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卒業パーティー
しおりを挟む卒業パーティーは、王宮で開催されました。
すでに会場からは賑やかな話し声や音楽が聞こえてきます。
私はマカロン様にエスコートされながら、会場に足を踏み入れました。
広い会場内には大勢の人々がいるのに、会場中の視線が一気に、マカロン様と私に集中しました。
これは‥‥と戸惑いながらも、マカロン様にエスコートされながら会場内を進むと、マカロン様にたくさんの人だかりが出来ました。
私は人だかりの外へと追いやられてしまいました。
人だかり、じゃなくてマカロン様を取り囲むのは、卒業生の父母達だったり、同じ卒業生だったりと様々でした。
皆んな王子の卒業にお祝いの言葉を述べたり、子供がお世話になった御礼を言っていました。
普段なら、気軽に声をかけられない王子ですが、今日なら学園の生徒と父兄という関係から、比較的声をかけやすいのかもしれません。
私はそっと、壁際のテーブルのある席へ逃げました。
壁側で、グレープジュースの入ったワイングラスを持って立っていました。そして会場の中にいるエリナさんやモアさんを目で探してみました。
モアさんとノア様を見つけました。モアさん、やっぱり今日は眼鏡を外して髪をアップにしてる。まわりの人達がモアさんを振り返って見てるわ。ノア様も、モアさんを見つめる視線が熱っぽい‥‥。
モアさんが積極的にノア様にアプローチしてお付き合いが始まったって聞いたけど、最近はノア様の方がモアさんにちょっかいばかり出してくるってモアさんが嬉しそうに言ってたなぁ。
エリナさん、最近ソード様とデートするようになったと聞きました。ソード様が高等貴族学園へ進学された後の事を心配してたけど、私も同じです。今もこうしてマカロン様と一緒にパーティーへ来ても、色々と距離を感じてしまいます。でもエリナさん、ここから見るお二人はとても仲睦まじく見えますよ。特にソード様がエリナさんに向ける優しい表情、素敵です。エリナさん、ソード様にちゃんと大切に思われてますね。
私は‥‥
「チョコさんですよね、僕はパウエル・ラプスです。今日は卒業する姉のエスコート役で来ました。」
「チョコ・シリアルです。はじめまして。」
私は、見知らぬ男子から声をかけられてしまいました。‥私が一人ぼっちだから気をつかってくれたのでしょうね。それにしても、金髪碧眼の天使の様な美しい男子です。
「えっと‥マカロン王子と来てましたよね。僕の姉さんもマカロン王子に挨拶に行ってるところなんです。一緒にいても良いですか?」
「はい。」
それにしても、学園にこんな人いたかしら?こんな綺麗な人が学園にいたら、目立つはずなのに。
「姉も僕も隣国の人間なんです。チョコさんが知らなくて当然ですよ。‥今一生懸命僕の事を誰だろうって考えてましたよね。
僕は新学期からこの国の中等貴族学園に入学するんです。チョコさんよりも一学年下です。」
えっ、年下?
「あっ、今僕の事を年下なのに、そう見えないって思いましたね。」
まさか、この人もマカロン様みたいに私の心が読めるの!?
「あはは、チョコさんの心を読んだ訳ではないですよ。チョコさんが分かりやす過ぎるんですよ。」
「そうなんですか。」
私の顔って地味で無表情ない顔なのに、わかりやすい?そうなの?
「‥僕はマロン王女の婚約者なんです。学園でマロン王女と仲良くなれたら良いんですけど。」
「マロン王女の婚約者‥パウエル・ラプス様は隣国の王族の方なんですね。」
「うん。」
私は、思わぬ所でマロン王女の婚約者様と会ってしまいました。
ふと、パウエル・ラプス様も生徒会へお誘いしたらどうかなって考えてしまいました。
先にお声をかけたマロン王女は何と思うかしら?怒ってしまうかしら?
それでも、パウエル・ラプス様とマロン王女が生徒会活動を通して仲良くしてくれたら嬉しいな、と思ってしまいました。
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