「‥君に気安く話しかけられたくないな。」初恋の人に使用人と間違えられて、塩対応されちゃいました。

みるみる

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カルディ、エリーゼそれぞれに思う事

 カルディは先程ナポリ医師が話していた言葉を思い出して、何度も頭の中で反芻していました。

『うちには息子がいるんですがね、‥近い将来、そいつがこの国で心の病を抱えた人達の救いとなるんじゃないかと期待をしているんです。』

 カルディはこの言葉を聞いて、父親が自分の事を内心は認めてくれていたのだという事実を知り、とても感動していました。

 そして、この感動を早く1人になってしみじみと味わいたいと思いました。

「エリーゼ、僕はこれから自分の研究室へ戻るよ。またね。」

「あっ、そうね。また会いましょう。」

 エリーゼはエリーゼで、先程のナポリ医師とグスタフ卿の屋敷の執事の会話を思い出して、その言葉の意味を懸命に考えていました。

『坊っちゃんが最近薬を飲む事を拒否するんです。そのせいか、少し暴力的な性格になった気がします。

‥公爵家のご先祖様には、坊っちゃんと同じ症状で破滅して早死にしていった方が何人もいます。坊っちゃんだけはそんな事にはなってほしくないんです!』

 薬を飲まないと暴力的になる?早死にする?

 そして、この事はグスタフ卿も知らない可能性があります。

 エリーゼはこの事についてもっと深く知りたいと思いました。

 この前のハンカチの毒の件もまだ何も解決されていないといあのに、最近どうもグスタフ卿のまわりが騒がしい気がしてなりません。

『グスタフ卿の事を私は知らなさすぎる。彼は‥一体何の問題を抱えているの?』

 考え込んで俯いてしまったエリーゼの顔を、スタンレーが心配そうに覗きこんできました。

「あっ、ごめんなさい。そろそろ屋敷に帰りましょうか。」

 エリーゼがそう言うと、スタンレーが誠実な笑顔を見せて頷きました。

 そして、屋敷に戻りエリーゼが部屋に入った後もスタンレーは扉の前に立ち続けました。

 エリーゼは相変わらず真面目な態度のスタンレーに感心しました。

『スパイは人目につかないように活動するというけど‥もしかして屋敷の侍女の中にでも紛れ込んでいるのかもしれないわ。でも、扉の外にスタンレーもいてくれるし、とりあえず私の身の危険はないわよね。』

 屋敷にスパイがいるかもしれないと知った時は怖くて緊張感を保っていたエリーゼでしたが‥

 扉の外にいるスタンレーの存在が、そんな緊張をときほぐしてくれました。

『よし、我が家のスパイの事は置いておくとして、とりあえず近いうちに図書館へ行って、グスタフ卿の家系について何か情報がないか調べてみましょう。それに何か彼の家系が関連した事件や出来事についても過去の新聞で調べなくては‥。』

 エリーゼはベットに疲れた体を沈めると、そう心の中で独り言を言いながら‥そのまま眠りについてしまいました。



 

 

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