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ラッキースケベの不発?
グスタフ卿の馬車に2人が隣り合わせで寄り添って座る様子を見た者達は、一瞬不思議そうな表情を見せましたが‥エリーゼの赤面した顔を見て何かを察したようにすぐ目を背けました。
その様子を見たエリーゼは、皆が2人が馬車の中でイチャイチャするのではないかと勘違いしている事を察しました。
その時ふと、エリーゼは自分の手が鎖で繋がったグスタフ卿の手に触れている事に気付きました。途端にエリーゼの鼓動は早まりました。
あまりに激しく鼓動するので、その音や振動がエリーゼの手に触れているグスタフ卿の手を通して伝わってしまうのでは‥と思われるほどでした。
『どうしよう、私の鼓動の音が彼に聞こえてやしないかしら。それに私の息づかいは変じゃないかしら。‥彼に何も変に思われてないわよね。』
エリーゼは緊張と恥ずかしさから終始赤面した小刻みに震えながら、時折彼の様子を伺うようにチラチラとグスタフ卿の顔を覗き込みました。
グスタフ卿の顔は、エリーゼとは対照的に何かを思案しているかのような難しい表情をしていました。
『‥私ったら、グスタフ卿が真剣に悩んでいる時に一人でソワソワして浮かれて馬鹿みたい。‥少しは自重しなきゃ。わたしのせいでこうなったのだから‥。』
エリーゼはそう思うとなんだか急にグスタフ卿に対して申し訳ない思いが込み上げてきました。
しょんぼりと項垂れたエリーゼの様子がグスタフ卿にも伝わったのか、グスタフ卿が鎖で繋がったエリーゼの手を握り、
「大丈夫。すぐに鍵を取ってきてこの鎖を外してあげるから。」
そう言って微笑んでくれました。
ドキッ‥。
グスタフ卿の、手を握りながらの微笑みかけにドキドキしてしまったエリーゼの身に何か異変が起きました。
『あっ、何だか嫌な予感がする。無性にぞわぞわしてくるこの感じは‥いつものラッキースケベが起こる前兆に似ているわ!』
エリーゼは気構えました。何かが起こる事を覚悟して目を閉じて、呼吸を整えます。
馬車はいつの間にかとまり、車中が静寂に包まれました。
「着いたか。」
グスタフ卿とエリーゼは馬車から降りて、城門の前に立つ騎士のもとへ向かいます。
グスタフ卿が騎士の耳元で何かを伝えると、騎士の1人が礼をしてその場からいなくなりました。
グスタフ卿が何か指示を出したようです。
2人は再び馬車の中へ戻ると、車内でしばらく待機する事にしました。
「さっきの彼に、僕の秘書に拘束具の鍵を持ってくるように伝えるように頼んだんだ。‥もうじき鍵を持ってきてくれるはずだ。」
「良かった‥。これでもうグスタフ卿にご迷惑をかけずにすみますね。」
「いやエリーゼのせいじゃない。これは僕の不注意で起きた事なんだ‥。」
「でも、本当にいつもいつも私のせいでごめんなさい。」
「だから、違うんだ!エリーゼ‥僕はちっとも迷惑だなんて思っていない。今のこの状況だって‥迷惑どころか寧ろ‥。」
グスタフ卿がそう言って申し訳なさそうな顔でエリーゼを見つめます。
2人の顔が近づいて‥2人の鼻と鼻がぶつかりました。
そのままキスをしそうな雰囲気の中、馬車の扉がノックされてしまいました。
グスタフ卿がハッと我にかえり、慌ててエリーゼから離れて扉を開けます。
「‥ああ、鍵か。ありがとう。」
扉越しに会話をするグスタフ卿の声が聞こえます。
会話の相手は彼の部下のようです。しきりにエリーゼの方を気にしてチラチラと目線を向けてきました。
「団長、後で少しいいですか。ここではちょっと‥。」
「分かった。少し待ったてくれ。」
グスタフ卿がそう言って扉を閉めて、エリーゼと自分の手にかけられた拘束具に鍵をさして解錠します。
ガチャッ。
拘束具から開放された2人の手が離れます。
「‥エリーゼ、僕はここで失礼するよ。君はこのままこの馬車に乗って屋敷へ戻ってくれ。」
「これで、本当にもうしばらく会えなくなるんですね。」
「色々と問題事が解決したら、すぐに君に会いに行くから‥。」
「‥待ってます。」
「‥ありがとう。いつか僕たちが再開するその日が来たら、君に伝えたい事があるんだ。」
「‥分かりました。良い話であると信じて楽しみにしてます。」
エリーゼはグスタフ卿が馬車から離れるのを馬車の窓から眺めていました。
『‥そういえば、ラッキースケベが発動しなかったわね。確かに何か起きそうな嫌な予感がしたのだけど‥気のせいだったのね。』
馬車が動き出します。エリーゼは馬車から見える彼の背中が遠ざかるのをずっと見守っていました。
その様子を見たエリーゼは、皆が2人が馬車の中でイチャイチャするのではないかと勘違いしている事を察しました。
その時ふと、エリーゼは自分の手が鎖で繋がったグスタフ卿の手に触れている事に気付きました。途端にエリーゼの鼓動は早まりました。
あまりに激しく鼓動するので、その音や振動がエリーゼの手に触れているグスタフ卿の手を通して伝わってしまうのでは‥と思われるほどでした。
『どうしよう、私の鼓動の音が彼に聞こえてやしないかしら。それに私の息づかいは変じゃないかしら。‥彼に何も変に思われてないわよね。』
エリーゼは緊張と恥ずかしさから終始赤面した小刻みに震えながら、時折彼の様子を伺うようにチラチラとグスタフ卿の顔を覗き込みました。
グスタフ卿の顔は、エリーゼとは対照的に何かを思案しているかのような難しい表情をしていました。
『‥私ったら、グスタフ卿が真剣に悩んでいる時に一人でソワソワして浮かれて馬鹿みたい。‥少しは自重しなきゃ。わたしのせいでこうなったのだから‥。』
エリーゼはそう思うとなんだか急にグスタフ卿に対して申し訳ない思いが込み上げてきました。
しょんぼりと項垂れたエリーゼの様子がグスタフ卿にも伝わったのか、グスタフ卿が鎖で繋がったエリーゼの手を握り、
「大丈夫。すぐに鍵を取ってきてこの鎖を外してあげるから。」
そう言って微笑んでくれました。
ドキッ‥。
グスタフ卿の、手を握りながらの微笑みかけにドキドキしてしまったエリーゼの身に何か異変が起きました。
『あっ、何だか嫌な予感がする。無性にぞわぞわしてくるこの感じは‥いつものラッキースケベが起こる前兆に似ているわ!』
エリーゼは気構えました。何かが起こる事を覚悟して目を閉じて、呼吸を整えます。
馬車はいつの間にかとまり、車中が静寂に包まれました。
「着いたか。」
グスタフ卿とエリーゼは馬車から降りて、城門の前に立つ騎士のもとへ向かいます。
グスタフ卿が騎士の耳元で何かを伝えると、騎士の1人が礼をしてその場からいなくなりました。
グスタフ卿が何か指示を出したようです。
2人は再び馬車の中へ戻ると、車内でしばらく待機する事にしました。
「さっきの彼に、僕の秘書に拘束具の鍵を持ってくるように伝えるように頼んだんだ。‥もうじき鍵を持ってきてくれるはずだ。」
「良かった‥。これでもうグスタフ卿にご迷惑をかけずにすみますね。」
「いやエリーゼのせいじゃない。これは僕の不注意で起きた事なんだ‥。」
「でも、本当にいつもいつも私のせいでごめんなさい。」
「だから、違うんだ!エリーゼ‥僕はちっとも迷惑だなんて思っていない。今のこの状況だって‥迷惑どころか寧ろ‥。」
グスタフ卿がそう言って申し訳なさそうな顔でエリーゼを見つめます。
2人の顔が近づいて‥2人の鼻と鼻がぶつかりました。
そのままキスをしそうな雰囲気の中、馬車の扉がノックされてしまいました。
グスタフ卿がハッと我にかえり、慌ててエリーゼから離れて扉を開けます。
「‥ああ、鍵か。ありがとう。」
扉越しに会話をするグスタフ卿の声が聞こえます。
会話の相手は彼の部下のようです。しきりにエリーゼの方を気にしてチラチラと目線を向けてきました。
「団長、後で少しいいですか。ここではちょっと‥。」
「分かった。少し待ったてくれ。」
グスタフ卿がそう言って扉を閉めて、エリーゼと自分の手にかけられた拘束具に鍵をさして解錠します。
ガチャッ。
拘束具から開放された2人の手が離れます。
「‥エリーゼ、僕はここで失礼するよ。君はこのままこの馬車に乗って屋敷へ戻ってくれ。」
「これで、本当にもうしばらく会えなくなるんですね。」
「色々と問題事が解決したら、すぐに君に会いに行くから‥。」
「‥待ってます。」
「‥ありがとう。いつか僕たちが再開するその日が来たら、君に伝えたい事があるんだ。」
「‥分かりました。良い話であると信じて楽しみにしてます。」
エリーゼはグスタフ卿が馬車から離れるのを馬車の窓から眺めていました。
『‥そういえば、ラッキースケベが発動しなかったわね。確かに何か起きそうな嫌な予感がしたのだけど‥気のせいだったのね。』
馬車が動き出します。エリーゼは馬車から見える彼の背中が遠ざかるのをずっと見守っていました。
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