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セイアレス大神官 対 レンブレント王
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王城の鐘が12時を告げた瞬間、あちこちで火の手が上がり戦闘が始まった。
中庭で座って話を続けていたセイアレス大神官とレンブレント王、エルドレッド王子は、その異変に気が付き、戦闘がおこっている方角を見た。素晴らしい庭園の向こう側に見える王城の南棟の一角で、赤い制服を着た黒い髪の兵士たちがウェースプ王国の兵士と戦っているのが見えた。
一瞬でその場の空気が凍り付く。セイアレス大神官とエルドレッド王子が咄嗟に席を立ってレンブレント王の方を見る。こんな状況下であっても、彼はいまだ冷静にベンチに腰掛けたままだった。
「レンブレント王、これはどういうことでしょうか?説明していただけませんか」
セイアレス大神官が自身のネックレスに手をかけて、レンブレント王を睨みつけながらいう。背後のギルセナ王国の近衛兵が剣を構えて近づいてきたのを、レンブレント王が手で制していった。
「俺は知らんぞ、これは罠だな・・・。退屈していたところだ、面白くはなってきた。くっくっくっ。まあ落ち着け。お前らのところの聖女は本物なんだろう?世界最強らしいじゃないか、だったら焦る必要はないはずだがな・・・」
嘲笑しながら、酒を飲み続けるレンブレント王にエルドレッド王子が怒りをぶつけた。
「まだ聖女を愚弄するのか!!彼女は本物だ!時間をとめられるんだからな!」
「王子!!!!」
セイアレス大神官が、余計なことを言うなとばかりに王子を叱責したが遅かった。レンブレント王は聖女の能力に興味を持ったようで、その醜悪な目つきでエルドレッド王子をみる。
「ほう・・・・面白いな。そんな能力があるのなら確かに世界最強かもな。一度見てみたいものだ。その聖女はどこだ?俺に会わせろ」
エルドレッド王子が我慢できないとばかりに、近くの近衛兵から目にも止まらぬ速さで剣を拝借して、レンブレント王に突き付けた。剣先がレンブレント王の喉元の寸前で止まる。
「レンブレント王。貴方をウェースプ王国襲撃犯としてとらえさせてもらうぞ。これだけ各国の証人が揃っていれば、一国の王だとしても言い逃れはできないだろう」
自分の命運をエルドレッド王子が握っているというのにも構わず、レンブレント王は最後の酒をあおるとグラスを地面に投げつけていった。ガラスの割れる鋭い音が夜空に響く。
「面白い。俺と勝負するつもりなら、容赦はしない。俺が王になったのは偶然でも幸運でもない!必然だったと証明してやろうじゃないか!!!」
レンブレント王は、剣の切っ先を腕に着けている金属製の腕輪で撥ねつけると、しゃがみ込んでエルドレッド王子の足を自分の足で引っ掛けて転ばせた。そうしてから自国の近衛兵から剣を受け取って、エルドレッド王子を刺そうと剣を振りかぶった。その瞬間セイアレスが動いて、レンブレント王の剣を伝説の魔鑓を自身のネックレスから出現させて止めようとする。
それに一瞬前に気が付いたレンブレント王が、突然弾かれたようにその場を離れた。
「すごいな、それが伝説の武器か。面白い、相手にとって不足はないな。だが俺の力を侮ってもらっては困る。俺は魔力をこの宝石に閉じ込めてある。お前がいくら魔力があっても、これの魔力量にはかなうまい」
そういって指に着けた赤い色をした大きい宝石をみせる。セイアレスはその禍々しい赤い色を見てすぐにそれが何なのか理解した。それは禁忌とされた暗黒魔法。魔力の高いものの命を代償に作られた宝石だ。その見たことも無いほどの大きさから、一人二人の魔力ではないであろう。恐らく30人以上のA級魔力を持った者の命が詰まっているに違いない。
「聞きしに勝る独裁者ぶりですね。レンブレント王・・・」
セイアレス大神官が余りのレンブレント王の非道ぶりに、背筋が寒くなるのを感じながらいう。
「ははは、誉め言葉としてもらっておこう。そこのお坊ちゃんはそうだな、うちの騎士団長に相手をさせよう。すぐ殺してしまうと面白くないからな」
「なにを!!この野郎――――!!」
レンブレント王の挑発に乗って、エルドレッド王子が我先にレンブレント王に切りかかるが、すぐに間に割って入ったギルセナ王国のグルード騎士団長に剣を止められた。レンブレント王が蔑んだ目で王子を一瞥して、それからグルード騎士団長に向かって忠告した。
「グルード、油断するなよ。まだまだひよっこだが、ウェースプ王国の純粋な血を継いだ王子だ。深層魔力は計り知れない」
王に忠告を受けたグルード騎士団長は、その剣をいまだにエルドレッド王子の剣と絡ませながら、さらに力を込めていった。
「我が主の仰せのままに・・・・レンブレント王」
夜の闇に剣を合わせる火花が飛び散る。
中庭で座って話を続けていたセイアレス大神官とレンブレント王、エルドレッド王子は、その異変に気が付き、戦闘がおこっている方角を見た。素晴らしい庭園の向こう側に見える王城の南棟の一角で、赤い制服を着た黒い髪の兵士たちがウェースプ王国の兵士と戦っているのが見えた。
一瞬でその場の空気が凍り付く。セイアレス大神官とエルドレッド王子が咄嗟に席を立ってレンブレント王の方を見る。こんな状況下であっても、彼はいまだ冷静にベンチに腰掛けたままだった。
「レンブレント王、これはどういうことでしょうか?説明していただけませんか」
セイアレス大神官が自身のネックレスに手をかけて、レンブレント王を睨みつけながらいう。背後のギルセナ王国の近衛兵が剣を構えて近づいてきたのを、レンブレント王が手で制していった。
「俺は知らんぞ、これは罠だな・・・。退屈していたところだ、面白くはなってきた。くっくっくっ。まあ落ち着け。お前らのところの聖女は本物なんだろう?世界最強らしいじゃないか、だったら焦る必要はないはずだがな・・・」
嘲笑しながら、酒を飲み続けるレンブレント王にエルドレッド王子が怒りをぶつけた。
「まだ聖女を愚弄するのか!!彼女は本物だ!時間をとめられるんだからな!」
「王子!!!!」
セイアレス大神官が、余計なことを言うなとばかりに王子を叱責したが遅かった。レンブレント王は聖女の能力に興味を持ったようで、その醜悪な目つきでエルドレッド王子をみる。
「ほう・・・・面白いな。そんな能力があるのなら確かに世界最強かもな。一度見てみたいものだ。その聖女はどこだ?俺に会わせろ」
エルドレッド王子が我慢できないとばかりに、近くの近衛兵から目にも止まらぬ速さで剣を拝借して、レンブレント王に突き付けた。剣先がレンブレント王の喉元の寸前で止まる。
「レンブレント王。貴方をウェースプ王国襲撃犯としてとらえさせてもらうぞ。これだけ各国の証人が揃っていれば、一国の王だとしても言い逃れはできないだろう」
自分の命運をエルドレッド王子が握っているというのにも構わず、レンブレント王は最後の酒をあおるとグラスを地面に投げつけていった。ガラスの割れる鋭い音が夜空に響く。
「面白い。俺と勝負するつもりなら、容赦はしない。俺が王になったのは偶然でも幸運でもない!必然だったと証明してやろうじゃないか!!!」
レンブレント王は、剣の切っ先を腕に着けている金属製の腕輪で撥ねつけると、しゃがみ込んでエルドレッド王子の足を自分の足で引っ掛けて転ばせた。そうしてから自国の近衛兵から剣を受け取って、エルドレッド王子を刺そうと剣を振りかぶった。その瞬間セイアレスが動いて、レンブレント王の剣を伝説の魔鑓を自身のネックレスから出現させて止めようとする。
それに一瞬前に気が付いたレンブレント王が、突然弾かれたようにその場を離れた。
「すごいな、それが伝説の武器か。面白い、相手にとって不足はないな。だが俺の力を侮ってもらっては困る。俺は魔力をこの宝石に閉じ込めてある。お前がいくら魔力があっても、これの魔力量にはかなうまい」
そういって指に着けた赤い色をした大きい宝石をみせる。セイアレスはその禍々しい赤い色を見てすぐにそれが何なのか理解した。それは禁忌とされた暗黒魔法。魔力の高いものの命を代償に作られた宝石だ。その見たことも無いほどの大きさから、一人二人の魔力ではないであろう。恐らく30人以上のA級魔力を持った者の命が詰まっているに違いない。
「聞きしに勝る独裁者ぶりですね。レンブレント王・・・」
セイアレス大神官が余りのレンブレント王の非道ぶりに、背筋が寒くなるのを感じながらいう。
「ははは、誉め言葉としてもらっておこう。そこのお坊ちゃんはそうだな、うちの騎士団長に相手をさせよう。すぐ殺してしまうと面白くないからな」
「なにを!!この野郎――――!!」
レンブレント王の挑発に乗って、エルドレッド王子が我先にレンブレント王に切りかかるが、すぐに間に割って入ったギルセナ王国のグルード騎士団長に剣を止められた。レンブレント王が蔑んだ目で王子を一瞥して、それからグルード騎士団長に向かって忠告した。
「グルード、油断するなよ。まだまだひよっこだが、ウェースプ王国の純粋な血を継いだ王子だ。深層魔力は計り知れない」
王に忠告を受けたグルード騎士団長は、その剣をいまだにエルドレッド王子の剣と絡ませながら、さらに力を込めていった。
「我が主の仰せのままに・・・・レンブレント王」
夜の闇に剣を合わせる火花が飛び散る。
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