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1.異世界へようこそ
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渡瀬叶(ワタセカノウ)17歳。
この度、俺は…いや、俺達は異世界に召喚された。
最初に見たのは、ゴツゴツとした岩肌がむき出しのドームの中。
俺達は、複雑な紋様が刻まれた円形の床の上に立っていた。
ここはどこだろう。
案外、俺は冷静でいる自分に驚いている。
だけど、その理由も何となくわかっていた。
周りには、同じ制服を着た同じクラスの顔馴染みがたくさんいるし、状況はわからないが、誰か何かしてくれるだろう、そんな変な安心感があるからだ。
それはみんな同じだろう。
不安そうな視線をあちこちに向けつつ、それぞれが気を許す奴同士で集まって、なにやらこそこそと囁きあっている。
ぎゃあぎゃあと騒ぎたてないのは、日本人ならではなのかも知れないが、元より俺が騒がしいのが苦手なので少し助かっている。
そんな俺はどうかと言えば、ぼっちだ。
流石に、この状況で心の不安を言い合える人がいないのは少し悲しくなるが、普段からぼっちで、それが当たり前だというように自分から振る舞っていたんだから、仕方がない。
「ーお集まりの異世界の方々よ。落ち着かれなせれい!」
いや、無理だろ。
と突然ドーム内に響いた低音の男の声に心中突っ込みを入れて、声の主を探して視線を向ければ、右往左往している僕たちを見下ろすように、高い位置に設けられたくりぬいた空間、そうまるで観客席のように整えられた場所に大きな人影が見えた。
明らかに、俺達とは違う文化の服を着た中年男性。髭に覆われたイケメンの彼は、両腕を前へだして上から押さえるように手のひらを下に向けていた。
低い彼の声に、ざわついていた俺達は一旦静かになった。皆、急に存在を明らかにした男性について、近しい者とそれぞれ囁きあっていたが。
「こちらの勝手な都合でお呼びしたこと、まずはお詫び申し上げる。詳しい事情をお話させていただく意向ではあるが、まずは場を移して寛いで頂きたい」
そう言うと、左手に持っていた長い杖をがくるりと振るった。
ブン……と電子音に似た音がなり、男のいる場所の下に壁に沿って光がアーチ型に現れたかと思うと、そこに大きな扉が出現した。
ガタタっとまた音を立てて開かれた先は大きなホールが見え、扉の前には統一感のある服を着た数名の男女が迎え入れるように俺達へと頭を下げていた。
「どうぞ、皆さま、中へお入り下さい。お茶と軽食を用意させました」
少しだけまたざわざわする。どうするか迷っているのだろう。だけど、一人が一歩踏み出せば、次々と続いていく。もちろん、俺も。
この度、俺は…いや、俺達は異世界に召喚された。
最初に見たのは、ゴツゴツとした岩肌がむき出しのドームの中。
俺達は、複雑な紋様が刻まれた円形の床の上に立っていた。
ここはどこだろう。
案外、俺は冷静でいる自分に驚いている。
だけど、その理由も何となくわかっていた。
周りには、同じ制服を着た同じクラスの顔馴染みがたくさんいるし、状況はわからないが、誰か何かしてくれるだろう、そんな変な安心感があるからだ。
それはみんな同じだろう。
不安そうな視線をあちこちに向けつつ、それぞれが気を許す奴同士で集まって、なにやらこそこそと囁きあっている。
ぎゃあぎゃあと騒ぎたてないのは、日本人ならではなのかも知れないが、元より俺が騒がしいのが苦手なので少し助かっている。
そんな俺はどうかと言えば、ぼっちだ。
流石に、この状況で心の不安を言い合える人がいないのは少し悲しくなるが、普段からぼっちで、それが当たり前だというように自分から振る舞っていたんだから、仕方がない。
「ーお集まりの異世界の方々よ。落ち着かれなせれい!」
いや、無理だろ。
と突然ドーム内に響いた低音の男の声に心中突っ込みを入れて、声の主を探して視線を向ければ、右往左往している僕たちを見下ろすように、高い位置に設けられたくりぬいた空間、そうまるで観客席のように整えられた場所に大きな人影が見えた。
明らかに、俺達とは違う文化の服を着た中年男性。髭に覆われたイケメンの彼は、両腕を前へだして上から押さえるように手のひらを下に向けていた。
低い彼の声に、ざわついていた俺達は一旦静かになった。皆、急に存在を明らかにした男性について、近しい者とそれぞれ囁きあっていたが。
「こちらの勝手な都合でお呼びしたこと、まずはお詫び申し上げる。詳しい事情をお話させていただく意向ではあるが、まずは場を移して寛いで頂きたい」
そう言うと、左手に持っていた長い杖をがくるりと振るった。
ブン……と電子音に似た音がなり、男のいる場所の下に壁に沿って光がアーチ型に現れたかと思うと、そこに大きな扉が出現した。
ガタタっとまた音を立てて開かれた先は大きなホールが見え、扉の前には統一感のある服を着た数名の男女が迎え入れるように俺達へと頭を下げていた。
「どうぞ、皆さま、中へお入り下さい。お茶と軽食を用意させました」
少しだけまたざわざわする。どうするか迷っているのだろう。だけど、一人が一歩踏み出せば、次々と続いていく。もちろん、俺も。
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