな庭園を、夫や我が子と眺められたら……どんなに楽しかっただろうか。
庭園を散策して、葉っぱまみれになった子供を叱ったりもする。乳母が笑う中、家族は食堂に集まって夕食を摂るのだ。今日あった出来事などを聞きながら、笑いの絶えない食卓……。そんなものは全て空想でしかなく、そして一国の名家のアルファが妄想するような内容でも無かった。
ステファノ・マウリ・レアンドロ。レアンドロ家長男にして現当主、兼名家ラルゴ家に嫁いだアルファ。
そんな仰々しい肩書きでありながら、私はそれが常に不相応である、と思いながら生きてきたのだった。
幼い頃の話である。五歳だった私は毛虫が怖かった。レアンドロ家の庭でうねうねと動く様を見て泣いた私に、教育係は即座に平手打ちをした。
「レアンドロ家の当主ともなるであろう方が、虫如きで泣くなど甚だしい」
「だって……」
「それでもレアンドロ家を背負うアルファですか?貴方はこの家や国家を背負う方ですよ。こんなものと踏みつけるくらいの気概が無くてはなりません」
踏み付けるなんて、有り得なかった。虫は怖いし、そもそも生きている。それを殺すなんて事も出来そうにない。
そう、私はアルファらしからぬアルファだったのだ。好きな物は動物と植物。勉強はまだしも、剣術や狩猟は怖くていつも逃げ出したかった。生まれついた頃から教育を受けた私は、泣く度に教育係に凄まれ、父に叱られた。父は典型的なアルファ気質の人だった上、優秀なアルファを多く排出してきたレアンドロ家の家訓が身に染みているような人だ。そんな父からすれば、私は軟弱者で出来損ないの長男だった。
弟たちが生まれた後、父は私に当主を継がせることを渋った程だ。しかし世間体を気にして、長男である私をどうにか当主として教育する道を選んだ。
私はいつしか、自分というものを見失っていた。
常に完璧なアルファを求められ、私はそれに応えた。父や周囲の期待に応えるうちに、気付けば表立って泣く事は無くなった。また、元はアルファである事に間違いは無いため、勉学も剣術なども申し分ないほど吸収した私は、幼い頃のひ弱な印象からはかけ離れる程、体躯もよく立派な威厳のあるアルファに成長した……少なくとも、表面上は。
自分を偽る生活の中で、思春期の頃にどうしようもなく辛くなった私は、逃げ場を求めた。それが平民の中で流行る恋愛小説だった。
恋愛結婚をした二人に訪れる危機、二人を妨害する存在、家柄の違い、バース性の違いからすれ違い、結ばれる二人。子供を授かって幸せに暮らすその様は、私の心の癒しとなった。平民と貴族との恋愛や悲恋を描いた作品も多く見られ、身分差のある恋物語に涙した。
それらは主に平民の若い層向けの本ではあると知りながら、私はのめり込んだ。それを読んでいる時は、現実の辛さが忘れられる。物語に没頭して感情移入し、涙し、そして幸福に浸れる。翌日目を覚ませば、また貴族のアルファとして求められる自分を演じる。そうして生きる中、私は常に心が疲れている事に自分で気がついたのだ。
本当は、恋愛結婚がしたい。本当は、動物や植物を愛でて、ささやかな領地で家族と暮らしたい。
本当は……アルファとして、オメガを抱いたりもしたいと思わない。アルファと結婚をして、愛のない生活を送りたくもない。
むしろ、私は自分を癒してくれる愛が欲しかった。父や周囲から与えられなかったそれに包まれたい。オメガを導いて愛してやる事よりも、私が愛されたかった。
しかしそんな本音は、終ぞどこにも語る事は無かった。周囲の期待通りに王家と婚姻を結び、それが破棄されれば良家の子息と結婚したのだった。
そんな生活も、もう四年になる。
夫の居ない一人の食卓で、給仕に白ワインを注いでもらいながら、向かいの席に目を向けた。部屋にいるのは自分と、給仕係や執事の何名かのみだ。フィデロは私の家柄を気にして、朝食だけは共に摂る。しかしそれ以外の時間は別々に過ごし、執務をこなしている。また夕食に至っては彼は外出し、愛人と会っているようだ。そのまま朝まで帰らないこともあるが、愛人を家に連れ込まないだけまだマシなのだろう。
少し胃が痛む。ワインはそこそこにした方がいいかと思い、給仕を呼んだ。
「ワインはもういい。先程用意させた茶の方を頼む」
「承知致しました」
実家の領地で栽培するハーブ茶は、唯一この結婚で得られた新たな癒しだ。過去実家にいた頃は、ハーブ茶すら飲むべからずとして私の前に置かれることは無かった。ハーブ茶は主に女性に好まれるものであるから、アルファが飲むべきでは無いらしい。実家では許されなかったそれだが、流石に貿易品に混ぜて運ばせてしまえば、その先で私が飲むとは誰も思ってもいないようだ。
淹れたてのハーブ茶を飲み、一息ついた。月夜が美しい窓辺を眺めながら、どうしても物悲しい気持ちになる。
こんな生活が四年も続いたとしても、弱音すら吐くことは許されない。むしろ恵まれた結婚であるのだとすら、周囲からは思われている。
最初は私も、フィデロと仲良くなろうと努力はした。しかしフィデロは絵に描いたような男らしいアルファで、むしろ冷酷な一面すらあった。過去婚約していた優しいアンドレアス第二王子殿下とは違い、利己的な男だ。しかしアルファとして間違っている訳ではなく、その優秀さと違わぬ男らしさに、どんなオメガも彼に惚れるらしい。彼は常に数人の愛人を抱え、取っかえ引っ変えしては遊んでいるようだ。
そんな私と正反対の彼と、仲良く家族ごっこができるはずも無かった。
フィデロは私にも遊べと言ったが、私にはどうしてもその気になれない。
無論、夫がいる立場で他の人間と遊ぶ、という行為も自分にとっては許し難い。しかしそれ以上に、私を私として愛してくれる人間がいるとは思えなかった。
今でもこうして感傷に浸るし、自室でひっそりと泣くくらいには泣き虫である。夜な夜な恋愛小説を読むし、動物が好きで本当は狩りもしたくない。ひ弱で美しいオメガを愛するよりも、優しいアルファに愛されたいとすら思う。
きっと、私はアルファ失格なのだ。
取り繕うことはできる。能力もあるし、見た目もアルファ然としている。過去何度か赴いた社交界でのパーティーでも、私にアルファの婚約者がいると知りながら、様々なオメガや女性が頬を染めて近付いてきた。
しかし、私には無理なのだ。そういった人達は可愛いが、愛することは出来ない。そして本当の私をさらけ出し、愛してもらうこともできない。
いつかこの生活から抜け出し、愛する人と幸せな家庭を築けたら。そう思うものの、多分私の身分ではそれは到底叶いようもない。
ため息をつきたくなったが、ため息をつけば給仕係たちが何か粗相をしたのかと怯えてしまう。そんなことをさせたい訳でも無いので、私は夕食もそこそこに自室に戻ることにした。
自室につき、漸く一息つける。ここが私の砦であるが、ここは元々ラルゴ家の屋敷の一角……フィデロの自室からは遠く離れた部屋であった。しかも私好みでもない内装の部屋で、完全には寛げない。
私の居場所は、どこにあるのだろうか。実家にも、この家にも、必要とされていると思うのに。どうしても私というものが無かった。ただ肩書きと優秀なアルファが欲しいだけで、誰も私の本質を知ろうともしないし、 私もさらけ出さない。
しかしきっと、こんな事にくよくよと悩むこと自体……アルファらしくないと言われるのだろう。
少し息苦しく感じる中、私は胸元のタイを弛める。こうして一日が終わっていくのだ。きっと明日も、明後日も。それどころか、何十年も。
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