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前聖女ハナの遺産
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ギアがユリアナ皇女様の方を振り返り、泣きそうな顔でいった。
「皇女・・・いや母上・・俺たち・・・もう、自由になってもいいのか・・・?」
すると今まで沈黙を保ってきたジルが、突然ユリアナ皇女様の方を向いて言った。
「母上、俺からもお願いする。もうこんな人生から解放してほしい。あなたにとってもその方が幸せなんだろう?」
そういうとユリアナ皇女様を守るように、時を止めて固まったまま立っている状態のソルデア王の方を一瞥した。ユリアナ皇女様はそんなソルデア王を慈しむような目で見てから、夜空を仰ぎ見てつぶやいた。
「聖女ハナ様・・申し訳ありません・・。わたしにはこれ以上は無理です。息子たちをこのような目にあわせたまま生き続けるのはもう・・・わたしには・・・」
そういうと、私の方を振り向いて未だその赤い目に涙を浮かべながら微笑んで言った。月に照らされたその白い髪と相成って、まるで亡霊でも見ているような気分になる。
「聖女サクラ様、わたし達はあなた方を信じます。あなたはハナ様とは全然ちがう・・・こんな風に聖女の能力を考えているなんて・・・。いえ、恐らくハナ様の隣にいたわたし達にも問題があったのかもしれません。彼女に進言もせず、すべて彼女の決断に従うだけしかしなかった私たちにも・・・」
そりゃあそうだろう。この世界との時間軸がどうなっているのかは分からないが、恐らく明治時代の世界大戦真っ只中の時代から来たであろうハナと、平成生まれのゆとり世代の私とでは知識も考え方も全然違っただろう。
私は無言のままソルデア王に近づいて肩に触れ、彼の時を動かした。そうするべきだと思ったからだ。ユリアナ皇女様とソルデア王、お二人はきっと・・・。
ソルデア王は時が動き出すと、すぐにユリアナ皇女様を見て安心したような表情を浮かべた。髪と目の色が変わっていることに少し驚いたようだが、彼は既に彼女の正体を知っていたのであろう。すぐに理解して、彼女を愛しそうに見つめる。
「ごめんなさい。わたしはあなたの想いを知っていましたわ、なのに気付かないふりをしていた。でも今なら言えます。わたしもあなたを愛しています。あなたがほんの小さな子供だった時から、ずっとあなたを愛しています」
「・・・ああ、ユリアナ・・私も愛している」
ソルデア王とユリアナ皇女様は抱き合って、最後の抱擁を交わす。愛し合う二人が最後の別れを惜しんでいる間に、ジルが私に聞く。
「おい、どうやって俺たちの時間を動かせるんだ?考えはあるのか?」
「聖女ハナはあなた達を開放するための秘密を残していたわ。もしかしたら、こうなることを予測していたのかもしれないわね」
ジルの方を見て笑って答えた。それは聖女ハナが残したであろう文に書かれてあった。あれが恐らく彼らを永遠の時の牢獄から解き放つ鍵なのだろうという事に、私はたった今気が付いたからだ。
そう、あの腕輪に刻まれていた文言。それと同じ文章が指輪にもネックレスにも日本語で彫ってあった。
『 過ぎ去りし時の深淵を覗くもの、その輝きを照らす天となる 』
過ぎ去りし時の深淵を覗くものは聖女の私の事かと思っていたけれど、恐らくはユリアナ皇女様達の事。影を失った存在が輝いて照らすという事は時間を動かすという事だろう。天はこの夜空を照らすこの二つの月のことだ。丁度今日は1年に一度、二つの月が満月になる日。
「聖女である私が今、この月明かりの下であなた達に触れて時を動かせばいいんだと思う」
戦時中の日本から幼いころに異世界の飛ばされてきた聖女ハナは、一体何を思って彼らに不死の体を授け、それを解く鍵を残したのだろう。
「ソルデア王、今回の襲撃は無かったことにしよう。サクラなら襲撃の前まで時間を戻すことができる。互いの王国の損失をなくすためにもその方がいいだろう」
アルがソルデア王に向かって提案した。王国の損失・・・失われたたくさんの命が私の脳裏に浮かび上がる。これで彼らを助けることができる。
ソルデア王はアルの方を見て深々と頭を下げた。その眼には涙が浮かんでいた。
「申し訳ありませんでした。私はユリアナを助ける事しか頭になかった。けれども、結局彼女を助けることができたのは聖女サクラ、あなただったのですね」
彼は私の方に向き直って、もう一度頭を下げた。そんな彼の様子をユリアナ皇女様は寂しそうに、それでいて誇らしげに見ていた。そんな二人を見ていたアルがいう。
「ユリアナ皇女、そのネックレスはソルデア王の首にかけてあげてください。過去に戻っても彼に今までの記憶が残るように」
そうか、3種の宝飾は3つしかない。指輪は私がはめなければ過去には戻れない。ということは襲撃がおこってからの記憶を留められるのは、アルとソルデア王の二人だけになる。そうしたらユーリは・・・。
私はユーリの方に駆け寄って傍にひざまずいた。顔色も悪くなり、肩で苦しそうに息をしているが、私を見て微笑んでくれる。
やっぱり、ユーリは甘々だなぁ。自分が苦しい時にさえ私の事を気にかけてくれる。だから私は今言わなければいけない。ユーリに伝えたいことを・・。
私はにっこりと微笑みを返してから、頬に手を添えてユーリに話しかけた。
「ユーリ、私あなたを愛しているみたい。あなたが大丈夫って言ってくれたら何でもできる気がするの。大好きだよ、ユーリ」
私はそう言ってユーリの唇に自分の唇を軽く重ねた。ユーリは驚いた顔のまま、微動だにしない。私は放心状態のユーリにもう一度繰り返していった。
「ユーリ、大好きだよ。いつも傍にいてくれてありがとう。いつもオリボレンを買ってきてくれてありがとう。これからもずっと傍にいてね。愛しているわ」
やっと我に返って、私の言った言葉の意味を理解したようだ。そうしてしばらくすると蚊のなくような小さな声で言った。
「・・・サクラ・・私はこの記憶を忘れたくはありません・・」
私は思い切り微笑んでから、その喜びに満ち溢れた群青色の眼を見て言った。
「ふふふ、大丈夫。覚悟が出来たらまた必ず貴方に伝えるわ」
「できるだけ早くお願いします。それまでに心変わりはしないでくだ・・・んっ」
私は不安を口にするユーリの唇を、もう一度自分の唇で塞ぐと、離れる時に私の血が付いたユーリの唇をちょろっと舐めてから言った。
「そんな事いってると、一生言ってあげないわよ」
そうして余りの喜びに放心するユーリの目を見つめたまま、手探りでユーリの指を探し当てると、指から指輪を抜き取った。
ユーリは気が付いて抵抗しようとしたが片腕しかないので、すぐに私の思い通りに指輪が外される。ユーリをこんなひどい状態のまま放っておくことはできなかった。すぐにでも痛みから解放してあげたかったのだ。ユーリの時が止まる。
後ろを振り向くと、アルが辛そうな表情の中に微笑みを浮かべながら私を見る。私はアルに何も言わずに、ジルとギアの方を振り返った。
彼らは準備ができているようで、二人で互いの手を握りあっていた。また次の生を授かっても、また兄弟で生まれ変われるように願いを込めてでもいるのだろうか。
私はそのまま自分の手を彼らに伸ばした。両手でそれぞれ彼らの額に触れる。すると突然影が足元から伸びる様に生えてきたかと思ったら、ジルとギアの髪と目の色が変わり、その直後体が崩れ始めた。
「「また、会おう」」
互いを見つめて最後にそうつぶやいたと同時に、一気に彼らは灰になって崩れ落ちた。時が止まっているので風が吹くはずもないのに、その灰は吹き飛ばされて王城の庭園に飛んでいく。まるで花々が彼らの死を悼んでいるかのように・・・。
次はユリアナ皇女様の番が来た。ソルデア王と最後に見つめあったかと思うと、覚悟を決めたようで私の方に歩み寄ってきた。
「ありがとう、聖女サクラ様。あなたが私と息子たちを救ってくれました。色々ひどいことをしてごめんなさいね」
今までのたおやかな笑みと違って、少女のように無垢な笑みを顔いっぱいに浮かべると、私の手を取った。私はそのまま自分の手を、ユリアナ皇女様の額にそっとあてた。
「あなたは悪くありません。運命は時々逆らえないほどに過酷で無慈悲なものだっておじいちゃんが言っていました」
私にはそれしか言えなかった。私の言葉を聞いて、にっこりと微笑んだユリアナ皇女様は最後に元の真実の姿に戻り、そうして灰になっていった。
ソルデア王がその灰に跪き、両手で抱える様にしてすくい上げてむせび泣きをした。
「ユリアナ・・・・ユリアナ・・・・」
彼も聖女ハナの怨念に魅入られて、人生を狂わされた者の一人だったのだろう。でもその顔には予想に反して、安堵の表情を浮かんでいた。
「サクラ・・・時を戻してくれ」
アルがソルデア王の頃合いを見計らって、私に過去に戻るように促した。私はうなずいて指輪をはめる。
すると周囲の景色がまるで映画の逆回しのように、どんどん時を戻していく。瓦礫や人が私の中を幽霊のようにすり抜け、時間を戻していく。だんだんそれが加速していってテラスには誰もいなくなった。
はて、一体どこまで時間を戻せばいいんだろうか?・・・と今更ながらに考える。えっとクラウス様が死んだのがたぶん一番最初だから・・・・。ええい、とにかくこの辺で一旦動かそう。足りなかったら後でまた戻せばいいや!
私は時を戻す前にじっくり話し合っておけばよかったと後悔しながらも、指輪を自分の指から外した。景色が一瞬で変わる。
「皇女・・・いや母上・・俺たち・・・もう、自由になってもいいのか・・・?」
すると今まで沈黙を保ってきたジルが、突然ユリアナ皇女様の方を向いて言った。
「母上、俺からもお願いする。もうこんな人生から解放してほしい。あなたにとってもその方が幸せなんだろう?」
そういうとユリアナ皇女様を守るように、時を止めて固まったまま立っている状態のソルデア王の方を一瞥した。ユリアナ皇女様はそんなソルデア王を慈しむような目で見てから、夜空を仰ぎ見てつぶやいた。
「聖女ハナ様・・申し訳ありません・・。わたしにはこれ以上は無理です。息子たちをこのような目にあわせたまま生き続けるのはもう・・・わたしには・・・」
そういうと、私の方を振り向いて未だその赤い目に涙を浮かべながら微笑んで言った。月に照らされたその白い髪と相成って、まるで亡霊でも見ているような気分になる。
「聖女サクラ様、わたし達はあなた方を信じます。あなたはハナ様とは全然ちがう・・・こんな風に聖女の能力を考えているなんて・・・。いえ、恐らくハナ様の隣にいたわたし達にも問題があったのかもしれません。彼女に進言もせず、すべて彼女の決断に従うだけしかしなかった私たちにも・・・」
そりゃあそうだろう。この世界との時間軸がどうなっているのかは分からないが、恐らく明治時代の世界大戦真っ只中の時代から来たであろうハナと、平成生まれのゆとり世代の私とでは知識も考え方も全然違っただろう。
私は無言のままソルデア王に近づいて肩に触れ、彼の時を動かした。そうするべきだと思ったからだ。ユリアナ皇女様とソルデア王、お二人はきっと・・・。
ソルデア王は時が動き出すと、すぐにユリアナ皇女様を見て安心したような表情を浮かべた。髪と目の色が変わっていることに少し驚いたようだが、彼は既に彼女の正体を知っていたのであろう。すぐに理解して、彼女を愛しそうに見つめる。
「ごめんなさい。わたしはあなたの想いを知っていましたわ、なのに気付かないふりをしていた。でも今なら言えます。わたしもあなたを愛しています。あなたがほんの小さな子供だった時から、ずっとあなたを愛しています」
「・・・ああ、ユリアナ・・私も愛している」
ソルデア王とユリアナ皇女様は抱き合って、最後の抱擁を交わす。愛し合う二人が最後の別れを惜しんでいる間に、ジルが私に聞く。
「おい、どうやって俺たちの時間を動かせるんだ?考えはあるのか?」
「聖女ハナはあなた達を開放するための秘密を残していたわ。もしかしたら、こうなることを予測していたのかもしれないわね」
ジルの方を見て笑って答えた。それは聖女ハナが残したであろう文に書かれてあった。あれが恐らく彼らを永遠の時の牢獄から解き放つ鍵なのだろうという事に、私はたった今気が付いたからだ。
そう、あの腕輪に刻まれていた文言。それと同じ文章が指輪にもネックレスにも日本語で彫ってあった。
『 過ぎ去りし時の深淵を覗くもの、その輝きを照らす天となる 』
過ぎ去りし時の深淵を覗くものは聖女の私の事かと思っていたけれど、恐らくはユリアナ皇女様達の事。影を失った存在が輝いて照らすという事は時間を動かすという事だろう。天はこの夜空を照らすこの二つの月のことだ。丁度今日は1年に一度、二つの月が満月になる日。
「聖女である私が今、この月明かりの下であなた達に触れて時を動かせばいいんだと思う」
戦時中の日本から幼いころに異世界の飛ばされてきた聖女ハナは、一体何を思って彼らに不死の体を授け、それを解く鍵を残したのだろう。
「ソルデア王、今回の襲撃は無かったことにしよう。サクラなら襲撃の前まで時間を戻すことができる。互いの王国の損失をなくすためにもその方がいいだろう」
アルがソルデア王に向かって提案した。王国の損失・・・失われたたくさんの命が私の脳裏に浮かび上がる。これで彼らを助けることができる。
ソルデア王はアルの方を見て深々と頭を下げた。その眼には涙が浮かんでいた。
「申し訳ありませんでした。私はユリアナを助ける事しか頭になかった。けれども、結局彼女を助けることができたのは聖女サクラ、あなただったのですね」
彼は私の方に向き直って、もう一度頭を下げた。そんな彼の様子をユリアナ皇女様は寂しそうに、それでいて誇らしげに見ていた。そんな二人を見ていたアルがいう。
「ユリアナ皇女、そのネックレスはソルデア王の首にかけてあげてください。過去に戻っても彼に今までの記憶が残るように」
そうか、3種の宝飾は3つしかない。指輪は私がはめなければ過去には戻れない。ということは襲撃がおこってからの記憶を留められるのは、アルとソルデア王の二人だけになる。そうしたらユーリは・・・。
私はユーリの方に駆け寄って傍にひざまずいた。顔色も悪くなり、肩で苦しそうに息をしているが、私を見て微笑んでくれる。
やっぱり、ユーリは甘々だなぁ。自分が苦しい時にさえ私の事を気にかけてくれる。だから私は今言わなければいけない。ユーリに伝えたいことを・・。
私はにっこりと微笑みを返してから、頬に手を添えてユーリに話しかけた。
「ユーリ、私あなたを愛しているみたい。あなたが大丈夫って言ってくれたら何でもできる気がするの。大好きだよ、ユーリ」
私はそう言ってユーリの唇に自分の唇を軽く重ねた。ユーリは驚いた顔のまま、微動だにしない。私は放心状態のユーリにもう一度繰り返していった。
「ユーリ、大好きだよ。いつも傍にいてくれてありがとう。いつもオリボレンを買ってきてくれてありがとう。これからもずっと傍にいてね。愛しているわ」
やっと我に返って、私の言った言葉の意味を理解したようだ。そうしてしばらくすると蚊のなくような小さな声で言った。
「・・・サクラ・・私はこの記憶を忘れたくはありません・・」
私は思い切り微笑んでから、その喜びに満ち溢れた群青色の眼を見て言った。
「ふふふ、大丈夫。覚悟が出来たらまた必ず貴方に伝えるわ」
「できるだけ早くお願いします。それまでに心変わりはしないでくだ・・・んっ」
私は不安を口にするユーリの唇を、もう一度自分の唇で塞ぐと、離れる時に私の血が付いたユーリの唇をちょろっと舐めてから言った。
「そんな事いってると、一生言ってあげないわよ」
そうして余りの喜びに放心するユーリの目を見つめたまま、手探りでユーリの指を探し当てると、指から指輪を抜き取った。
ユーリは気が付いて抵抗しようとしたが片腕しかないので、すぐに私の思い通りに指輪が外される。ユーリをこんなひどい状態のまま放っておくことはできなかった。すぐにでも痛みから解放してあげたかったのだ。ユーリの時が止まる。
後ろを振り向くと、アルが辛そうな表情の中に微笑みを浮かべながら私を見る。私はアルに何も言わずに、ジルとギアの方を振り返った。
彼らは準備ができているようで、二人で互いの手を握りあっていた。また次の生を授かっても、また兄弟で生まれ変われるように願いを込めてでもいるのだろうか。
私はそのまま自分の手を彼らに伸ばした。両手でそれぞれ彼らの額に触れる。すると突然影が足元から伸びる様に生えてきたかと思ったら、ジルとギアの髪と目の色が変わり、その直後体が崩れ始めた。
「「また、会おう」」
互いを見つめて最後にそうつぶやいたと同時に、一気に彼らは灰になって崩れ落ちた。時が止まっているので風が吹くはずもないのに、その灰は吹き飛ばされて王城の庭園に飛んでいく。まるで花々が彼らの死を悼んでいるかのように・・・。
次はユリアナ皇女様の番が来た。ソルデア王と最後に見つめあったかと思うと、覚悟を決めたようで私の方に歩み寄ってきた。
「ありがとう、聖女サクラ様。あなたが私と息子たちを救ってくれました。色々ひどいことをしてごめんなさいね」
今までのたおやかな笑みと違って、少女のように無垢な笑みを顔いっぱいに浮かべると、私の手を取った。私はそのまま自分の手を、ユリアナ皇女様の額にそっとあてた。
「あなたは悪くありません。運命は時々逆らえないほどに過酷で無慈悲なものだっておじいちゃんが言っていました」
私にはそれしか言えなかった。私の言葉を聞いて、にっこりと微笑んだユリアナ皇女様は最後に元の真実の姿に戻り、そうして灰になっていった。
ソルデア王がその灰に跪き、両手で抱える様にしてすくい上げてむせび泣きをした。
「ユリアナ・・・・ユリアナ・・・・」
彼も聖女ハナの怨念に魅入られて、人生を狂わされた者の一人だったのだろう。でもその顔には予想に反して、安堵の表情を浮かんでいた。
「サクラ・・・時を戻してくれ」
アルがソルデア王の頃合いを見計らって、私に過去に戻るように促した。私はうなずいて指輪をはめる。
すると周囲の景色がまるで映画の逆回しのように、どんどん時を戻していく。瓦礫や人が私の中を幽霊のようにすり抜け、時間を戻していく。だんだんそれが加速していってテラスには誰もいなくなった。
はて、一体どこまで時間を戻せばいいんだろうか?・・・と今更ながらに考える。えっとクラウス様が死んだのがたぶん一番最初だから・・・・。ええい、とにかくこの辺で一旦動かそう。足りなかったら後でまた戻せばいいや!
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