心霊研究家・高橋

異世界ワトソン

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心霊写真の謎→4

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ドアを2回ノックする音がした。
高橋民俗学研究室のドアが開いた。

「失礼します。高橋先生」

敏子と治虫が、やって来た。

「ああ、君たちか。
 まあ、そこに座りなさい」

2人は、
研究室のソファーに座った。
高橋は、2人のために、
ポットで沸かしたお湯で、
緑茶を作って出した。
テーブルに置かれた、
緑茶に手を伸ばし、


「いただきます」
 
 治虫が、

 さっそく茶をすする。


「茶菓子食べるか」

 高橋が聞くと、


「あるならぜひ」

 と治虫。

「ほれ、これは、涼子の土産だよ」

 と高橋。

「涼子先輩のお菓子なら、
 私も食べたいです」
 
 急に元気な声を出す敏子。


「やっと笑顔が出たな、敏子」

 と高橋。

高橋は、
引き出しから2枚の写真を取り出した。
そして、
テーブルをはさんで向かい合う形で
2人の正面のソファーに座った。

「治虫、
 これ、お前さんに返しとくよ」
 
 高橋は、
 テーブルに写真を置いて、
 治虫に告げた。


「治虫、
 あれは、
 どうやって、撮影したんだ?」
 
「いや、あれは・・
 先生、
 ただ、
 普通に撮影しただけです」


「私には、そうは思えないんだ」


「先生、古代人の心霊写真のことですか?」


「ああ、そうだ」と高橋。


「先生、
 僕らも、
 めちゃくちゃ驚きました。
 見て下さい、
 この古代霊。
 奇妙な服装を、してます。
 髪も団子みたいに、
 こんもりしてて、
 長めのヒゲが、
 生えてます。
 男ですよね、
 この古代人」

「まあ、そうだな。
 古代人は、
 男でも、
 当時は、
 こんな髪形だったんだろう。
 ヒゲもたしかに長い。
 上半身は、
 胸に・・・
 刺繍で、
 大きな模様が、
 縫ってある。
 そして、
 ボタンが付いてる。
 あと、
 襟が学生服のカラーのように
 揃えてあるのが分かる」


「どうして、
 こんなのが、
 写ってしまったんですかね」
 
 治虫が呟いた。


「君が、
 それを撮影したんだろ?
 何か、思い出せないか?」


「いえ。何も思い出せないっす」


「そうか・・
 古代人の
 霊の、
 目線が、
 ぴったりと、
 正面を、見ているんだ。
 ほら、
 よく見てくれ。
 合ってるだろう?
 不思議でしかたないんだ」


「それは、分かりますけど。
 先生、
 目線が合うと、
 不思議って、
 どういうことっすか?」

「私は、
 この写真を撮る時に、
 君が、何かを、
 向こうに、
 呼びかけは、しなかったのか、
 それを、気にしてるんだよ」

「呼びかけ?」

涼子の、土産の和菓子を、
食べようとして、
菓子をつまんでいた、
敏子の手が、 
突然小刻みに、
震え始めた。


「知らないっす」


「そうか・・・
 思い出せないか」


「先生、
 もう1枚見てもらおうと思って
 持って来たんです。
 見てもらえますか?」


「どれだ?」
 
 そう言うと、
 治虫は、
 鞄から写真を取り出して、
 テーブルの上に置いた。

「これは?」

「寺院巡りの旅行中に、
 みんなで、
 旅館に泊まったんです」


「記念写真か?」


「はい。
 宿の部屋に集まって、
 浴衣を着て、
 みんなで乾杯したんですよ」

「この方は、君のお母さんか?」


「違いますよ。
 先生、
 つまり、
 その人なんです。
 一緒に、
 写り込んでるんです」

浴衣を着て笑っている
ゼミ生たちの
頭上に、
横顔を見せた女性が、
嬉しそうに、
微笑んでいる・・・


「顔だけ、だね?」

 と高橋。


「そうです。
 先生、
 この女性は、誰ですか?」

 と治虫。


「この写真も、君が撮影したのか?」


「そうです」


「治虫」


「何すか、先生?」


「そろそろ本当のことを、
 話してくれないか?」


「どういうことですか?」


「これは、
 君が撮った写真じゃない」

「え?」


「ほら、
 後列の、
 左から2人目を見ろ。
 これは、
 治虫、君本人じゃないか」


「それが、どうしたんです?
 タイマーで、
 写しただけっすよ」


「敏子が、
 この写真に、
 写っていないんだよ」


 ・・・

 ・・・

 ・・・




 
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