転生夫婦~乙女ゲーム編~

弥生 桜香

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第一章

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 私はメイカと共に入場する。
 メイカは本物のアルファードのように振る舞い、数名以外には怪訝に思われることはなかった。
 因みにその数名と言うのは、私の父、母、姉、兄、義理の姉だった。
 彼らは私とミナを見破る事が出来るので、当然と言えば、当然なのかもしれないけれども、正直にすごいと思う。
 挨拶をしたり、踊ったり、話しかけられたりと、特に問題は起こる事もなく、二十三の鐘が鳴る。

「少し離れます。」

 そっと、メイカに話しかけ、私は一度会場から離れる。
 そして、アルファードが用意していた部屋に入り、ミナと合流する。

「ミナ、そっちはどうかしら?」
「可笑しな事はありませんでした、二十二の鐘が鳴った時、あの方にお会いしたのですが、あちらの方も、特にないとのことです。」
「そう。」

 それならば、いいのだけど。
 私はドレスを脱ぎ、ミナの予備の服に着替える。

「イザベラ様の方はいかがですか?」
「こちらも異常はないように思ったわ。」
「そうですか。」
「何か起こるとすれば、今日だと思ったのだけれども、外れたのかしら?」

 私は小首を捻り、ミナの着替えを手伝う。

「まだ、終わっておりません。」
「ええ、だけど、後鐘が二つほど鳴ればだんだん人は減っていくはずだから。」
「そうですよね、でも、気を抜かない方がいいですよね。」
「ええ。」

 ミナの服を整え、そして、私は彼女と自分の姿を変えたその瞬間、部屋のガラスが割れた。

「「――っ!」」

 予想外の出来事に私たちは体を強張らせ、そして、そちらの方に顔を向けると、一人の魔族が立っていた。

「こんにちは、姫君。」

 道化のように丁寧に頭を下げる、魔族に私たちは警戒を強めた。
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