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ルモンド侯爵家の家族会議 2
「あの、お待たせしてしまいごめんなさい。‥何かあったのですか?」
エリーゼは家族の集まっているこの部屋で、さっきから一人泣いているロレーヌをチラチラと見ながら侯爵にたずねました。
すると、侯爵が答える代わりにガルーナが舌打ちをして罰が悪そうに話し始めました。
「‥ロレーヌが毎晩僕の部屋に忍びこんで、僕の‥体をもてあそんでいたんだ。‥全く、何が悲しくて‥実の姉さんに毎晩襲われなきゃならないんだよ。」
ガルーナがそう言うと、ロレーヌが小さな声で弁明を始めました。
「‥私、最近ある方ととても良い雰囲気なの。だから、その方とそろそろ体の関係を持つ日が来るかなって思ってドキドキしていたの。そしたら、なんだか落ちつかなくて眠れなくなって‥。だから夜になるとこっそり部屋を抜け出して、お母様達の寝室や使用人棟で密会をしていた者達の交わりを覗き見ていたの。それにガルーナの体で‥男の人の体がどうなってるのか‥何をすると良い反応をするのかを真剣に調べていたの。」
「‥だからって、僕の体を弄んでもいい理由にはならないぞ!よくもあんな‥あんな‥。」
ガルーナはそこまで言うと何故か口ごもってしまい、恥ずかしいのか怒ってるのか分からないような複雑な顔を見せました。
そんなガルーナの側で、先程からワナワナと震えていた夫人でしたが‥
「‥ロレーヌ!私達の寝室を見たって‥まさかっ、夫婦の営みまで覗き見たって言うの?」
夫人は顔を真っ赤にさせてロレーヌにたずねました。
ロレーヌはその問いに対して、黙って俯いたままコクンと頷きました。
「‥お母様とお父様の営みは、何度か見させて頂きました。おかげで私はしっかりと夜の作法を覚える事ができました。」
なぜか誇らしげにそう話すロレーヌでしたが、それを聞いて一番慌てたのは侯爵でした。
「ロレーヌ!あれはその‥普通の夜の作法ではないから、あまり参考にはしないように。‥それに、普通の夫婦はあんなに変わった事はしないし、それに何度も‥。」
「あなた!それ以上はもう話さないで!」
「‥‥。」
「とにかくロレーヌ、もう今後はガルーナの部屋に忍びこんでいたずらをしない事!ちゃんとした夜の作法については私が教えてあげるから。」
「‥はい。」
「ところで‥あなたを射止めた幸運な男性がどこの誰なのかそろそろ教えてくれるかしら?」
「はい。‥あっ、きいても驚かないで下さいね。私の好きな人は‥この国の王弟のラサール大公なの。」
「何だって!?」
「実は私‥ラサール大公にすでに結婚を申し込まれていますの。彼は奥様を亡くしてからずっと独身を貫いていたけれど、私となら結婚して生涯を共に過ごしても良いかなって思えたのだそうです。」
「‥‥大公と結婚だって?」
「はい、彼は近々正式にうちへ訪れるつもりのようです。」
「‥分かった。‥良い縁談だし、まあ断る理由もないし‥。」
「あら、まあ‥ラサール大公って‥へえ~そう、ロレーヌったらやるじゃない!あなたよりかなり歳上だけどハンサムだし優しそうだし、いいお相手じゃないの。おめでとう!」
「‥姉さん、僕の体にいたずらした事はもう許すから‥その代わりに大公に僕の事を紹介してくれよ。」
「勿論そのつもりよ。」
ロレーヌの思わぬ結婚報告が出たせいで、先程までのロレーヌを責めるような空気は一気になくなってしまい、代わりにロレーヌの結婚を祝福するような和やかな雰囲気に変わってしまいました。
「‥お父様、お母様、ガルーナ‥これまでの私の奇行を許してくれてありがとう。
それから‥エリーゼ、あなたも早く良い結婚相手を見つけなさいね。‥私は大公と結婚してからは、もう華やかな化粧はしない事にしたの。‥彼ね、大人しい顔の女性が好みみたいなの。試しに化粧をしていない私の顔を見せてみたけど‥そっちの方が好みだって言われたの。
だから、これからあなたが私に化粧をする必要はもうないし、私の嫁ぎ先にあなたを侍女として連れて行ってあげる約束は取り消すわ。」
ロレーヌは勝ち誇ったような顔でエリーゼにそう言いました。
そしてその後は、エリーゼ以外の家族で結婚の話に花を咲かせていました。
『‥別にどうでも良いんだけど。』
エリーゼは心の中でそう毒づくと、自分がこの場にいる理由が見つからない為、父親である侯爵に許しを得てさっさと部屋を退室する事にしました。
「‥結局、私の夢遊病騒ぎは勘違いだったって事ね。それにガルーナと毎晩変な事をしていたのは、ロレーヌだったって事が他の家族にもしれた事だし‥一件落着といったところかしら。‥なのに、何でこうもモヤモヤするのかしら。」
部屋へ向かい歩きながらエリーゼは、モヤモヤの正体について考えていましたが、結局わからないまま部屋の前まで来てしまいました。
そして扉を開けるとそこには、エリーゼのベッドでぐっすりと眠るカルディの姿がありました。
「あっ、そうだった。カルディとの結婚の話を断りに行ったんだった‥。ああ~、私の馬鹿!なぜあの良い雰囲気の時に言い出せなかったのかしら。」
エリーゼはそう思うと、無性に何かに八つ当たりをしたくなって、気持ちよさそうに眠るカルディの頬でもつねってやろうかと思い、彼に近づいてその顔に手を伸ばしました。
ですが、彼の目の下の隈や無邪気な寝顔を見るうちに苛々する気持ちは段々と薄れ、それどころか疲れて眠る彼を労ってやりたい気持ちになっていました。
「‥まあ、カルディのおかげで私が夢遊病じゃないって事がはっきり分かったんだし、それにガルーナに夜中にいたずらをしてるのが私じゃなくてロレーヌだった‥という事が他の家族にも分かってもらえて家族会議が開かれたのだって、きっと‥カルディのおかげよね。」
エリーゼはカルディの頬をつねってやろうとして伸ばした手で、そのままそっとカルディの頭を撫でてやりました。
「カルディ、お疲れ様。ありがとうね。」
エリーゼは小さな声でそう言ってカルディの布団を直してやると、自分は毛布を一枚掴み、ソファーで横になることにしました。
エリーゼはソファーに横になると心身共に疲れていた為すぐに眠ってしまい、寝息を立て始めました。
そんなエリーゼとは反対に、いつの間にか目を覚ましていたカルディがベッドから起き上がるとエリーゼの寝ているソファーまで近づいてきました。
カルディは、先程エリーゼが撫でた頭の部分を触りながら、ソファーで無防備な姿で寝ているエリーゼをじろじろと観察し始めました。
そして、ある違和感に気付きました。
「‥ん?なんで胸元の肌がこんなに白くて綺麗なのに、顔と首の肌色がくすんでて冴えないんだ?」
カルディはタオルを濡らして持ってくると、エリーゼの顔を拭きはじめました。
すると、エリーゼの本来の白くてきめ細かな綺麗な素肌が現れました。
「‥‥。」
カルディは図らずもエリーゼの素顔を知ってしまった事に、なんとなく後ろめたさを感じて、再びベッドへ戻り目を閉じました。
‥ですが、目を閉じてもなかなか眠れずにいました。
そして、エリーゼの事が気になって仕方がない自分の気持ちも自覚してしまいました。
エリーゼとの結婚の話を聞いてもちっとも嫌な気持ちにならなかったこと、さっきエリーゼの素顔を垣間見てドキドキしたこと‥
それだけあれば、カルディがエリーゼへの恋心を自覚するには充分事足りました。
「‥‥そうか。エリーゼと結婚かぁ、悪くないな。」
カルディはそう呟くと横になったまま、エリーゼの眠るソファーの方を見つめました。
そして彼女の目覚めを楽しみに待つのでした。
エリーゼは家族の集まっているこの部屋で、さっきから一人泣いているロレーヌをチラチラと見ながら侯爵にたずねました。
すると、侯爵が答える代わりにガルーナが舌打ちをして罰が悪そうに話し始めました。
「‥ロレーヌが毎晩僕の部屋に忍びこんで、僕の‥体をもてあそんでいたんだ。‥全く、何が悲しくて‥実の姉さんに毎晩襲われなきゃならないんだよ。」
ガルーナがそう言うと、ロレーヌが小さな声で弁明を始めました。
「‥私、最近ある方ととても良い雰囲気なの。だから、その方とそろそろ体の関係を持つ日が来るかなって思ってドキドキしていたの。そしたら、なんだか落ちつかなくて眠れなくなって‥。だから夜になるとこっそり部屋を抜け出して、お母様達の寝室や使用人棟で密会をしていた者達の交わりを覗き見ていたの。それにガルーナの体で‥男の人の体がどうなってるのか‥何をすると良い反応をするのかを真剣に調べていたの。」
「‥だからって、僕の体を弄んでもいい理由にはならないぞ!よくもあんな‥あんな‥。」
ガルーナはそこまで言うと何故か口ごもってしまい、恥ずかしいのか怒ってるのか分からないような複雑な顔を見せました。
そんなガルーナの側で、先程からワナワナと震えていた夫人でしたが‥
「‥ロレーヌ!私達の寝室を見たって‥まさかっ、夫婦の営みまで覗き見たって言うの?」
夫人は顔を真っ赤にさせてロレーヌにたずねました。
ロレーヌはその問いに対して、黙って俯いたままコクンと頷きました。
「‥お母様とお父様の営みは、何度か見させて頂きました。おかげで私はしっかりと夜の作法を覚える事ができました。」
なぜか誇らしげにそう話すロレーヌでしたが、それを聞いて一番慌てたのは侯爵でした。
「ロレーヌ!あれはその‥普通の夜の作法ではないから、あまり参考にはしないように。‥それに、普通の夫婦はあんなに変わった事はしないし、それに何度も‥。」
「あなた!それ以上はもう話さないで!」
「‥‥。」
「とにかくロレーヌ、もう今後はガルーナの部屋に忍びこんでいたずらをしない事!ちゃんとした夜の作法については私が教えてあげるから。」
「‥はい。」
「ところで‥あなたを射止めた幸運な男性がどこの誰なのかそろそろ教えてくれるかしら?」
「はい。‥あっ、きいても驚かないで下さいね。私の好きな人は‥この国の王弟のラサール大公なの。」
「何だって!?」
「実は私‥ラサール大公にすでに結婚を申し込まれていますの。彼は奥様を亡くしてからずっと独身を貫いていたけれど、私となら結婚して生涯を共に過ごしても良いかなって思えたのだそうです。」
「‥‥大公と結婚だって?」
「はい、彼は近々正式にうちへ訪れるつもりのようです。」
「‥分かった。‥良い縁談だし、まあ断る理由もないし‥。」
「あら、まあ‥ラサール大公って‥へえ~そう、ロレーヌったらやるじゃない!あなたよりかなり歳上だけどハンサムだし優しそうだし、いいお相手じゃないの。おめでとう!」
「‥姉さん、僕の体にいたずらした事はもう許すから‥その代わりに大公に僕の事を紹介してくれよ。」
「勿論そのつもりよ。」
ロレーヌの思わぬ結婚報告が出たせいで、先程までのロレーヌを責めるような空気は一気になくなってしまい、代わりにロレーヌの結婚を祝福するような和やかな雰囲気に変わってしまいました。
「‥お父様、お母様、ガルーナ‥これまでの私の奇行を許してくれてありがとう。
それから‥エリーゼ、あなたも早く良い結婚相手を見つけなさいね。‥私は大公と結婚してからは、もう華やかな化粧はしない事にしたの。‥彼ね、大人しい顔の女性が好みみたいなの。試しに化粧をしていない私の顔を見せてみたけど‥そっちの方が好みだって言われたの。
だから、これからあなたが私に化粧をする必要はもうないし、私の嫁ぎ先にあなたを侍女として連れて行ってあげる約束は取り消すわ。」
ロレーヌは勝ち誇ったような顔でエリーゼにそう言いました。
そしてその後は、エリーゼ以外の家族で結婚の話に花を咲かせていました。
『‥別にどうでも良いんだけど。』
エリーゼは心の中でそう毒づくと、自分がこの場にいる理由が見つからない為、父親である侯爵に許しを得てさっさと部屋を退室する事にしました。
「‥結局、私の夢遊病騒ぎは勘違いだったって事ね。それにガルーナと毎晩変な事をしていたのは、ロレーヌだったって事が他の家族にもしれた事だし‥一件落着といったところかしら。‥なのに、何でこうもモヤモヤするのかしら。」
部屋へ向かい歩きながらエリーゼは、モヤモヤの正体について考えていましたが、結局わからないまま部屋の前まで来てしまいました。
そして扉を開けるとそこには、エリーゼのベッドでぐっすりと眠るカルディの姿がありました。
「あっ、そうだった。カルディとの結婚の話を断りに行ったんだった‥。ああ~、私の馬鹿!なぜあの良い雰囲気の時に言い出せなかったのかしら。」
エリーゼはそう思うと、無性に何かに八つ当たりをしたくなって、気持ちよさそうに眠るカルディの頬でもつねってやろうかと思い、彼に近づいてその顔に手を伸ばしました。
ですが、彼の目の下の隈や無邪気な寝顔を見るうちに苛々する気持ちは段々と薄れ、それどころか疲れて眠る彼を労ってやりたい気持ちになっていました。
「‥まあ、カルディのおかげで私が夢遊病じゃないって事がはっきり分かったんだし、それにガルーナに夜中にいたずらをしてるのが私じゃなくてロレーヌだった‥という事が他の家族にも分かってもらえて家族会議が開かれたのだって、きっと‥カルディのおかげよね。」
エリーゼはカルディの頬をつねってやろうとして伸ばした手で、そのままそっとカルディの頭を撫でてやりました。
「カルディ、お疲れ様。ありがとうね。」
エリーゼは小さな声でそう言ってカルディの布団を直してやると、自分は毛布を一枚掴み、ソファーで横になることにしました。
エリーゼはソファーに横になると心身共に疲れていた為すぐに眠ってしまい、寝息を立て始めました。
そんなエリーゼとは反対に、いつの間にか目を覚ましていたカルディがベッドから起き上がるとエリーゼの寝ているソファーまで近づいてきました。
カルディは、先程エリーゼが撫でた頭の部分を触りながら、ソファーで無防備な姿で寝ているエリーゼをじろじろと観察し始めました。
そして、ある違和感に気付きました。
「‥ん?なんで胸元の肌がこんなに白くて綺麗なのに、顔と首の肌色がくすんでて冴えないんだ?」
カルディはタオルを濡らして持ってくると、エリーゼの顔を拭きはじめました。
すると、エリーゼの本来の白くてきめ細かな綺麗な素肌が現れました。
「‥‥。」
カルディは図らずもエリーゼの素顔を知ってしまった事に、なんとなく後ろめたさを感じて、再びベッドへ戻り目を閉じました。
‥ですが、目を閉じてもなかなか眠れずにいました。
そして、エリーゼの事が気になって仕方がない自分の気持ちも自覚してしまいました。
エリーゼとの結婚の話を聞いてもちっとも嫌な気持ちにならなかったこと、さっきエリーゼの素顔を垣間見てドキドキしたこと‥
それだけあれば、カルディがエリーゼへの恋心を自覚するには充分事足りました。
「‥‥そうか。エリーゼと結婚かぁ、悪くないな。」
カルディはそう呟くと横になったまま、エリーゼの眠るソファーの方を見つめました。
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