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ルモンド侯爵家の家族会議 1
エリーゼが傷心のまま帰宅すると、屋敷の中がざわついているのに気付きました。
『何の騒ぎかしら。』
エリーゼは自分の留守中に何が起きたのか気になりつつも、皆に見つからないようにそっと自分の部屋に向かいました。
「カルディ‥ただいま。‥カルディ‥?」
出かける前にベッドで寝ていたカルディが居なくなっていました。
「‥いつもはもっと眠ってるはずなのに、起きてどこかへ行ってしまったのかしら。」
エリーゼはカルディに使われて汚れた枕カバーを外し、そこへ頭をのせて少し横になりました。
「何だか精神的に疲れてしまったわ。少し眠ろうかな。」
そう言って目を閉じてみたエリーゼでしたが、頭の中で今日起きた出来事を何度も反芻してしまい、なかなか眠れずにいました。
「あー、私の馬鹿!恥ずかしい!」
そう言って、手で顔を覆ったまま頭を振ってみたり、足をバタバタさせていると‥誰かの視線を感じ、慌てて飛び起きました。
「‥えっと、エリーゼ?」
「あっ、カルディ!カルディどこに行ってたのよ。」
「‥ああ、まあちょっとね。それよりもエリーゼ、父さんに会った?父さんはなんて言ってた?僕はもう家に帰れるのかな?」
「あっ!ごめん‥、その事なんだけど‥色々あってその‥実はナポリ医師のところへは行ってないの。」
「は?まじでそれ言ってるの?」
「‥だから、ごめんって。」
「‥まあ、いいよ。それについさっき僕がこのお屋敷に連れて来られた本当の理由も分かったし、それに当分このお屋敷から出られないって事も分かった事だし。」
「‥‥カルディがこの家にきた本当の理由‥?」
「そう。僕はエリーゼの夢遊病の件でここへ来たんだと思ってたんだけど、どうも違うみたいなんだ。それがさっき分かったんだ、侯爵様と話しててね。」
「‥‥お父様といつ話したの?」
「エリーゼが出て行った後に侯爵様に呼び出されたんだ。‥僕はてっきりエリーゼを呼び捨てにしたり、ぞんざいに扱ってる事について叱られてしまうのかと心配したんだけど、そうじゃなかった。
侯爵様は僕を君と結婚させようと考えているようだ。」
「‥結婚!?やだ、初耳なんだけど。あっ、カルディも私と結婚だなんて嫌よね?今から早速お父様のところへ行って抗議してくるわね。」
エリーゼはカルディにそう言うと、ベッドから起き上がり、早速父親の書斎へ向かおうと歩き出しました。
「あっ、ちょっと待って。僕は断るつもりはないよ。」
「‥だってカルディは美人が好きなんでしょ?それにカルディが将来ナポリ医師の後を継ぐのなら、もっと他に良い結婚相手が現れそうじゃない?」
「君のような有力な貴族の御令嬢をお嫁さんに出来るんだ、いい縁組じゃないか。それに‥たとえ美人じゃなくても、貴族じゃなくても僕はエリーゼとなら結婚しても良いって思ってるんだ。」
「‥まさか私の事が好きだとか言うんじゃないでしょうね。」
「好きだよ。一緒にいてこんなに楽だった女は、エリーゼが初めてなんだ。」
「‥‥一緒にいて楽だからって‥。それなら何も結婚しなくてもお友達で良いんじゃない。」
「いや、友達ではなくて結婚‥でないとお互い利益がないだろ?そういった利益も含めて君となら結婚してもいいかなって思ったんだ。
それに、エリーゼが僕と結婚してくれれば、君を美容に関する専門の医師として正式に我が医院へ迎え入れるつもりだよ。‥どう良い話でしょ。」
「‥でも結婚だよ?」
「うん、結婚だよ。」
「‥‥。」
「まあ、そう言う事だからよろしくね。」
「‥いえ、納得してないですから!」
「ハハハ、そう言わないで。もう決まった事なんだから。」
そう言ってカルディはエリーゼの頬を指でつついてきました。
「‥カルディのそういう軽いところが‥私は嫌いよ。」
「はいはい。じゃあ、僕はもう一眠りするから。」
「‥あっ、私が今から寝るところだったのに!」
エリーゼがそう言って、ベッドに向かうカルディの腕を掴むと‥逆にカルディに手首を掴まれてベッドに押し倒されてしまいました。
「‥なら一緒に寝る?」
「‥なっ、何するの!離してよっ!」
エリーゼはカルディに両手を掴まれベッドに押さえつけられ、足をバタバタさせながら必死に抗議しました。
「‥エリーゼ。君はラッキースケベに囚われすぎだよ。そんな馬鹿らしいハプニングに頼らなくても、こうやって男女は自然に親密になれるもんなんだよ。」
「‥とりあえずどいて。苦しいからどいて!」
「‥面倒くさいな。これだから男慣れしてない処女は‥。」
「えっ、今なんか言った?」
「‥えっ?別に何も言ってないよ。‥それより二人共眠いんだから、さっさと一緒に寝ようよ。‥エリーゼの期待してるような事は何もしないから。」
「‥なっ、私は別に何も期待してなんかいないわ!」
「ハハハ、ならすぐに寝よう。」
「‥ちょっと‥。」
スースー
エリーゼが戸惑う中、カルディはエリーゼの上に覆い被さったまま、眠りについてしまいました。
「‥苦し‥い、重たいのよ!」
エリーゼは必死にカルディの体を持ち上げると、やっとの思いでカルディの体の下から抜け出せました。
フゥーッ、
エリーゼがベッドに腰掛けて一息つくと、執事がやってきました。
コンコン、
「‥エリーゼお嬢様、侯爵様がお呼びです。」
「結婚のことかしら?分かったわ、すぐに行く。」
エリーゼはすぐに部屋を出ると、執事を従えて侯爵のいる部屋へ向かいました。
コンコン、
「入ってくれ。」
そう言って扉を開けられた部屋の中には、夫人やロレーヌ、それにガルーナまでがいました。
ロレーヌは俯いたまま泣いていたし、ガルーナはエリーゼを見るなりバツが悪そうに顔を背けてしまいました。
『何、この雰囲気。私の留守中に一体何があったというのよ。』
エリーゼは訳が分からぬまま侯爵の指示した席につきました。
これからどうやらルモンド侯爵家の家族会議が始まるようです。
一体何の話が出るのか‥。
エリーゼは部屋にいる他の家族達の異様な雰囲気に戸惑いながらも、この期にカルディとの結婚に対して異議を申し立てよう、と意気込んでいました。
『何の騒ぎかしら。』
エリーゼは自分の留守中に何が起きたのか気になりつつも、皆に見つからないようにそっと自分の部屋に向かいました。
「カルディ‥ただいま。‥カルディ‥?」
出かける前にベッドで寝ていたカルディが居なくなっていました。
「‥いつもはもっと眠ってるはずなのに、起きてどこかへ行ってしまったのかしら。」
エリーゼはカルディに使われて汚れた枕カバーを外し、そこへ頭をのせて少し横になりました。
「何だか精神的に疲れてしまったわ。少し眠ろうかな。」
そう言って目を閉じてみたエリーゼでしたが、頭の中で今日起きた出来事を何度も反芻してしまい、なかなか眠れずにいました。
「あー、私の馬鹿!恥ずかしい!」
そう言って、手で顔を覆ったまま頭を振ってみたり、足をバタバタさせていると‥誰かの視線を感じ、慌てて飛び起きました。
「‥えっと、エリーゼ?」
「あっ、カルディ!カルディどこに行ってたのよ。」
「‥ああ、まあちょっとね。それよりもエリーゼ、父さんに会った?父さんはなんて言ってた?僕はもう家に帰れるのかな?」
「あっ!ごめん‥、その事なんだけど‥色々あってその‥実はナポリ医師のところへは行ってないの。」
「は?まじでそれ言ってるの?」
「‥だから、ごめんって。」
「‥まあ、いいよ。それについさっき僕がこのお屋敷に連れて来られた本当の理由も分かったし、それに当分このお屋敷から出られないって事も分かった事だし。」
「‥‥カルディがこの家にきた本当の理由‥?」
「そう。僕はエリーゼの夢遊病の件でここへ来たんだと思ってたんだけど、どうも違うみたいなんだ。それがさっき分かったんだ、侯爵様と話しててね。」
「‥‥お父様といつ話したの?」
「エリーゼが出て行った後に侯爵様に呼び出されたんだ。‥僕はてっきりエリーゼを呼び捨てにしたり、ぞんざいに扱ってる事について叱られてしまうのかと心配したんだけど、そうじゃなかった。
侯爵様は僕を君と結婚させようと考えているようだ。」
「‥結婚!?やだ、初耳なんだけど。あっ、カルディも私と結婚だなんて嫌よね?今から早速お父様のところへ行って抗議してくるわね。」
エリーゼはカルディにそう言うと、ベッドから起き上がり、早速父親の書斎へ向かおうと歩き出しました。
「あっ、ちょっと待って。僕は断るつもりはないよ。」
「‥だってカルディは美人が好きなんでしょ?それにカルディが将来ナポリ医師の後を継ぐのなら、もっと他に良い結婚相手が現れそうじゃない?」
「君のような有力な貴族の御令嬢をお嫁さんに出来るんだ、いい縁組じゃないか。それに‥たとえ美人じゃなくても、貴族じゃなくても僕はエリーゼとなら結婚しても良いって思ってるんだ。」
「‥まさか私の事が好きだとか言うんじゃないでしょうね。」
「好きだよ。一緒にいてこんなに楽だった女は、エリーゼが初めてなんだ。」
「‥‥一緒にいて楽だからって‥。それなら何も結婚しなくてもお友達で良いんじゃない。」
「いや、友達ではなくて結婚‥でないとお互い利益がないだろ?そういった利益も含めて君となら結婚してもいいかなって思ったんだ。
それに、エリーゼが僕と結婚してくれれば、君を美容に関する専門の医師として正式に我が医院へ迎え入れるつもりだよ。‥どう良い話でしょ。」
「‥でも結婚だよ?」
「うん、結婚だよ。」
「‥‥。」
「まあ、そう言う事だからよろしくね。」
「‥いえ、納得してないですから!」
「ハハハ、そう言わないで。もう決まった事なんだから。」
そう言ってカルディはエリーゼの頬を指でつついてきました。
「‥カルディのそういう軽いところが‥私は嫌いよ。」
「はいはい。じゃあ、僕はもう一眠りするから。」
「‥あっ、私が今から寝るところだったのに!」
エリーゼがそう言って、ベッドに向かうカルディの腕を掴むと‥逆にカルディに手首を掴まれてベッドに押し倒されてしまいました。
「‥なら一緒に寝る?」
「‥なっ、何するの!離してよっ!」
エリーゼはカルディに両手を掴まれベッドに押さえつけられ、足をバタバタさせながら必死に抗議しました。
「‥エリーゼ。君はラッキースケベに囚われすぎだよ。そんな馬鹿らしいハプニングに頼らなくても、こうやって男女は自然に親密になれるもんなんだよ。」
「‥とりあえずどいて。苦しいからどいて!」
「‥面倒くさいな。これだから男慣れしてない処女は‥。」
「えっ、今なんか言った?」
「‥えっ?別に何も言ってないよ。‥それより二人共眠いんだから、さっさと一緒に寝ようよ。‥エリーゼの期待してるような事は何もしないから。」
「‥なっ、私は別に何も期待してなんかいないわ!」
「ハハハ、ならすぐに寝よう。」
「‥ちょっと‥。」
スースー
エリーゼが戸惑う中、カルディはエリーゼの上に覆い被さったまま、眠りについてしまいました。
「‥苦し‥い、重たいのよ!」
エリーゼは必死にカルディの体を持ち上げると、やっとの思いでカルディの体の下から抜け出せました。
フゥーッ、
エリーゼがベッドに腰掛けて一息つくと、執事がやってきました。
コンコン、
「‥エリーゼお嬢様、侯爵様がお呼びです。」
「結婚のことかしら?分かったわ、すぐに行く。」
エリーゼはすぐに部屋を出ると、執事を従えて侯爵のいる部屋へ向かいました。
コンコン、
「入ってくれ。」
そう言って扉を開けられた部屋の中には、夫人やロレーヌ、それにガルーナまでがいました。
ロレーヌは俯いたまま泣いていたし、ガルーナはエリーゼを見るなりバツが悪そうに顔を背けてしまいました。
『何、この雰囲気。私の留守中に一体何があったというのよ。』
エリーゼは訳が分からぬまま侯爵の指示した席につきました。
これからどうやらルモンド侯爵家の家族会議が始まるようです。
一体何の話が出るのか‥。
エリーゼは部屋にいる他の家族達の異様な雰囲気に戸惑いながらも、この期にカルディとの結婚に対して異議を申し立てよう、と意気込んでいました。
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