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第二章
《今回の成果》
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「はい、今回の報酬よ。」
受付の彼女はお金の入った袋をセイラの前に置く。
セイラはそれを受け取り、目を丸くさせる。
「あ、あの…。」
「状態がいいものが多かったからね。」
ウインクをする彼女にセイラは戸惑いを隠せないでいた。
「いいんですか?」
「勿論よ、正当報酬だからね。それによっぽど酷い鑑定士じゃなければ、妥当だから安心して頂戴。」
「ありがとうございます。」
セイラの予想以上に入った今回の稼ぎに彼女の脳裏に何を買うか考える。
「なあ、クエスト見せてくれねぇ?」
「あっ、ちょっと待ってね。」
「カルム?」
セイラの声にカルムは薄らと微笑む。
「なんつーか、欲しいもんが出来た。」
「そうなんだ、あっ、先に帰ってた方がいい?」
「いや、登録するだけだから待っててくれたら嬉しい。」
「分かった。」
セイラは頷き、双子を連れて休憩所に戻った。
「セイラちゃんに贈り物?」
「……。」
ニヤニヤと笑う受付の彼女にカルムは睨むが、彼女は機にしていないのかニヤニヤを止めない。
「何かな?」
「……あいつのあの顔、多分、双子に何か買ってやろうとか思ったんだろうからな。」
「ふむふむ。」
「だったら、あいつ自身のは?って思っただけだ。」
「あー。」
カルムの言葉に彼女は納得する。
「確かにそうね。」
「だろう。」
カルムは拗ねたように休憩所にいるセイラを見つめる。
「本当に首ったけね。」
「んあ?」
受付の彼女の言葉にカルムは怪訝な顔をするが、彼女はそれを気にした様子はなく、さっさとクエストを選び出す。
「これとか、これだったら、片手間で出来るんじゃない?」
「……。」
「でも、片手間で出来る分稼げないか…、それなら、短期間だけどこっちは?」
目の前に広げられたクエストの紙を見ながらカルムは難しい顔をする。
片手間で出来ると言われたのはゴブリンや魔獣となった蜂の駆除一匹につき10G。
そして、短期間でと言われたのは500Gで隣町まで商人の護衛だった。
「どうする?」
「ゴブリンと蜂のクエストにする、下手にあいつから離れたくない。」
「そう、なら、受付するからちょっと待っててね。」
「……。」
カルムはセイラと共に過ごして気づいた事があった。
それは彼女を狙う奴らの多さだった。
カルムがセイラたちと寝食を共にし始めて一週間で、一度怪しい奴を見かけ、そして、逃してしまった。
未熟具合にカルムは自分に腹を立てが、それ以上に相手の方が上手だったのか、今日まで、残念ながら追い返すことができても、捕まえる事が出来なかった。
そんな中、カルムはセイラとは離れたくはなかった。
だから、たとえ、稼げたとしても、セイラと離れるようなクエストを受ける気は全くなく、駆除などのクエストで地道に稼ぐ方を選んだのだった。
受付の彼女はお金の入った袋をセイラの前に置く。
セイラはそれを受け取り、目を丸くさせる。
「あ、あの…。」
「状態がいいものが多かったからね。」
ウインクをする彼女にセイラは戸惑いを隠せないでいた。
「いいんですか?」
「勿論よ、正当報酬だからね。それによっぽど酷い鑑定士じゃなければ、妥当だから安心して頂戴。」
「ありがとうございます。」
セイラの予想以上に入った今回の稼ぎに彼女の脳裏に何を買うか考える。
「なあ、クエスト見せてくれねぇ?」
「あっ、ちょっと待ってね。」
「カルム?」
セイラの声にカルムは薄らと微笑む。
「なんつーか、欲しいもんが出来た。」
「そうなんだ、あっ、先に帰ってた方がいい?」
「いや、登録するだけだから待っててくれたら嬉しい。」
「分かった。」
セイラは頷き、双子を連れて休憩所に戻った。
「セイラちゃんに贈り物?」
「……。」
ニヤニヤと笑う受付の彼女にカルムは睨むが、彼女は機にしていないのかニヤニヤを止めない。
「何かな?」
「……あいつのあの顔、多分、双子に何か買ってやろうとか思ったんだろうからな。」
「ふむふむ。」
「だったら、あいつ自身のは?って思っただけだ。」
「あー。」
カルムの言葉に彼女は納得する。
「確かにそうね。」
「だろう。」
カルムは拗ねたように休憩所にいるセイラを見つめる。
「本当に首ったけね。」
「んあ?」
受付の彼女の言葉にカルムは怪訝な顔をするが、彼女はそれを気にした様子はなく、さっさとクエストを選び出す。
「これとか、これだったら、片手間で出来るんじゃない?」
「……。」
「でも、片手間で出来る分稼げないか…、それなら、短期間だけどこっちは?」
目の前に広げられたクエストの紙を見ながらカルムは難しい顔をする。
片手間で出来ると言われたのはゴブリンや魔獣となった蜂の駆除一匹につき10G。
そして、短期間でと言われたのは500Gで隣町まで商人の護衛だった。
「どうする?」
「ゴブリンと蜂のクエストにする、下手にあいつから離れたくない。」
「そう、なら、受付するからちょっと待っててね。」
「……。」
カルムはセイラと共に過ごして気づいた事があった。
それは彼女を狙う奴らの多さだった。
カルムがセイラたちと寝食を共にし始めて一週間で、一度怪しい奴を見かけ、そして、逃してしまった。
未熟具合にカルムは自分に腹を立てが、それ以上に相手の方が上手だったのか、今日まで、残念ながら追い返すことができても、捕まえる事が出来なかった。
そんな中、カルムはセイラとは離れたくはなかった。
だから、たとえ、稼げたとしても、セイラと離れるようなクエストを受ける気は全くなく、駆除などのクエストで地道に稼ぐ方を選んだのだった。
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