月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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最終章 目覚める神

閑話19 ギルドマスターダイス

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月の魔女とよばれるまで

閑話19 ギルドマスターダイス

 荒野の狼から遅れる事二日、ギルドマスターダイスはクルシスからエンシェントゲートに向かう馬車の中にいた。ウエストエンドから休憩を挟みつつも一日半でここまで来るあたり、良質の馬車であった。

「既に、パウエル達がエンシェントゲートに着いているはずだ。となれば、支部長に話を付けてエンシェントゲート付近で迎撃をとするしかねえだろうなあ」

 そう考えていた矢先、馬車の御者から前から人がたくさん来ると告げられて馬車の外を見れば、エンシェントゲート方面から人々が歩いてくるのが見えた。脳筋とは言え、ダイスとしても疑問に思わざるを得ない。エンシェントゲートの死守は、防衛戦の最大の課題で落とされたとなれば話が全然変わってきてしまう。

 それに、向かっている方向がクルシス側となればエンシェントゲートに住んでいた人々だろうと言うことは推測出来た。それにしても、着の身着のまま逃げてきた格好で統率が取れているとは言いがたい。

 それにしても、エンシェントゲートの人々が逃げているとなれば既にエンシェントゲートは陥落したと言うことだろうかとダイスは思う。が、それならもっと怪我人等が居ても良いはずだ。だが、逃げている人々に怪我人がいるような感じは見えない。

 ダイスの本能がおかしいと告げる。こういう所の勘は、しっかり働くだけに御者に話しかけて馬車を止めてからダイスは逃げる人々に声をかけた。

「急いでいるところすまんが、エンシェントゲートから逃げてきたのか?」

「ええ、冒険者ギルドの支部長様が逃げるようにとのことで」

「何!?そんなことを言った覚えは無いぞ!?」

 答えられた言葉に、ダイスが声を荒げる。そう、冒険者ギルドの支部長がそう言ったとなれば越権行為であり逸脱したと言う事になる。ましてや、荒野の狼のメンバーが先行で行っているのだからそれのフォローすらしないと言うことであり、冒険者ギルドとして大問題を引き起こしたと言って良かった。

「ひっ、聞かれたことを答えただけですよ」

「済まなかった、余りにも意外なことを聞いたんでな。ちなみに、それを告げた冒険者ギルドの支部長はどこにいる?」

 声を荒げたことで怯える人達に謝りつつも、ダイスは冒険者ギルドの支部長がどこにいるかを聞く。すると逃げてきた人達とは別に馬車でエンシェントゲートを去るのを見た人がいたと言う話を聞かされて、さらに頭にきてしまった。

「はあ!?守るべき人々を置いて、先に逃げたとそう言うことか?」

「多分そうかと…。又聞きですけどね」

「いや、答えてくれて済まない。これは情報の礼だ。取っておけ」

 答えてくれた男の人に、銀貨を一枚手渡すと再度馬車に乗り込む。御者が馬車を動かし始めるとダイスは、勝手なことをしてくれた支部長に怒りしか湧かなかった。
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