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第57話 食べてください
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「さあさあさあ、シルフィア様に忠誠を誓ってくれたら食べさせてあげましょうー」
マルガリータが串に刺した唐揚げを男たちの顔の前で揺らしている。
酷い、と思ったのでその後頭部を後ろから殴っておいた。
もの凄く軽い音がした。
盗賊たちはしばらくの間、後ろ手に縛られて地面に座っている格好で呆然としたままだった。誰かが「奴隷印の痛みがない」と呟いたことを皮切りに、彼らの口がそれぞれ無秩序に言葉を吐き出していった。
「本当に消えたのか」
「嘘だろ」
「奴隷印が消えたら……どうなるんだ? 俺たちは自由になれる?」
彼らは首を必死に捻って自分の背後を見ていたが、さすがにロープで縛られた自分の手を見ることはできない。だから、隣に座った仲間の腕を見て驚きの声を上げる。
「本当に消えてる」
そんなやり取りを横目に、わたしは目を赤くしたヴェロニカと一緒にキャンプ飯みたいなものを作り始めていた。
持ってきたお弁当の量は三人分だ。到底この人数を賄うことはできない。
荷馬車に積んでいるのは果物が多かったけれど、日持ちしそうな野菜も街で買っておいたのは運がよかった。
調理器具はわたしの魔法で作り出せるし、煮炊きする竈を作り出すのも簡単。火をつけるのも簡単。肉類は仕方ないので今回は魔力が原料。あの間抜けな味になってしまうのは残念だが、背に腹は代えられない。
野菜と魔力肉をこれでもかと入れたシチューと、お弁当から出した唐揚げを切り分け、炒めた野菜と合わせる。
魔力肉の間抜けな味を誤魔化すために、醤油やら砂糖やらスパイスやらを駆使して、濃い味の焼き鳥にした串焼き。
香ばしい香りが漂うと、さすがに男たちもそわそわし始めた。
彼らの視線がわたしたちの調理現場に釘付けになった頃、マルガリータが彼らに詰め寄り始めたのだ。
「わたしたちを襲わないと約束したら、拘束を解いてあげましょう。ほーらほーら」
マルガリータがそう言いながら唐揚げと野菜炒めの具材を鉄串に刺し、彼らの目の前で揺らしたのは、ある意味嫌がらせである。いや、拷問か?
だからつい、ぱーん、とその頭を叩いてしまって。
マルガリータの手から奪った鉄串を奪い、リーダーの口元に運んだ。
「食べてください」
わたしは彼の目の前に座り込んでそう言った。
しかし、猜疑心溢れる双眸がわたしを見つめていて、その口元が苦し気に歪む。
それから彼の視線が自分の左右にいる男たちに向かい、彼の悩みが何となく透けて見えた。自分が食べるより先に他の仲間たちに食べさせてあげたいけれど、怪しい食べ物だったらどうしようか、毒入りじゃないのか。そう疑っているみたいだ。
「変なものが入っていたら……」
と、彼の唇が動いて、周りの人間たちも表情を引き締める。
でも、彼らの中でも一番若そうな――もしかしたら十代後半だろうか――赤毛の男性が思い切ったようにわたしに目を向けた。
「俺、食べる」
「おい」
横にいた男性が慌てたように諫めようとするも、赤毛さんは必死に言葉を続ける。
「俺たちはまともな食事、ずっとしてないだろ。だから食べる。これまでだって残飯みたいなものを食い続けてきたんだから、どんなものだって大丈夫」
ヤバい、泣きそうになった。
わたしは問答無用で彼の前に行き、串を彼の口元に運んだ。そして、手が縛られているから食べにくそうだったけれど、一口食べて――彼は泣いた。
「……美味い」
そこから彼らがわたしたちの言いなりになるまで早かった。
食事をもらえるということで一気に敵意が消えたんだろう、その顔つきが柔和になった。だから、絶対にわたしたちを襲わないと約束させた後にロープをほどいてやったのだ。
鍋いっぱいのシチューも、唐揚げと野菜炒めも、お弁当箱に入れてきたサンドウィッチや卵焼き、ウインナーといったものもあっという間に彼らの胃の中に消えた。
ヴェロニカはその彼らの食事の進行具合を見て、果物も切り分けてデザートとして皿に積み上げた。それも瞬時に消えた。
もちろん、マルガリータも食べて魔力回復である。
奴隷印の解除とやらはかなりの魔力を消費したみたいだけれど、わたしの魔力が混じった料理ですっかり元気。しかし、いつまでもマルガリータに頼っているのも問題だし、わたしも奴隷印の解除の魔法を覚えようとか考えていた。
そんなことを考えていて。
ふと気が付いたら、彼らは空になった鍋の周りに座り込んだままわたしたちに深く頭を下げていたのだった。
「食事に感謝します」
リーダーが頭を下げたまま、礼儀正しくそう言う。「あなた方に竜神様のご加護がありますように」
多分、わたしが魔力で作り出した料理が、こちらの世界の人間の考え方に作用するっていうのは間違いないんだと思う。
さっきまでいかにも悪人面していた男性たちが、今はすっかり別人のような表情になってしまっている。元々は、これが彼らの素顔だったんだろうか。完全に悪人じゃなかったというか、むしろ善人だった。
それにしても、随分と変わったなあ。
わたしはにしし、と笑いながらリーダーに言った。
「加護ならばっちり大丈夫。それより、あなたたちはこれからどうします? もう奴隷印がないなら、どこにでも行けるんですよね?」
「確かに、そうなんですが……」
リーダーはそっと顔を上げ、苦し気に笑った。「俺たちは学も金もありませんから。こんな俺たちでも働かせてもらえるところなんて」
あるんですかね?
という声はかなり小さかった。
「うーん」
わたしは思わず腕を組み、首を傾げて考える。そして、マルガリータに顔を向けた。
「どうする? 旅の用心棒にでも雇っておく? 荷物持ちとかしてもらえるじゃない?」
「ええー? わたしだって荷物持ちくらいできますよう」
不満げにマルガリータは言うけれど、移動方法だって荷物持ちだって魔力をがんがん使ってやってるのはマルちゃんだからね? もうちょっと休んでくれないと、いつまで経っても骨格標本のままだからね?
「俺たちが用心棒? 荷物持ち……」
リーダーは少しだけ困惑したけれど、わたしがさらにこう続けたことであっという間に今後の流れが決まることになる。
「食事には困らない生活をお約束します!」
そして、いきなりの大所帯となった我々である。
彼らは一度の食事で随分と血色がよくなって、動きも機敏になった。敵意さえ消えてしまえば、彼らはなかなかの真面目そうな男たち。ずっと一緒に過ごしてきたからだろう、連携はばっちり取れていたし信頼関係もしっかり築かれているみたいだ。
女だけの旅には、これならいい護衛になってくれそうな感じがする。
赤毛の青年――青年と呼ぶには幼い顔立ちだったけれど――は、初めて食べた料理のことが忘れられないようで、何かとわたしたちに声をかけてくる。あれが美味しかった、あれがもう一度食べたい、みたいな。
そしてさりげなく、ヴェロニカのサポートをしてくれている。年齢が近いからだろうか。
でも、すっかり餌付けされた子犬みたいになってる気がするけど大丈夫?
「馬にも何か魔法をかけるべきですねえ」
マルガリータが、移動速度が目に見えて落ちた現状を打開すべく、何やら考えこんでいる。荷馬車には魔法がかけてあるから、自動車ばりにとばせるけれど護衛のお兄さんたちはそうはいかない。
「馬の脚に強化魔法をかけましょう。本当なら馬の背に翼とかつけたら格好いいですが、さすがにそこまでやったら目立ちますし」
心の底から残念そうに言ったマルガリータは、男たちの乗った馬にそれぞれ魔法をかけた。しかし、とんでもなく速く走る馬というのは、それだけで目立つのではないだろうか。この世界にスピード違反とかありませんように、と思いながら移動を開始したけれど、わたしたち以外に道を走っている人はいないようだった。
森を抜けて次の村が見えてきたが、どうやらそこは廃村のようだった。作物が上手く育たなかったのか、畑らしき場所は荒れ果てているし、木々ですら枯れ細っている。
近くを流れる川もほとんど水がなかったし、とても人が暮らしていけるような場所ではない。
わたしが眉を顰めて荷馬車から降りると、リーダーが馬の背に乗ったまま小さく言った。
「……最初、ここで何か食べられるものは……と思ったんですが」
「なるほど」
探しても何もなかったんだろう。
居住区となる家はいくつも建っていたけれど、屋根や壁には穴が空いており、全てが雨ざらし状態だ。でもきっと、その雨すらほとんど降らないようで、辺りは酷く乾燥して土埃が舞っていた。
まあ、人はいないけどここでも魔力を注いでおくべきだよね。
わたしとヴェロニカは、ここでもお仕事をこなすことにした。大地に魔力を注ぎ、神歌を歌う。大地がゆっくりと蘇り、草木が元気を取り戻す。川に水が流れ始め、枯れていた井戸にも水が湧く。
でもそこで、護衛のお兄さんたちもわたしたちが只者ではないと理解したみたいだ。ただの魔術師とかじゃなくて、とんでもない相手――それを自分たちが襲おうとしたのだと。
「……もしかして聖女様……?」
赤毛さんも驚いたようにわたしたちの顔を見回して、気が付いたら彼ら全員、ありがたいものを目にしたように膝を突いて頭を下げていたのだった。
マルガリータが串に刺した唐揚げを男たちの顔の前で揺らしている。
酷い、と思ったのでその後頭部を後ろから殴っておいた。
もの凄く軽い音がした。
盗賊たちはしばらくの間、後ろ手に縛られて地面に座っている格好で呆然としたままだった。誰かが「奴隷印の痛みがない」と呟いたことを皮切りに、彼らの口がそれぞれ無秩序に言葉を吐き出していった。
「本当に消えたのか」
「嘘だろ」
「奴隷印が消えたら……どうなるんだ? 俺たちは自由になれる?」
彼らは首を必死に捻って自分の背後を見ていたが、さすがにロープで縛られた自分の手を見ることはできない。だから、隣に座った仲間の腕を見て驚きの声を上げる。
「本当に消えてる」
そんなやり取りを横目に、わたしは目を赤くしたヴェロニカと一緒にキャンプ飯みたいなものを作り始めていた。
持ってきたお弁当の量は三人分だ。到底この人数を賄うことはできない。
荷馬車に積んでいるのは果物が多かったけれど、日持ちしそうな野菜も街で買っておいたのは運がよかった。
調理器具はわたしの魔法で作り出せるし、煮炊きする竈を作り出すのも簡単。火をつけるのも簡単。肉類は仕方ないので今回は魔力が原料。あの間抜けな味になってしまうのは残念だが、背に腹は代えられない。
野菜と魔力肉をこれでもかと入れたシチューと、お弁当から出した唐揚げを切り分け、炒めた野菜と合わせる。
魔力肉の間抜けな味を誤魔化すために、醤油やら砂糖やらスパイスやらを駆使して、濃い味の焼き鳥にした串焼き。
香ばしい香りが漂うと、さすがに男たちもそわそわし始めた。
彼らの視線がわたしたちの調理現場に釘付けになった頃、マルガリータが彼らに詰め寄り始めたのだ。
「わたしたちを襲わないと約束したら、拘束を解いてあげましょう。ほーらほーら」
マルガリータがそう言いながら唐揚げと野菜炒めの具材を鉄串に刺し、彼らの目の前で揺らしたのは、ある意味嫌がらせである。いや、拷問か?
だからつい、ぱーん、とその頭を叩いてしまって。
マルガリータの手から奪った鉄串を奪い、リーダーの口元に運んだ。
「食べてください」
わたしは彼の目の前に座り込んでそう言った。
しかし、猜疑心溢れる双眸がわたしを見つめていて、その口元が苦し気に歪む。
それから彼の視線が自分の左右にいる男たちに向かい、彼の悩みが何となく透けて見えた。自分が食べるより先に他の仲間たちに食べさせてあげたいけれど、怪しい食べ物だったらどうしようか、毒入りじゃないのか。そう疑っているみたいだ。
「変なものが入っていたら……」
と、彼の唇が動いて、周りの人間たちも表情を引き締める。
でも、彼らの中でも一番若そうな――もしかしたら十代後半だろうか――赤毛の男性が思い切ったようにわたしに目を向けた。
「俺、食べる」
「おい」
横にいた男性が慌てたように諫めようとするも、赤毛さんは必死に言葉を続ける。
「俺たちはまともな食事、ずっとしてないだろ。だから食べる。これまでだって残飯みたいなものを食い続けてきたんだから、どんなものだって大丈夫」
ヤバい、泣きそうになった。
わたしは問答無用で彼の前に行き、串を彼の口元に運んだ。そして、手が縛られているから食べにくそうだったけれど、一口食べて――彼は泣いた。
「……美味い」
そこから彼らがわたしたちの言いなりになるまで早かった。
食事をもらえるということで一気に敵意が消えたんだろう、その顔つきが柔和になった。だから、絶対にわたしたちを襲わないと約束させた後にロープをほどいてやったのだ。
鍋いっぱいのシチューも、唐揚げと野菜炒めも、お弁当箱に入れてきたサンドウィッチや卵焼き、ウインナーといったものもあっという間に彼らの胃の中に消えた。
ヴェロニカはその彼らの食事の進行具合を見て、果物も切り分けてデザートとして皿に積み上げた。それも瞬時に消えた。
もちろん、マルガリータも食べて魔力回復である。
奴隷印の解除とやらはかなりの魔力を消費したみたいだけれど、わたしの魔力が混じった料理ですっかり元気。しかし、いつまでもマルガリータに頼っているのも問題だし、わたしも奴隷印の解除の魔法を覚えようとか考えていた。
そんなことを考えていて。
ふと気が付いたら、彼らは空になった鍋の周りに座り込んだままわたしたちに深く頭を下げていたのだった。
「食事に感謝します」
リーダーが頭を下げたまま、礼儀正しくそう言う。「あなた方に竜神様のご加護がありますように」
多分、わたしが魔力で作り出した料理が、こちらの世界の人間の考え方に作用するっていうのは間違いないんだと思う。
さっきまでいかにも悪人面していた男性たちが、今はすっかり別人のような表情になってしまっている。元々は、これが彼らの素顔だったんだろうか。完全に悪人じゃなかったというか、むしろ善人だった。
それにしても、随分と変わったなあ。
わたしはにしし、と笑いながらリーダーに言った。
「加護ならばっちり大丈夫。それより、あなたたちはこれからどうします? もう奴隷印がないなら、どこにでも行けるんですよね?」
「確かに、そうなんですが……」
リーダーはそっと顔を上げ、苦し気に笑った。「俺たちは学も金もありませんから。こんな俺たちでも働かせてもらえるところなんて」
あるんですかね?
という声はかなり小さかった。
「うーん」
わたしは思わず腕を組み、首を傾げて考える。そして、マルガリータに顔を向けた。
「どうする? 旅の用心棒にでも雇っておく? 荷物持ちとかしてもらえるじゃない?」
「ええー? わたしだって荷物持ちくらいできますよう」
不満げにマルガリータは言うけれど、移動方法だって荷物持ちだって魔力をがんがん使ってやってるのはマルちゃんだからね? もうちょっと休んでくれないと、いつまで経っても骨格標本のままだからね?
「俺たちが用心棒? 荷物持ち……」
リーダーは少しだけ困惑したけれど、わたしがさらにこう続けたことであっという間に今後の流れが決まることになる。
「食事には困らない生活をお約束します!」
そして、いきなりの大所帯となった我々である。
彼らは一度の食事で随分と血色がよくなって、動きも機敏になった。敵意さえ消えてしまえば、彼らはなかなかの真面目そうな男たち。ずっと一緒に過ごしてきたからだろう、連携はばっちり取れていたし信頼関係もしっかり築かれているみたいだ。
女だけの旅には、これならいい護衛になってくれそうな感じがする。
赤毛の青年――青年と呼ぶには幼い顔立ちだったけれど――は、初めて食べた料理のことが忘れられないようで、何かとわたしたちに声をかけてくる。あれが美味しかった、あれがもう一度食べたい、みたいな。
そしてさりげなく、ヴェロニカのサポートをしてくれている。年齢が近いからだろうか。
でも、すっかり餌付けされた子犬みたいになってる気がするけど大丈夫?
「馬にも何か魔法をかけるべきですねえ」
マルガリータが、移動速度が目に見えて落ちた現状を打開すべく、何やら考えこんでいる。荷馬車には魔法がかけてあるから、自動車ばりにとばせるけれど護衛のお兄さんたちはそうはいかない。
「馬の脚に強化魔法をかけましょう。本当なら馬の背に翼とかつけたら格好いいですが、さすがにそこまでやったら目立ちますし」
心の底から残念そうに言ったマルガリータは、男たちの乗った馬にそれぞれ魔法をかけた。しかし、とんでもなく速く走る馬というのは、それだけで目立つのではないだろうか。この世界にスピード違反とかありませんように、と思いながら移動を開始したけれど、わたしたち以外に道を走っている人はいないようだった。
森を抜けて次の村が見えてきたが、どうやらそこは廃村のようだった。作物が上手く育たなかったのか、畑らしき場所は荒れ果てているし、木々ですら枯れ細っている。
近くを流れる川もほとんど水がなかったし、とても人が暮らしていけるような場所ではない。
わたしが眉を顰めて荷馬車から降りると、リーダーが馬の背に乗ったまま小さく言った。
「……最初、ここで何か食べられるものは……と思ったんですが」
「なるほど」
探しても何もなかったんだろう。
居住区となる家はいくつも建っていたけれど、屋根や壁には穴が空いており、全てが雨ざらし状態だ。でもきっと、その雨すらほとんど降らないようで、辺りは酷く乾燥して土埃が舞っていた。
まあ、人はいないけどここでも魔力を注いでおくべきだよね。
わたしとヴェロニカは、ここでもお仕事をこなすことにした。大地に魔力を注ぎ、神歌を歌う。大地がゆっくりと蘇り、草木が元気を取り戻す。川に水が流れ始め、枯れていた井戸にも水が湧く。
でもそこで、護衛のお兄さんたちもわたしたちが只者ではないと理解したみたいだ。ただの魔術師とかじゃなくて、とんでもない相手――それを自分たちが襲おうとしたのだと。
「……もしかして聖女様……?」
赤毛さんも驚いたようにわたしたちの顔を見回して、気が付いたら彼ら全員、ありがたいものを目にしたように膝を突いて頭を下げていたのだった。
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