月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第103話 盗賊相手の迎撃戦1

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月の魔女とよばれるまで

第103話 盗賊相手の迎撃戦1

沙更の魔法で援護されているとはつゆ知らず、盗賊たちは土レンガの家に女性達が居るのを見て、勝手にテンションを上げていく。

「おお、悪くねえスケばかりじゃねえか」

「おっ、若い娘もいるぜ。こりゃ、冒険者蹴散らしておいしい思いできるんじゃねえ!?」

そう言って、パウエル達に仕掛けていく盗賊たち。言うまでも無く、弓矢を持った盗賊たちが次々と矢を放ってくる。

が、矢がパウエル達の前で何かに弾かれるように向きを変えてしまう。ウィンドプロテクションの効果で、パウエル達の範囲5m以内ならば、飛び道具を防いでくれる。

それを見た盗賊たちは、驚くしか無い。

「なっ、矢が届かないだと!?くそっ、魔法士がいるな。そいつから蹴散らせ!!」

盗賊たちのリーダーがそう指示を出したところで、沙更が動く。元々、パウエル達にお任せする気は一切無い。元々、パウエルたちに重戦士はいないことから、実は一番防御力のある沙更がやるのが一番だった。敵を引きつける囮役をやるには、魔法士という職業は狙われやすく、重要な役どころでもあったから。

盗賊たちが魔法士を探そうとすると同時に、沙更がウィンドカッターの魔法で次々と遠距離攻撃を仕掛ける。音速の風の刃は、盗賊たちを次々と切り飛ばしていく。

腕を切られた者、胴を切られて絶命した者、首を切られて倒れ伏した者。その末路は様々だが、問題は初級魔法のウィンドカッターの切れ味ではないと言うこと。余りに切れすぎる為に、盗賊たちは浮き足立ってしまう。

流石にここまで、沙更が魔法で混乱を演出してしまうとパウエル達もそこで動かないわけには行かない。パウエルはヘレナを守ると言う意識もある為に動かないでいたが、逆にミリアとガレムが派手に動く形になった。

「さてと、ここまで状況演出されちゃうとね。セーナちゃんに悪い気しかしないよ」

「セーナちゃんに負担をかけるのはちげえしなあ。それじゃあ、一暴れと行こうぜ!」

速度のミリア、力のガレム。双方共にアイスジャイアントとやり合った経験から、盗賊程度では確実に引けを取らないレベルまで引き上げられていた。

沙更のウィンドカッターの恐怖に付け加え、ガレムが前線に出てくれば炭素鋼の斧で、鉄のダガーごと盗賊の胴体をねじ切っていく。力任せだが、効果的な一撃で相手の命を刈り取っていく辺り、敵対する盗賊たちを震え上がらせるには十分だった。

斧を振るえば命を刈り取られる。大振りのように見えて、ガレムは斧をちゃんとコントロールしていた。ついでに言えば、マイティアップのおかげで盗賊たちの動きが鈍く見えていたのもある。

「おらおら、死にたい奴から掛かってこい。この程度で俺を止められると思うなよ!!」

次々と胴体を割られて倒れていく盗賊たち。50人で囲んだはずが、既に半数は倒れていると言う凄惨さだ。

一方、ミリアはマイティアップに生来の素早さを生かして、白の直刀の間合いと盗賊の短剣の間合いを瞬時に見切って一刀のもとに斬り伏せていく。

二人が動き出したことで、盗賊のリーダーは顔をしかめることになった。
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