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ウェースプ王国 国境
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やっとウェースプ王国の国境を越えたので、私はすぐさま時を動かした。
クラウス様がなぜか一瞬残念そうな表情をしたけれども、その時は気にも留めなかった。キアヌス騎士様とマリス騎士様、ヘル騎士様とアイシス様全員が驚きに目を見張り、その場で固まっていた。
それもそうだろう。教会で戦闘中だったはずなのに気がつくとウェースプ王国、国境脇の牧歌的風景の中にいるのだ。誰でも気がおかしくなったのかと思うだろう。
これが私の能力だと説明すれば、皆が納得した。こんな特殊能力ならばレンブレント国王も、ウェースプ王国と戦争をしてでも欲しがるだろうと考えたからだ。
あなた達全員、テレポーテーションだと思っているでしょう・・・。便利な能力だって思っているでしょう・・・。
違うんだよ!!丸1日くらいかけて、おっちらほっちらと馬車でここまで来るっていう、超地味な能力なんだよ。ほら見てアルフリード王子もユーリもクラウス様だって疲れきっているでしょう?!!
わ・・私はぐっすり眠ってたけどさ・・・。
私は気を取り直して、みんなにお礼を言うことにした。
「みなさん。私のために危険を冒してまでギルセナ王国まで来てくれて、ありがとうございます。お陰でレンブレント国王と結婚しなくて済みましたし、魔獣の出る森で一生さまようこともなく済みました。本当にありがとうございます」
私はいまだ裾の切れた、ぼろぼろのウェディングドレスを着たままの間抜けな格好ではあるが、深々と頭を下げてお礼を言った。永遠の少年、マリス騎士がいう。
「礼には及ばないよ。君がクラマと幸せになってくれれば、俺の想いは報われるから・・・」
ん?どういった事になっているんだ?マリス騎士はクラマとユーリス隊長かぷ推薦じゃなかったっけ?まあいい。このままにしておこう。
と思ったとたん、アイシス様の豊かな胸が目前にせまったかと思うと、一気に顔にそれが押し付けられた。うぷっ。息が苦しい。
「セシリア!!心配したのよ!このおばか!!あの変態レンブレント国王に、あんなことやこんなことをされてやしないか、気が気じゃなかったの・・・」
えーーっと。どんな事を想像していらっしゃったのだろう・・・ムチ的なあれとか・・・ろうそく的なそれとかでしょうか?まあ、ご飯抜きふらふらプレイはしましたけどねぇ・・・。
アイシス様の柔らかい胸に窒息しかけながら、なんとか顔を横に向ける事に成功した私は、キアヌス騎士様と目が合った。彼は、未だに私を抱きしめてすりすりしてくるアイシス様を微笑ましく見ていた。なんだかお二人の間の愛情を感じて、胸がほっこりした。
「あなた痩せたんじゃない?魔薬に侵されていないってきいたけれど、かなり体調が悪いみたいだわ。帰ったら私が体力増強剤を作ってあげるから、それを飲みなさいね。せっかく育ってきたと思っていた胸までなくなっているじゃないの」
いや・・・それはもともと・・・むにゃ、むにゃ。
次はヘル騎士様だ。相変わらずクールな物言いでさりげなくいう。
「セシリア。まさか君がこんなに美しい女性だとは想像もしなかったよ。さすが我が義弟が溺愛するだけあるね。今度二人で遊びに行かないか?私は6人兄弟で5人兄ばかりだから、こんな義妹が欲しかったんだ」
えーっとそれは男装で?それとも女装でいくのでしょうか?それにしても男5人の6人兄弟・・・ヘルミーナ様のルーツが分かった気がします。
「えっと・・・ところでルーク補佐官様、私の救出作戦に参加されたと、クラウス様から聞きましたが、今どちらにいらっしゃるのでしょうか?」
私はルーク補佐官様の姿が見えないので気になって聞いてみた。するとアルフリード王子とクラウス様、ユーリが瞬間、真っ青になる。他の方々がその3人の顔色に気付き、あっというような顔をする。なんだ・・なんだ・・?
アイシス様がすかさず突っ込みを入れる。
「アルフリード王子。もしかしてルーク補佐官様を、ギルセナ国の秘密の隠れ家に置いて来たままじゃないでしょうね」
クラウス様がアルフリード王子を庇うように言い訳をする。
「いや・・・あの。セシリア嬢が魔薬に侵されておらず、予想されていた禁断症状もないから、隠れ家で休ませる必要が無いと判断した」
ヘル騎士様が両腕を胸の前で組んで、呆気に取られた表情で呟く。
「それでルーク補佐官を忘れてきたというわけか・・。敵国の隠れ家に・・・」
ユーリが面目ないといった顔でうつむきながらいう。
「まあそういうことになりますね・・。あまりにセシリアの無事が嬉しすぎてルーク補佐官のことを失念していました」
みんなの話を総合すると、ルーク補佐官はギルセナ国に用意された、魔薬の中毒症状を抜くための隠れ家で待機のはずが、私が魔薬に侵されていなかったために、その存在を忘れられていて、いまだに隠れ家で私達が来るのを待ち続けているということでしょうか・・・・。
「大丈夫だ。今オレが連絡しておく。あいつなら自力で王城まで帰ってこれるだろう」
アルフリード王子が場を取り繕うように言い放つ。
アルフリード王子に存在を忘れられていたと知ったら、ルーク補佐官様ショックで立ち直れないんじゃないかな?だって彼は唯一クリスティーナ様の転換の魔法にかからないほどの、アルフリード王子信奉者だから・・・。
ルーク補佐官様に連絡がついて、ようやく再びウェースプ王城に向かっての旅が始まると思っていた私は、アルフリード王子の一言に度肝を抜かれた。
「オレは一足先にセシリアを連れて転移魔法で王城に帰るから、お前達は馬車でゆっくり帰って来い。帰ったら王城に顔をみせろ。報酬をとらせる用意がある」
「ちょ・・・ちょっと待って!!アルフリード王子、わたし大丈夫です。まだ少し体がだるいだけで、もう元気です。ほら!!」
といって飛び跳ねてみた。思ったよりウェディングドレスが重くて、跳ねたつもりがずっこけて尻餅をつきそうになった。直前でユーリが支えてくれなかったら、大股開きでパンツが見えていたかもしれない。危ない危ない・・・。
「ふふふふ・・・このドレス宝石が沢山ついていて重いですね」
お得意の笑いでごまかしてみた。っていうか恥ずかしくてアルフリード王子やユーリの方をあまり見られないんだよ。あんな醜態を見せてしまったから・・・。
私は視線を宙に不自然に泳がせた。
「そうですわね。ここから王城まで少なくとも3回は転移しなければならないでしょうから、しかも誰かを帯同するとなると、一人が限界ですわね。わたくしも転移魔法を使ってもいいのですけど・・・わたくしの魔力では自分一人だけで精一杯ですわ。なのでわたくしは残って皆様と馬車で帰ります」
まあ、それが一番いいのかも。ずたぼろのウェディングドレスを着た女なんて、誰からも哀れな目で見られるに違いない。公開羞恥プレイは避けたいところだ。
なぜかユーリが、さっき転びそうになった私を後ろから抱えたまま離さない。
「せっかく会えたのに、行かせたくありません・・・」
突然後方から思いつめたような声で絞り出すようにいう。
でもよく考えてみると、私が考えなしに家出をした為、皆に危険な思いをさせてまで救出に来てもらう羽目になった上、私だけが転移魔法で苦労もせずに王城に帰るなんて気が引ける。大いに悪いことをした気持ちになる。罪悪感半端ない・・・。
「それもそうかも・・・」
私はぼそっと呟いた。それを聞いたアルフリード王子が突然、私の腰を自分の方に引き寄せたかと思うと、目の前の風景が急に変わった。
「えっ!!!」
クラウス様がなぜか一瞬残念そうな表情をしたけれども、その時は気にも留めなかった。キアヌス騎士様とマリス騎士様、ヘル騎士様とアイシス様全員が驚きに目を見張り、その場で固まっていた。
それもそうだろう。教会で戦闘中だったはずなのに気がつくとウェースプ王国、国境脇の牧歌的風景の中にいるのだ。誰でも気がおかしくなったのかと思うだろう。
これが私の能力だと説明すれば、皆が納得した。こんな特殊能力ならばレンブレント国王も、ウェースプ王国と戦争をしてでも欲しがるだろうと考えたからだ。
あなた達全員、テレポーテーションだと思っているでしょう・・・。便利な能力だって思っているでしょう・・・。
違うんだよ!!丸1日くらいかけて、おっちらほっちらと馬車でここまで来るっていう、超地味な能力なんだよ。ほら見てアルフリード王子もユーリもクラウス様だって疲れきっているでしょう?!!
わ・・私はぐっすり眠ってたけどさ・・・。
私は気を取り直して、みんなにお礼を言うことにした。
「みなさん。私のために危険を冒してまでギルセナ王国まで来てくれて、ありがとうございます。お陰でレンブレント国王と結婚しなくて済みましたし、魔獣の出る森で一生さまようこともなく済みました。本当にありがとうございます」
私はいまだ裾の切れた、ぼろぼろのウェディングドレスを着たままの間抜けな格好ではあるが、深々と頭を下げてお礼を言った。永遠の少年、マリス騎士がいう。
「礼には及ばないよ。君がクラマと幸せになってくれれば、俺の想いは報われるから・・・」
ん?どういった事になっているんだ?マリス騎士はクラマとユーリス隊長かぷ推薦じゃなかったっけ?まあいい。このままにしておこう。
と思ったとたん、アイシス様の豊かな胸が目前にせまったかと思うと、一気に顔にそれが押し付けられた。うぷっ。息が苦しい。
「セシリア!!心配したのよ!このおばか!!あの変態レンブレント国王に、あんなことやこんなことをされてやしないか、気が気じゃなかったの・・・」
えーーっと。どんな事を想像していらっしゃったのだろう・・・ムチ的なあれとか・・・ろうそく的なそれとかでしょうか?まあ、ご飯抜きふらふらプレイはしましたけどねぇ・・・。
アイシス様の柔らかい胸に窒息しかけながら、なんとか顔を横に向ける事に成功した私は、キアヌス騎士様と目が合った。彼は、未だに私を抱きしめてすりすりしてくるアイシス様を微笑ましく見ていた。なんだかお二人の間の愛情を感じて、胸がほっこりした。
「あなた痩せたんじゃない?魔薬に侵されていないってきいたけれど、かなり体調が悪いみたいだわ。帰ったら私が体力増強剤を作ってあげるから、それを飲みなさいね。せっかく育ってきたと思っていた胸までなくなっているじゃないの」
いや・・・それはもともと・・・むにゃ、むにゃ。
次はヘル騎士様だ。相変わらずクールな物言いでさりげなくいう。
「セシリア。まさか君がこんなに美しい女性だとは想像もしなかったよ。さすが我が義弟が溺愛するだけあるね。今度二人で遊びに行かないか?私は6人兄弟で5人兄ばかりだから、こんな義妹が欲しかったんだ」
えーっとそれは男装で?それとも女装でいくのでしょうか?それにしても男5人の6人兄弟・・・ヘルミーナ様のルーツが分かった気がします。
「えっと・・・ところでルーク補佐官様、私の救出作戦に参加されたと、クラウス様から聞きましたが、今どちらにいらっしゃるのでしょうか?」
私はルーク補佐官様の姿が見えないので気になって聞いてみた。するとアルフリード王子とクラウス様、ユーリが瞬間、真っ青になる。他の方々がその3人の顔色に気付き、あっというような顔をする。なんだ・・なんだ・・?
アイシス様がすかさず突っ込みを入れる。
「アルフリード王子。もしかしてルーク補佐官様を、ギルセナ国の秘密の隠れ家に置いて来たままじゃないでしょうね」
クラウス様がアルフリード王子を庇うように言い訳をする。
「いや・・・あの。セシリア嬢が魔薬に侵されておらず、予想されていた禁断症状もないから、隠れ家で休ませる必要が無いと判断した」
ヘル騎士様が両腕を胸の前で組んで、呆気に取られた表情で呟く。
「それでルーク補佐官を忘れてきたというわけか・・。敵国の隠れ家に・・・」
ユーリが面目ないといった顔でうつむきながらいう。
「まあそういうことになりますね・・。あまりにセシリアの無事が嬉しすぎてルーク補佐官のことを失念していました」
みんなの話を総合すると、ルーク補佐官はギルセナ国に用意された、魔薬の中毒症状を抜くための隠れ家で待機のはずが、私が魔薬に侵されていなかったために、その存在を忘れられていて、いまだに隠れ家で私達が来るのを待ち続けているということでしょうか・・・・。
「大丈夫だ。今オレが連絡しておく。あいつなら自力で王城まで帰ってこれるだろう」
アルフリード王子が場を取り繕うように言い放つ。
アルフリード王子に存在を忘れられていたと知ったら、ルーク補佐官様ショックで立ち直れないんじゃないかな?だって彼は唯一クリスティーナ様の転換の魔法にかからないほどの、アルフリード王子信奉者だから・・・。
ルーク補佐官様に連絡がついて、ようやく再びウェースプ王城に向かっての旅が始まると思っていた私は、アルフリード王子の一言に度肝を抜かれた。
「オレは一足先にセシリアを連れて転移魔法で王城に帰るから、お前達は馬車でゆっくり帰って来い。帰ったら王城に顔をみせろ。報酬をとらせる用意がある」
「ちょ・・・ちょっと待って!!アルフリード王子、わたし大丈夫です。まだ少し体がだるいだけで、もう元気です。ほら!!」
といって飛び跳ねてみた。思ったよりウェディングドレスが重くて、跳ねたつもりがずっこけて尻餅をつきそうになった。直前でユーリが支えてくれなかったら、大股開きでパンツが見えていたかもしれない。危ない危ない・・・。
「ふふふふ・・・このドレス宝石が沢山ついていて重いですね」
お得意の笑いでごまかしてみた。っていうか恥ずかしくてアルフリード王子やユーリの方をあまり見られないんだよ。あんな醜態を見せてしまったから・・・。
私は視線を宙に不自然に泳がせた。
「そうですわね。ここから王城まで少なくとも3回は転移しなければならないでしょうから、しかも誰かを帯同するとなると、一人が限界ですわね。わたくしも転移魔法を使ってもいいのですけど・・・わたくしの魔力では自分一人だけで精一杯ですわ。なのでわたくしは残って皆様と馬車で帰ります」
まあ、それが一番いいのかも。ずたぼろのウェディングドレスを着た女なんて、誰からも哀れな目で見られるに違いない。公開羞恥プレイは避けたいところだ。
なぜかユーリが、さっき転びそうになった私を後ろから抱えたまま離さない。
「せっかく会えたのに、行かせたくありません・・・」
突然後方から思いつめたような声で絞り出すようにいう。
でもよく考えてみると、私が考えなしに家出をした為、皆に危険な思いをさせてまで救出に来てもらう羽目になった上、私だけが転移魔法で苦労もせずに王城に帰るなんて気が引ける。大いに悪いことをした気持ちになる。罪悪感半端ない・・・。
「それもそうかも・・・」
私はぼそっと呟いた。それを聞いたアルフリード王子が突然、私の腰を自分の方に引き寄せたかと思うと、目の前の風景が急に変わった。
「えっ!!!」
応援ありがとうございます!
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