「‥君に気安く話しかけられたくないな。」初恋の人に使用人と間違えられて、塩対応されちゃいました。

みるみる

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義母と妹ロレーヌの秘密

 なかなか眠れない夜を過ごし、エリーゼはぼーっとしながら朝の身支度をしていました。

 昨晩は‥寝てしまったら、自分が夢遊病を発症して何をしでかすか分からないという恐怖で眠れなかったのです。

 エリーゼは顔を洗い、自分で髪を整えてロレーヌが散々着古した古臭いドレスを着ると、急いで厨房に向かいました。

 厨房ではすでに料理が出来上がってきていたので、エリーゼはそれを慣れた手つきで盛り付けて行きます。

 エリーゼが一生懸命に作業に集中していると、義理の母ミシェルの侍女がやってきました。

「エリーゼ、何をしてるの!奥様の所へ早く向かいなさい。」

「‥あっ、いつものあれね。」

 エリーゼは、年配の偉そうな態度の侍女を厨房の入り口に待たせながら、盛り付けを終えると、ゆったりと歩き出しました。

「エリーゼ!もう少し早く歩きなさい!奥様がお待ちだと言ってるでしょ!」

 相変わらず失礼な物言いの侍女に、エリーゼはうんざりしていましたが、ここで言い返しても後々義母に告げ口されて面倒な事になるので‥と我慢しました。

 義母と父が寝てる寝室につくと、ベッドの上から義母ミシェルがエリーゼを手招きしていました。その隣では‥裸で無防備な寝顔を晒して父がぐっすりと眠っていました。

「しーっ。カシューが起きる前に早く済ませて!」

 ミシェルはそう言うと、ベッドの下からメイクボックスを取り出してエリーゼに渡しました。

「お義母さん‥いい加減、あの侍女にメイクのやり方を覚えて貰って下さいよ。私が結婚して家を出たらどうするつもりなんですか。」

 エリーゼが慣れた手つきで、ミシェルの地味な顔にさっさとメイクを施しながらそう言うと‥ミシェルは信じられない事を言いました。

「あら、あなたは一生結婚しないでここで下働きをしながら暮らすのよ。だから結婚して家を出る心配なんてしなくて良いのよ。」

「‥まじか。」

 エリーゼがドン引きした顔でミシェルを見つめると‥彼女はにっこりとしながら手鏡に映る自分の姿に酔いしれていました。

 と、その時でした。夫婦の寝室の入り口の扉が開けられ、ロレーヌの侍女が顔を出しました。

「エリーゼお嬢様、ロレーヌお嬢様がお呼びです。急いで来て貰えませんか。」

「‥ああ、今度はそっちね。」

 エリーゼはそう言うと、のんびりとした動作で侍女の元に向かいました。

 ロレーヌの侍女はそんなエリーゼの様子にハラハラしながらも、ミシェルの侍女のような失礼な物言いはしませんでしたが、そわそわしながら目線と仕草でエリーゼを急かしてきました。

 エリーゼがロレーヌの部屋につくと、すでにロレーヌが鏡台の前で腕を組んで座っていました。

「遅い!私を待たせて何してんの。‥早くやりなさい!」

 ロレーヌは姉であるエリーゼに向かい、そうやって偉そうに言いました。

 エリーゼは、内心呆れながらもやはり慣れた手つきで地味でのっぺりとした顔のロレーヌにメイクを施していきました。

「‥はい、これでおしまい。」

 エリーゼがそう言うと、ロレーヌは鏡に映る自分の姿に見惚れてうっとりとしていました。

 そこには先程までののっぺりとした顔のロレーヌはおらず、華やかな顔の美女が映っていました。

「‥私って、本当になんて綺麗なのかしら。」

オホン、

「‥あのさ、ロレーヌ。私が結婚して家を出たらどうするの?あんたもいい加減そこの侍女にヘアメイクのやり方を覚えさせたら?」

 エリーゼがそう言うと、ロレーヌも信じられない言葉を返してきました。

「あら、心配ないわ。だって私の嫁ぎ先にあんたを侍女として連れて行くつもりだから。」

「‥まじか。‥って、いやいや絶対についていかないから!」

「大丈夫!あんたならどこでも侍女としてやっていけるから。アハハハ。」

「‥いやいや、私侍女じゃないし。」

「だってエリーゼは不細工だもん。それにひきこもりだし、きっと結婚できないわ。だから私が侍女としてあんたを養ってあげるって言ってんの。‥どう?わたしって姉思いの良い妹でしょ。」

「‥‥。」

 エリーゼはその言葉を聞いて唖然としました。

 ミシェルといい、ロレーヌといい、なんて自己中心的な人間なのだろうと改めて思ったのです。

 エリーゼはこの瞬間から、ミシェルやロレーヌにばれないように早く良い結婚相手を見つけてこの屋敷を出ようと決意したのでした。



 
 



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