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幽霊少女サイド

ずぶ濡れの彼

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「…はくしゅっ!」

 くしゃみをする北斗に私はようやく今自分たちがどこに居るのか思い出す。

「北斗、池から出ないと。」
「そうだな…。」
「はぁ、夏だけど、夜だからな…乾くかな。」
「お前さ、俺の能力忘れているか?」
「あっ。」

 北斗の言葉に私はそう言えば火や熱を操れることを思い出す。

「そっか。」

 ざぶさぶと音を立てながら北斗は池から這い上がる。

「……ごめんね。」
「謝るくらいなら、居なくなるなよ。」
「おっしゃる通りで…。」

 北斗はため息を零しながら自分の下半身に触れる。

「うえ…中まで濡れているか、つーか、靴の中もやべぇ。」

 顔を顰めながら乾かす北斗に私は申し訳なく思う。

「本当にごめん。」
「……………………………………のにな。」
「えっ、何か言った?」
「何でもねぇ。」

 私は彼の言葉が分からず聞き直すが、北斗は誤魔化すばかり。

「こんなんじゃ、合流できねぇし、帰るか。」
「でも。」
「いいんだ、どうせ、人込みとか苦手だしな。」

 そう言うと北斗は私に手を差し出す。

「しばらくの間だけど手を繋がせろ、お前、どっか行きそうで怖いからな。」
「そんな事ないよ。」

 そう私が笑うけど、彼は無表情のまま手をし続ける。

「分かったよ。」

 私は折れるしかなく、彼の手を繋いだ。

 力を使ったからか、その手はいつもより熱かった。
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