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幽霊少女サイド
イベント不発? 3
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そう言えば、なんかゲームでストーリーイベントがあったよね。
時期的にそろそろだったし。
何だっけかな……。
もう、この前北斗がスキップするから思い出せないじゃない。などと私は北斗の所為にしながらも記憶を辿る。
「スピカ?」
うーん。あっ。なんか引っかかって来たかも。
確か、共通ルートで……。
ヒロインの授業中にすごい爆発音がしたんだっけ。
そして、その爆発に巻き込まれた人たちに一人ひとり治癒していくヒロイン、そこで、出会った、司狼……って。
「やってしまったぁぁぁあぁぁぁあぁっ!」
「んっ!」
唐突に叫んでしまった私に北斗がびくりと体を揺らす。
「……あっ…。」
彼の姿を見てハッとなった私は苦笑いを浮かべる。
「あはは。」
「お前な……。」
呆れたような顔をする北斗に私は叱られた子どものように身を縮める。
「行き成り叫ぶな、いくら見えないからと言って、万が一お前の姿を見れる奴がいたらどうするつもりだ。」
「……あはは。」
「で、何がやってしまったんだ?」
「あっ…。」
私は口を開こうと思ったが、不意に、彼にイベントを潰してしまった事を言ってもいいのだろうか。
彼がヒロインと出会うのを楽しみにしているんだったら、やばいかも。
「お前な、何を心配しているんだ?」
「へあ?」
「…口に出てるぞ。」
北斗の言葉に私は口を押えるが、もうすでに遅いだろう。
「えっと。」
「お前はイベントやらを潰してしまった事を後悔しているのかもしれないが、俺としてはどうでもいい。」
「で、でも…。」
「どうせ、かませ犬扱いなんだろう?」
「うっ…。」
彼のその言葉に私は次々と司狼以外のイベントやストーリーイベントを思い出し、言葉が出ない。
「なら、別に出会わなくてもいいじゃないか。」
「でも…私は…幸せになって欲しい。」
「俺にか?司狼と呼ばれる、ゲームのキャラクターにか?」
「……。」
北斗の冷たい目に私は凍り付く。
ゲームの司狼はヒロインとくっつかなければ出番がない、彼がそれ以外で幸せになれないのかもしれないと思っていた。
でも、私の目の前にいる彼は司狼ではなく北斗だ。
彼の幸せはヒロインと出会わないと掴めないのか?
「もし、俺に幸せになって欲しいというのなら。」
まるで銃の焦点が私の心臓を狙うかのようにジッと彼は私を見る。
「俺の幸せは不確かなヒロインというそんじゃない、俺の幸せはーー。」
その時、まるで北斗の言葉を奪うかのように、何かが割れる音がした。
そして、続いてもくもくと煙が出だす。
吸った事のないはずなのに、私は気づいたら走り出していた。
「スピカっ!」
行かなければ、行かなければ。
私の「力」じゃないと、助からないっ!
「待てっ!」
力づくで呼び止められた私は呼び止めた、張本人である北斗を睨む。
この時、私は焦りの方で気づいていなかったが、北斗が握っている手首は燃えるように熱くなっていた。
この時、私たちは両方とも冷静ではなかったのだ。
「離してっ!いかないと。」
「何でスピカがいかないといけないんだよ。」
「この臭い間違いなく今日の授業のあの毒にもなる薬草の方なの、私がいかないとっ!」
「……。」
まるで何かに操られるように、そのように言っている私に北斗は何を思ったのか、私を抱きしめる。
行き成りの事と気がせいていた私はもがくように北斗から逃れたかった。
でも、北斗はまるで私を逃さないかというようにしっかりと抱きしめる。
「いい加減にしてっ!」
「いい加減にしろっ!」
私たちは同時に叫ぶ。
そして、怒鳴られた私たちは同時に我に返る。
「…スピカ、深呼吸をしろ。」
「……北斗も落ち着いてよね。」
私は北斗に言われ深呼吸をして、ようやく私は手首の痛みを認知する。
「……。」
「北斗、私は行かないといけない。」
「この学校にはスペシャリストだっているんだ、大丈夫だろう。」
「……。」
北斗の言葉に私は緩やかに首を振る。
「だめ、間に合わない。」
「どういう事だ?」
「お願い行かせて。」
「……。」
私をじっと見つめ、そして、北斗は持っていたハンカチを口にまき、私に手を伸ばす。
「北斗?」
「行くんだろう。」
「…ありがとう。」
危険だと北斗も分かっているのに、彼は妥協してくれた。
私一人行かすのではなく彼もまたついてくるという事。
それはどんな思いだったのか、私には分からない、だけど、私はこの時嬉しかった。
彼が自分に耳を傾けてくれた事。
彼が自分に手を差し伸べてくれた事。
だから、私は大丈夫だと自分に言い聞かせて、彼と共に走った。
時期的にそろそろだったし。
何だっけかな……。
もう、この前北斗がスキップするから思い出せないじゃない。などと私は北斗の所為にしながらも記憶を辿る。
「スピカ?」
うーん。あっ。なんか引っかかって来たかも。
確か、共通ルートで……。
ヒロインの授業中にすごい爆発音がしたんだっけ。
そして、その爆発に巻き込まれた人たちに一人ひとり治癒していくヒロイン、そこで、出会った、司狼……って。
「やってしまったぁぁぁあぁぁぁあぁっ!」
「んっ!」
唐突に叫んでしまった私に北斗がびくりと体を揺らす。
「……あっ…。」
彼の姿を見てハッとなった私は苦笑いを浮かべる。
「あはは。」
「お前な……。」
呆れたような顔をする北斗に私は叱られた子どものように身を縮める。
「行き成り叫ぶな、いくら見えないからと言って、万が一お前の姿を見れる奴がいたらどうするつもりだ。」
「……あはは。」
「で、何がやってしまったんだ?」
「あっ…。」
私は口を開こうと思ったが、不意に、彼にイベントを潰してしまった事を言ってもいいのだろうか。
彼がヒロインと出会うのを楽しみにしているんだったら、やばいかも。
「お前な、何を心配しているんだ?」
「へあ?」
「…口に出てるぞ。」
北斗の言葉に私は口を押えるが、もうすでに遅いだろう。
「えっと。」
「お前はイベントやらを潰してしまった事を後悔しているのかもしれないが、俺としてはどうでもいい。」
「で、でも…。」
「どうせ、かませ犬扱いなんだろう?」
「うっ…。」
彼のその言葉に私は次々と司狼以外のイベントやストーリーイベントを思い出し、言葉が出ない。
「なら、別に出会わなくてもいいじゃないか。」
「でも…私は…幸せになって欲しい。」
「俺にか?司狼と呼ばれる、ゲームのキャラクターにか?」
「……。」
北斗の冷たい目に私は凍り付く。
ゲームの司狼はヒロインとくっつかなければ出番がない、彼がそれ以外で幸せになれないのかもしれないと思っていた。
でも、私の目の前にいる彼は司狼ではなく北斗だ。
彼の幸せはヒロインと出会わないと掴めないのか?
「もし、俺に幸せになって欲しいというのなら。」
まるで銃の焦点が私の心臓を狙うかのようにジッと彼は私を見る。
「俺の幸せは不確かなヒロインというそんじゃない、俺の幸せはーー。」
その時、まるで北斗の言葉を奪うかのように、何かが割れる音がした。
そして、続いてもくもくと煙が出だす。
吸った事のないはずなのに、私は気づいたら走り出していた。
「スピカっ!」
行かなければ、行かなければ。
私の「力」じゃないと、助からないっ!
「待てっ!」
力づくで呼び止められた私は呼び止めた、張本人である北斗を睨む。
この時、私は焦りの方で気づいていなかったが、北斗が握っている手首は燃えるように熱くなっていた。
この時、私たちは両方とも冷静ではなかったのだ。
「離してっ!いかないと。」
「何でスピカがいかないといけないんだよ。」
「この臭い間違いなく今日の授業のあの毒にもなる薬草の方なの、私がいかないとっ!」
「……。」
まるで何かに操られるように、そのように言っている私に北斗は何を思ったのか、私を抱きしめる。
行き成りの事と気がせいていた私はもがくように北斗から逃れたかった。
でも、北斗はまるで私を逃さないかというようにしっかりと抱きしめる。
「いい加減にしてっ!」
「いい加減にしろっ!」
私たちは同時に叫ぶ。
そして、怒鳴られた私たちは同時に我に返る。
「…スピカ、深呼吸をしろ。」
「……北斗も落ち着いてよね。」
私は北斗に言われ深呼吸をして、ようやく私は手首の痛みを認知する。
「……。」
「北斗、私は行かないといけない。」
「この学校にはスペシャリストだっているんだ、大丈夫だろう。」
「……。」
北斗の言葉に私は緩やかに首を振る。
「だめ、間に合わない。」
「どういう事だ?」
「お願い行かせて。」
「……。」
私をじっと見つめ、そして、北斗は持っていたハンカチを口にまき、私に手を伸ばす。
「北斗?」
「行くんだろう。」
「…ありがとう。」
危険だと北斗も分かっているのに、彼は妥協してくれた。
私一人行かすのではなく彼もまたついてくるという事。
それはどんな思いだったのか、私には分からない、だけど、私はこの時嬉しかった。
彼が自分に耳を傾けてくれた事。
彼が自分に手を差し伸べてくれた事。
だから、私は大丈夫だと自分に言い聞かせて、彼と共に走った。
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