32 / 47
32 ※
しおりを挟む
「挿れるよ」
高まった気持ちと体で、勢いのまま繋がってしまうこともできた。それをせず、きちんと言葉にしたのは来実に昶を強く認識させるためだ。
こくり、と彼女は小さく頷くのを確かめてから、濡れた先を少し強めに押し込んだ。
ゆっくりと奥まで入っていく感覚に、来実は体を震わせ、熱い息を吐く。
「……来実、キツくない?」
「ん、大丈夫」
「あー……コレ、おれの方がやばいかも」
「昶、さん?」
「入れてるだけで気持ちいい」
その言葉に、来実の体の奥がひくりと反応する。
体内にある昶を締めつけて、彼の喉から耐えるような声が漏れる。
「凄いね、緩んだり締まったり……すっげぇ気持ちいい。……一番奥まで、挿れるよ」
「っ、あ……、い、言わないで…っ、……あぁ!」
ぐ、と押し付けられて、先がこつりと奥へと届く。それだけで、来実の中がひくりと反応する。
体を倒して、熱い息を吐く来実の唇にキスをする。触れるだけのそれが、次第に深くなる。
「舌出して。そう、いい子だね」
「んっ、……ん、んっ……!」
「はぁ…っ、……んっ」
「ん、ん……っ、お、音やだぁ…っ」
「感じるでしょ? ん、音がするたび、中がびくびくして、気持ちいいよ」
「あぁ……っ! こんなに、……なったこと、ない、からぁ……っ」
わざと水音をさせ舌を絡ませれば、彼女は体内にある昶を締めつけて、彼に熱い息を吐かせた。
「こんなに感度がいいのに、誰にも開発されてないなんて」
誰に言うともなく呟いて、昶は腰をひく。浅い場所を小刻みに擦り、時折深く突く。
熱く荒い息の合間に漏れる来実の濡れた声に、昶は興奮を抑えられないような仕草で唇を舐めた。
「だめ、これダメぇ……ッ」
「ダメ? じゃあ、やめようか」
「え? あ、やだ!」
「どっちもダメなら、どうしたいの?」
腰の動きを止めて体内から抜こうとすれば、出ていく気配に彼女が慌てたように昶を締めつける。
「……いじわる」
「ダメって言うからだよ」
「意地悪したのは認めるの?」
「まぁね。……来実、言わないと伝わらないんだよ。来実の言葉を聞かずに先回りしてなんでもやってしまっては、いずれ破綻する。おれは手放す気なんて毛頭ない。だから、意地悪って言われても、おれは来実から言葉を引き出すよ」
そんなこと、今まで言われたことがない。
思ったことを素直に言ったこともある。我儘を言ったこともある。だが、その後に待っていたのは、非難と別れだった。
「信じても、いいですか?」
「いいよ。でも、それはおれが決めることじゃない」
――来実、君が決めることだ。
今まで、自分の思い通りにならない来実に投げかける言葉に、何度となく傷ついてきた。
「…………ッ」
「意地悪すぎたかな。……おれの体に手、まわして。……それでいいよ。少し我慢して」
体を倒した昶は自分の体に彼女をしがみつかせると、浮いた背中に腕を回して抱きおこす。
「……ぁ……っ」
彼に抱きかかえられることになった際、体内にある質量に奥を押されて小さく声があがる。
「ごめん、本当に泣かせるつもりはなかったんだけど」
わかってる、と声に出したいが口を開けば淫らな声が出そうで、来実は首を縦にふるだけにする。
静かに泣く彼女の頭を撫でつつ、頬や目尻にキスをして、昶は何度も「ごめん」と謝っている。
「大丈夫……嬉しかった、だけだから」
「それでも、思い出さなくてもいいことを思い出させて傷つけた」
ぎゅ、と抱き着いて来実は首を横に振る。頭を撫でる指の温かさに目を閉じると、こめかみに触れるだけのキスが落ちる。
「あっ、あの……」
「ん? ……あぁ、気になる?」
「……はい」
「「……ぷっ」」
二人同時に吹き出し、くすくすと笑いあう。
「さっきもこの会話したな」
「そうですね」
「続き、しようか。……このままも辛いしな」
「はい」
いまだに笑みの浮かんでいる二人の唇が、重なった。
高まった気持ちと体で、勢いのまま繋がってしまうこともできた。それをせず、きちんと言葉にしたのは来実に昶を強く認識させるためだ。
こくり、と彼女は小さく頷くのを確かめてから、濡れた先を少し強めに押し込んだ。
ゆっくりと奥まで入っていく感覚に、来実は体を震わせ、熱い息を吐く。
「……来実、キツくない?」
「ん、大丈夫」
「あー……コレ、おれの方がやばいかも」
「昶、さん?」
「入れてるだけで気持ちいい」
その言葉に、来実の体の奥がひくりと反応する。
体内にある昶を締めつけて、彼の喉から耐えるような声が漏れる。
「凄いね、緩んだり締まったり……すっげぇ気持ちいい。……一番奥まで、挿れるよ」
「っ、あ……、い、言わないで…っ、……あぁ!」
ぐ、と押し付けられて、先がこつりと奥へと届く。それだけで、来実の中がひくりと反応する。
体を倒して、熱い息を吐く来実の唇にキスをする。触れるだけのそれが、次第に深くなる。
「舌出して。そう、いい子だね」
「んっ、……ん、んっ……!」
「はぁ…っ、……んっ」
「ん、ん……っ、お、音やだぁ…っ」
「感じるでしょ? ん、音がするたび、中がびくびくして、気持ちいいよ」
「あぁ……っ! こんなに、……なったこと、ない、からぁ……っ」
わざと水音をさせ舌を絡ませれば、彼女は体内にある昶を締めつけて、彼に熱い息を吐かせた。
「こんなに感度がいいのに、誰にも開発されてないなんて」
誰に言うともなく呟いて、昶は腰をひく。浅い場所を小刻みに擦り、時折深く突く。
熱く荒い息の合間に漏れる来実の濡れた声に、昶は興奮を抑えられないような仕草で唇を舐めた。
「だめ、これダメぇ……ッ」
「ダメ? じゃあ、やめようか」
「え? あ、やだ!」
「どっちもダメなら、どうしたいの?」
腰の動きを止めて体内から抜こうとすれば、出ていく気配に彼女が慌てたように昶を締めつける。
「……いじわる」
「ダメって言うからだよ」
「意地悪したのは認めるの?」
「まぁね。……来実、言わないと伝わらないんだよ。来実の言葉を聞かずに先回りしてなんでもやってしまっては、いずれ破綻する。おれは手放す気なんて毛頭ない。だから、意地悪って言われても、おれは来実から言葉を引き出すよ」
そんなこと、今まで言われたことがない。
思ったことを素直に言ったこともある。我儘を言ったこともある。だが、その後に待っていたのは、非難と別れだった。
「信じても、いいですか?」
「いいよ。でも、それはおれが決めることじゃない」
――来実、君が決めることだ。
今まで、自分の思い通りにならない来実に投げかける言葉に、何度となく傷ついてきた。
「…………ッ」
「意地悪すぎたかな。……おれの体に手、まわして。……それでいいよ。少し我慢して」
体を倒した昶は自分の体に彼女をしがみつかせると、浮いた背中に腕を回して抱きおこす。
「……ぁ……っ」
彼に抱きかかえられることになった際、体内にある質量に奥を押されて小さく声があがる。
「ごめん、本当に泣かせるつもりはなかったんだけど」
わかってる、と声に出したいが口を開けば淫らな声が出そうで、来実は首を縦にふるだけにする。
静かに泣く彼女の頭を撫でつつ、頬や目尻にキスをして、昶は何度も「ごめん」と謝っている。
「大丈夫……嬉しかった、だけだから」
「それでも、思い出さなくてもいいことを思い出させて傷つけた」
ぎゅ、と抱き着いて来実は首を横に振る。頭を撫でる指の温かさに目を閉じると、こめかみに触れるだけのキスが落ちる。
「あっ、あの……」
「ん? ……あぁ、気になる?」
「……はい」
「「……ぷっ」」
二人同時に吹き出し、くすくすと笑いあう。
「さっきもこの会話したな」
「そうですね」
「続き、しようか。……このままも辛いしな」
「はい」
いまだに笑みの浮かんでいる二人の唇が、重なった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
131
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる