捨てられたお姫様

みるみる

文字の大きさ
7 / 46

7、トランタ王国ペンタス公爵領にふりかかった災い


リナとラナン王子がトランタ王国を出た頃、トランタ王国のペンタス公爵領では、謎の病いが流行していました。そして、農地は働き手を失って荒れ果てており、深刻な食糧難に陥っておりました。
 
ペンタス公爵は、領地の領民達を襲った謎の病の流行や食料問題に頭を抱えていました。ですが、そんな中でも公爵はリナの行方を諦めずに探していました。

「‥リナは見つかったのか?」

「‥駄目です。ただ、山の麓の林道には野獣がいます。もし野獣に襲われたのなら、きっと今頃は‥骨しか残っていないでしょう。‥公爵様、もう諦めて下さい。‥それよりも大変な問題が山積みなのですよ。」

「‥リナ、すまない。」

公爵は、とうとうリナの事を死んだものとして諦めました。公爵は、ここにきてやっと領地の問題に向き合いましたが、時はもう既に遅かったようです。

「‥公爵様、屋敷の貯蔵庫も空っぽです。」

「‥国からの支援はまだなのか、要請してから大分経つのに。」

王都からやってきた医療部隊が、途中で立ち寄った街で謎の食中毒を起こして足止めされていた事を公爵は知りませんでした。そして、その事を王都へ知らせる伝令係の者が、途中の山道で足を踏み外して崖へ転落していた事も、知りませんでした。

それに‥王都からの食糧支援の一行が、途中の街で襲われて、積荷はおろか、荷物を運んできた一行も襲われていた事など知る由もありませんでした。

公爵は、近隣の領主にも支援を頼みましたが、謎の病いが自分達の領内にも蔓延する事を恐れたのか、無情にも支援は断わられてしまいました。

ですが、それも無理のない事なのです。公爵や先代公爵自身も、近隣の領主が困っていた時に知らん顔をして援助をしてこなかったのですから‥。

そして、近隣の領との交流が一切途絶えた公爵のまわりの地域は、山賊や強盗団などが蔓延るようになり大層物騒になって行きました。

‥そんな中にやってきたのが王都の支援部隊の一行でした。彼らは、積荷や荷台、馬も、着ていた衣服も見ぐるみ剥がされてしまいました。‥‥そして王都までは何日もかけて歩いて帰っていったようです。

公爵領はとうとう廃れてしまいました。領地を治める者もなくなり、働き手を失った領地は、何年も立ち入り禁止になった後、別の領主と領民達によって、再び栄えていきました。

これを人々は、公爵家が教会を燃やしてしまった祟りだとか、殺されてしまったリナという女性の「呪い」ではないかと噂するようになったそうです。

国は公爵領の悲劇の後に、「瘴気」を発生させないように下水道の整備やゴミ問題の解決に乗り出したようです。これにより、ペンタス公爵領の病は国全体へ広がる事なく治まりました。


一方、トランタ王国のお城では、バンデル王子が、ラナン王子に手紙を書いていました。このペンタス公爵領の悲劇をラナンとリナに教えてあげようと思ったようです。

「‥まったく、何が「呪い」だ。‥それよりも、リナは運がいいな。あの時住居を火事で失っていなければ、彼女も病で死んでいたかもしれないからな。」

バンデル王子は、知らなかったのです。リナにかけられていた悪い魔女の呪いの事を‥‥。

リナにかけられていた呪い‥「魔女達の全ての祝福を跳ね除けて、死ぬまで自分もまわりも不幸になり続ける呪い」の事を‥。
感想 4

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?