月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第106話 盗賊のアジトへ

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月の魔女とよばれるまで

第106話 盗賊のアジトへ

盗賊のリーダーを斬ったミリアは、息を吐いた。

「セーナちゃんの魔法のおかげで、傷一つ負ってない。あれだけの鋭い一撃を放てるのもね」

50人の盗賊は全て討伐された。本当なら、生かしておいた方が良かったのかも知れない。けれど、そんな余裕はなかった。

念のため、沙更はパウエルに確認した。すると、盗賊の場合は生かしておいた場合は犯罪奴隷になり、殺した場合でも盗賊なので賞金が出るとのことだった。どうしても、生かして捕らえられないことを念頭に置いているのがよく分かった、

盗賊たちが使っていた武器は、壊れているものも含めて沙更の虚空庫に入れられた。二束三文でもお金になれば御の字だと思ったからだ。いざとなれば、溶かして別の物にするのもありかなと沙更は思っていた。

「盗賊は無事討伐したわけだが、ここで放置は出来ないよな」

「流石に襲撃されて、迎撃しきったけどそのままは無いよ。きっちり襲ってくれたつけを払って貰わないと」

「だよな。開拓村からウエストエンドまでの街道の盗賊討伐は、確か特別報酬があったはずだぜ。それと盗賊の頭に関しては俺に任せな。同じ斧使いとして、潰しておかなきゃいけねえ」

「今後のことも考えて、盗賊団を退治出来るのならしておきましょう」

四人は四人とも、襲撃してきた盗賊たちを退治する方向で考えていた。仕掛けられたと言う事とこれから、ここに危険を放置することを認める気にならなかったと言うのが本音である。

並の冒険者なら、盗賊のアジトまで攻めるのは危険なのだがパウエルたちはそれを出来る力量を持ち合わせていた。更に言うなら、沙更も盗賊討伐賛成に回っていたのも大きい。

助けた女性達を襲おうとした時点で、沙更として盗賊たちは排除する対象になっていた。ゴブリンもそうだったが、盗賊たちもその中にしっかり入れていたのだ。

「パウエルさん達が動くのなら、私も一緒に行きます。どちらにしろ、魔法の援護は必要ですよね?」

「セーナちゃんにも付いてきて欲しい。どちらにしろ、魔法の援護が必要になる」

「ごめんね、セーナちゃんの魔法があると無いとじゃ全然違うから」

「ミリアお姉さんが謝る必要は無いです。それに、盗賊のアジトを探すのにも私の力が必要だと思いますから」

そこまで言ったところで、探査魔法を使い始めた。既に、ウインドプロテクションは切っているがそれでもウィンドウォークは維持したままだ。

3キロの範囲には、洞窟らしいものは見当たらない。建造物として、古びた砦が引っかかった。そのことをパウエルに知らせる。すると、納得された顔をした。

「古びた砦か、可能性が高いな」

「そもそも、そこって辺境伯の兵士達が詰めていた場所でしょ?盗賊たちに使われるなんて世も末だよねえ」

「場所さえ分かっちまえばこっちのもんよ」

「盗賊の拠点が分かれば、仕掛けるのは当然だわ。あいつらに権利なんてないのよ」

ヘレナの言葉にとげがありすぎる気がするのは、盗賊に苦しめられたことがあるからなのかもと推測しつつも女性達と少女二人に土レンガの家から出ないように言って、沙更とパウエルたちは盗賊のアジトである古びた砦に向かって動き出した、
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